我々はサーフィン新時代 — 人工ウェーブプールの時代 — を迎えようとしている。
サーフシーン全体が “陸” へ向かい始めている中、英国を例に挙げれば、ブリストルで同国初の人工ウェーブプール「The Wave」がまもなくオープンし、2022年にはロンドンにもオープンする予定だ。
車にボードを乗せて海へ向かう生活からの解放を欲していたシティサーファーたちには願ってもない状況になっているのだ。
サーフシーンに革命を起こしているWavegarden(編注:人工ウェーブプール技術パイオニアとして知られるスペイン企業)をはじめとするテクノロジーは世界から注目されており、前段のThe Waveも現在世界各地で20件建造が進められているうちのひとつにすぎない。
Wavegardenの画期的なテクノロジーは、安定した波を1時間で1,000回も作り出せる。波の高さも50cmから2mまで調整可能で、初心者から経験豊富なプロまでのあらゆるサーファーにパーフェクトだ。
というわけで、今回は世界各地で大人気となっている人工ウェーブプール8施設を紹介しよう。これらの “フェイクブレイク” は世の中すべてのサーファーを満足させるはずだ。
Kelly Slater’s Surf Ranch(米国カリフォルニア州)
トップサーファーのケリー・スレーターが代表を務めるWave Companyは2015年にカリフォルニア州内陸部の湖に人工ウェーブプールを建造してシーンを驚かせた。
カリフォルニア沿岸部から200マイル(約321km)内陸へ向かったレモーに位置し、周囲を酪農場に囲まれているSurf Ranchは、その建設計画が公表されて以来様々な疑問と驚きをもたらしている。
純粋主義者たちはスレーターの “ブラウン・スウェル” を完全に否定しているが、ワールドチャンピオンを11回も獲得したレジェンドの発明は、WSL(World Surf League)がSurf Ranchを2018シーズンのWorld Championship Tourのツアーストップに指定しただけのクオリティを備えている。
WSLはSurf Ranchを「外洋の波のパワーとシェイプを繰り返し再現できる世界初の人工ウェーブプール」と評している。Surf Ranchの今後に注目しよう。
NLand Surf Park(米国テキサス州)
テキサス名物といえば、BBQやカウボーイハット、SXSW、銃、ブーツあたりが思い浮かぶが、最近はサーフィンも仲間入りしているようだ。
テキサス最高の波を求めているなら、NLand Surf Parkへ向かおう。ここはテキサスの州都オースティン郊外に位置する最新の商業用人工ウェーブプールで、Wavegardenのテクノロジーが採用されている。
ビーチらしきものは見当たらず、派手さもないが、北米沿岸のあらゆるタイプの波を体験できる。テキサスの太陽の下で、最高のサマーバケーションを楽しもう。
Disney Typhoon Lagoon(米国フロリダ州 / Walt Disney World Resort内)
マジック・キングダム、ディズニー・ハリウッド・スタジオ、エプコットなどで構成されているフロリダのWalt Disney World Resort(ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)には目を引くものが山ほどあるが、真夏ならDisney Typhoon Lagoon(ディズニー・タイフーン・ラグーン)一択だ。
うんざりするほど大量のウォーターアトラクションが用意されているDisney Typhoon Lagoonは、Walt Disney World ResortのDisney Water Parks(ディズニー・ウォーターパーク)を象徴するアトラクション。
総面積2.5エーカー(約10,117㎡)・3百万ガロン(約11,356㎥)の人工ウェーブプールを擁しているTyphoon Lagoonは、90秒ごとに高さ6フィート(約1.8m)の波を作り出す。楽しいウェーブライドを体験するにはもってこいだ。
Siam Park(テネリフェ島 / アデヘ)
運営側は世界ナンバーワンのウォーターパークを自負しているが、その言葉に嘘はない。
Siam Parkはスペイン・カナリア諸島のテネリフェ島のはずれにあるコスタ・アデヘに建造されたオリエンタルをテーマにしたウォーターアトラクション施設だ。
Wave Palace(別名「世界最大のウェーブプール」)を擁するSiam Park自慢の高さ3mのバレルは、世界トップクラスのサーファーたちを惹きつけている。
今年2月にはLas American Pro Tenerife Championshipの最終戦開催地にも選ばれており、プロサーファー14人が人工ウェーブでそれぞれのスキルを見せつけた大会は大いに盛り上がった。
Wavegarden Cove(スペイン / ムンガット)
スペイン・バスク地方に本社を構えるWavegardenは南半球でのウェーブプール建設を進めているが、2018年春、バルセロナ近郊に位置する地中海沿岸の街ムンガットにスペイン初の商業用ウェーブプールをオープンさせた。
Wavegarden Cove(ブリストルのThe Waveはここのコピーバージョンになる)は、Aフレーム、レフト、ライトなど様々な波を安定して作り出せる巨大な帆のような形状を持つティールブルー色のラグーン。サン・セバスティアンやビアリッツを含む大西洋側トップサーフスポットまで遠征できないローカルサーファーたちを喜ばせている。
Eisbach River(ドイツ / ミュンヘン)
ミュンヘンの大公園、エングリッシャーガルテンの中心に位置するEisbach Riverは人工ウェーブプールファン必訪のスポットだ。
Eisbach Riverは、のちに人工ウェーブプール技術のパイオニアのひとりとして評価されるライナー・クリマシェフスキが設計を手がけた。
観光客や地元客で常に賑わっているこの施設だが、その冷水に飛び込む価値は十分にある。何しろ、大都市の中心でサーフィンを楽しめる世界唯一の場所なのだ(とはいえ、冬はウェットスーツを着用する必要がある)。
Wadi Adventure(UAE / アル・アイン)
UAEの建築ラッシュはとどまるところを知らないようだ。
世界で最も高いビル(ブルジュ・ハリファ / ドバイ)を建てたUAEは、世界初のホワイトウォーターラフティング / カヤッキング / サーフィン兼用の人工ウェーブプールも建ててしまった。
Wadi Adventureは人工ウェーブプールだが、『Surfer Magazine』が世界のベストサーフスポットをまとめた特集で41位に入っている。Wadi Adventureがオマーン国境付近の砂漠のオアシスに位置していることを考慮すれば、これは上々の評価だ。次にドバイを訪れる時はチェックしてみよう。
Sunway Lagoon(マレーシア / クアラルンプール)
クアラルンプールの暑さはとにかく強烈なので、地元のサーフスポットへ向かうのがクールダウンの最善策だ。
マレーシアはプルフンティアン島やランカウイ島などの優れたサーフスポットを擁しているが、これらへのアクセスは楽ではないため、クアラルンプールの市民と観光客は、サーフトランクスに着替えて13,000㎡の広さを誇る人工ラグーンSunway Lagoonへ向かっている。
Sunway Lagoonは人でごった返しているが、1日最低1〜2時間はサーフィンを楽しめる。また、受付ではボードレンタルもできる。ちなみに、1セッション12人限定なので気になる人は早めに予約しよう。
最後になるが、2007年に閉鎖された宮崎シーガイア「オーシャンドーム」にも触れておきたい。“バブルの仇花” として人々の記憶から消え去ろうとしているオーシャンドームだが、世界最大の人工ウェーブプールとしてグローバルサーフコミュニティ内で高い知名度を誇っていた。
(了)
◆Information
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