シューティングゲームの歴史を体験、そして未来を考える!
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ゲーム

シューティングゲームの歴史を体験、そして未来を考える!

『スペースインベーダー』(1978年)から『アカとブルー』(2017年)まで、シューティングゲーム(スマホアプリ)から学ぶゲームの過去と未来。
Written by 松井ムネタツ
読み終わるまで:11分Published on

◆シューティングゲームの歴史からひも解く"ゲームの進化"とは?

テレビゲームの歴史を勉強するならば、シューティングゲームというジャンルは必須科目だ。
昨今では「シューティングゲームってFPS(ファースト・パーソン・シューター)のことでしょう?」なんて風潮もあるのだが、古くからゲームに慣れ親しんでいるファンからすればシューティングと言えば、進行方向から敵が迫ってきてそれをバンバン撃ち落とすタイプの作品を指す。
名作シューティングゲームとしても名高い『R-TYPE』。写真はスマホ版。

名作シューティングゲームとしても名高い『R-TYPE』。写真はスマホ版。

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「シューティングゲームの歴史を学びたい!」なんて思った場合、やはり実際に当時のゲームを体験してみるのが手っ取り早い。
じつは昨今、スマートフォン向けに過去の名作シューティングがたくさん配信されているのをご存じだろうか。
今回はそれらのタイトルを紹介しつつ、シューティングゲームの歴史をちょこっとひも解いてみよう。

◆1970年代後半はテレビゲーム黎明期だった

日本国内のテレビゲームブームの火付け役となったのは、1978年に登場したタイトーのアーケードゲーム『スペースインベーダー』だ。
それまでのテレビゲームといえば、『ブロック崩し』『ポン』(下の動画)のように四角だけのキャラ(?)が多かったのだが、『スペースインベーダー』はきちんとデザインされたドット絵のキャラクターが動いていたからびっくり。
さらに「弾を撃って」「インベーダー(侵略者)を倒す」というゲームシステムも相まって、ただならぬ衝撃を日本中にもたらした。
当時は小学生から社会人まで、全人類のハートを侵略してしまったと言っても過言ではない。
このころ筆者は小学5年生。月のお小遣いは500円だったので、5回遊んだら終わり(1プレイは基本100円)。
なので、大人がプレイしているのを後ろからじっと見ては、攻略方法を学んだ。
「レインボー」(下の動画)「名古屋撃ち」といったテクニックを初めて見たときは超興奮して思わず前のめりになり、「……何ジロジロ見てんだよ!?」と凄まれてちびったこともあったが、それもいい思い出だ。
そんな『スペースインベーダー』スマホで配信中だ。余計な装飾はなく当時のまま。
画面はスクロールすることなく固定で、画面上のインベーダーをすべて撃ち落とせば一面クリアだ。基本的テクニックなども書かれているので、それを参考にプレイしてみよう。
スマホ版『スペースインベーダー』。

スマホ版『スペースインベーダー』。

© TAITO CORP.1978,2016

◆1980年代、シューティングゲームが花形だったころ

『スペースインベーダー』の登場で「テレビゲームと言えばシューティングゲーム」という時代になった。
各社がアーケード向けに数多くのシューティングゲームを発売したこともあり、'80年代から'90年代前半はシューティングゲームが花盛だった。
ナムコは1979年に画面固定式(スクロールしない)シューティング『ギャラクシアン』を、4年後の1983年には縦スクロールの『ゼビウス』(下の動画)をリリース。
KONAMIからは、1985年に発売された横スクロールの『グラディウス』が大人気となった。
このころになると自機のパワーアップやボスキャラといった「シューティングゲームとしての定番要素」も加わってくる。
この時代に出ていたシューティングゲームで、スマホで遊べるものをいくつかピックアップしよう。
まずはカプコンの『1942』
縦スクロールシューティングで1984年に登場。ショットのパワーアップ、自機の宙返りによる緊急回避(回数制限あり)、そして何発も当てないと撃破できない中ボス的な大型機の存在など、現在のシューティングゲームにおける定番要素が盛り込まれている。
また本作は敵機の出現パターンがじつに絶妙で、今遊んでも適度に進めて適度にやられるゲームバランスに唸らされる。
▲スマホ版『1942』。

▲スマホ版『1942』。

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以降、カプコンは『1943』『1941』『19XX』とシリーズを続けていく。
日本海軍の戦艦などがモチーフになっており、昨今のミリタリーゲームの礎になったといっても過言ではなかろう。……いや、過言だったかも。
また、横スクロールシューティングならアイレムからリリースされた1985年の『R-TYPE』も忘れてはいけない。
自機に「フォース」と呼ばれる完全無敵の装備を付けることができ、敵弾は防御してくれるし何だったら飛ばして敵機を破壊することもできる。
猛烈に便利なのだが、無敵なのは一方向のみなので、それ以外のところに飛んでくる敵弾に対して無防備になってしまう。このへんのバランスがじつによかった。
『R-TYPE』はそのグラフィックも素晴らしい。
それまでのシューティングゲームとは一線を画しており、幾何学的かつ有機的な、メカと生物を融合させたような個性的なビジュアルは、今でも色あせない。
ひとステージまるまるボスキャラだったりと面(ステージ)構成もバリエーションに富んでおり、全8面飽きることなくプレイできた。
1987年にNECホームエレクトロニクスより家庭用ゲーム機「PCエンジン」が発売され、翌1988年に『R-TYPE』が移植されると多くのゲームファンが飛びついた。
本作がゲームセンターで稼働中、筆者は高校三年生だった。
その独創的なビジュアルにシビれて、「ボクもこういうシューティングゲームを作りたい!」と思い立ち、当時パソコンで一生懸命ドット絵を描いたものだ。
気がついたらゲーム雑誌で働いていたのだが、イラストの仕事も同時にしていたので、それはある意味『R-TYPE』のおかげだったのかもしれない。

◆1990年代、シューティングも3D表現に

さて、1990年代に入るとゲームセンターは『ストリートファイターII』の登場により、対戦格闘ゲームブームとなる。
20世紀までは「テレビゲームの最高峰はアーケードゲーム」という時代だったこともあり、アーケードでシューティングゲームが減ると次第に家庭用からも少しずつその数が減ってしまう。
そんな時代でも、確かな存在感を示すシューティングゲームがリリースされた。スマートフォンでも遊べるタイトーの『レイストーム』はその代表格だろう。
1996年に登場した『レイストーム』は縦スクロールシューティングだが、画面の奥に向かって進んでいくような形で3D表現が取り入れられている。
アーケード基板も家庭用ゲーム機も3D表現ができるハードが出現したことによって、シューティングゲームもこうしたポリゴン革命を取り入れたモノが出てきた。
『レイストーム』は何といってもロックオンレーザーが気持ちいい。
R-GRAY1なら8ロック、R-GRAY2なら16ロックでき、画面上にいる敵機をロックして一気に倒すことができる。
爽快でありつつ、ロックが多いほど得点に倍率がかかって高得点になるため、ハイスコアを狙うならこのロックオンシステムは非常に大事で、かつその攻略パターンを作っていく楽しさがあった。
タイトーのサウンドチームZUNTATAによる音楽もじつに素晴らしいので、ヘッドフォン装着によるプレイをオススメしたい(下の動画はプレイステーション版の『レイストーム』)。
筆者はこの『レイストーム』がリリースされた1996年当時、アーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」に勤務。
本誌記事および攻略ビデオの担当ライターは本作を寝ずにプレイして、魂を削りながらパターンを作っていた。
面白さと攻略法を伝えるべく全力で立ち向うそのライターの姿は、たとえ3日間帰らない状態で迂闊な体臭だったとしても、むしろすごく輝いてみてたし、誇らしくもうらやましく思った。

◆21世紀、いくつかのメーカーが根強く作り続ける時代へ

さて、こうして進化してきたシューティングゲームは、21世紀に入ると新作の登場がめっきり減る
ゲームジャンルの多様化ゲームセンターの減少などいろんな理由があると思われる。
ひたすらアーケード/家庭用向けにシューティング新作を作ってきたケイブも、2012年の『怒首領蜂最大往生』(下の動画)が最後となった。
ケイブのシューティングは「弾幕シューティング」とも呼ばれ、とにかく画面中が敵弾で埋め尽くされる。
一見難しそうなのだが、「敵弾のスピードはそれほど早くない」「自機の当たり判定はすごく小さくて中央の1ドットだけ」ということもあり、じつは意外と避けることができる。
まさに弾幕のような敵弾であっても、「えいや!」となんとなく思いきりのいい操作をしてもわりと避けられたりするので、「あれ、俺ってじつはうまいのでは?」なんて感覚になることができた。
じつは少し前まで『虫姫さま』『エスプガルーダ』『怒首領蜂』シリーズといったケイブのシューティングがスマホ向けにも配信されていたのだが、現在はアプリ側が最新OSに対応していないためプレイすることができない。
残念。現行機でケイブのシューティングを遊ぶ場合は、PC(Steam)版となる。
21世紀になってからリリースされた(ケイブ作品以外の)アーケード/家庭用新作シューティングゲームで、現在スマートフォンで遊べるタイトルからセレクトすると、やはりタイトーの横スクールシューティング『ダライアスバーストSP』はぜひプレイしておきたい。
1986年に登場したアーケード版『ダライアス』から始まった本シリーズは、魚介類をモチーフとした敵メカデザインステージ分岐、ZUNTATAによる独特なサウンドなどで多くのファンを魅了、30年以上続く人気シリーズとなっていた。
アーケードでは『ダライアスII』『ダライアス外伝』『Gダライアス』と続き、家庭用ゲーム機では移植版だけでなくオリジナルタイトルもリリース。
最新シリーズとなる『ダライアスバースト』は2009年にPSPで登場、その後2010年にアーケード版『ダライアスバースト アナザークロニクル』がリリースされ、さらにその移植版として2016年にPS4/PS Vita/Windows版『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』が発売された。
スマートフォン版『ダライアスバーストSP』は、オリジナルのPSP版『ダライアスバースト』をベースに開発、2012年にリリースされた。
タイトルに「バースト」とあるとおり、バーストゲージを使って撃つバーストビームが強力で、ボスキャラが放つビームにタイミングを合わせることで発動する「バーストカウンター」を使えば、ボスに対して一気にダメージを与えることができる。
タイミングがシビアだが、コレが決まるとホントに気持ちいい
もともと『ダライアス』シリーズは演出がハデだったが、『~バースト』はそのあたりがかなり極まった作りになっている。
スマートフォン版を遊び尽して楽しめたなら、ぜひ『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』(下の動画)もプレイしてもらいたい。

◆シューティングゲームの未来は!?

というわけで簡単ではあるが、スマートフォンで遊べるタイトルを中心にシューティングゲームの歴史を駆け足で振り返ってみたが、いかがだっただろうか。
最後に、2018年現在でスマートフォンで遊べるオリジナルシューティングゲームの中から、「これは遊んでおくべき!」という1本を紹介しておく。タノシマスより配信中の『アカとブルー』だ。
弾が雨のように降り注ぐので「弾雨」と名付けられるほど、画面中には1000発以上の弾が飛び交う。
それでいて処理落ちすることなくスムーズなプレイができるんだからスゴい。
熱心なシューティングファンから絶大な支持を受け、現在はアーケード版『アカとブルー TYPE-R』が開発中だ。
このようにシューティングゲームは、少ないながらも新作が発売され続けている。
2018年8月30日には、シティコネクションよりPS4/Nintendo Switch向けに『サイヴァリア デルタ』(下の動画)が発売された。
ゲームクリエイターにも熱心なシューティングゲームファンがいて、それを待ちわびているファンもいる。挑戦すべきハイスコアがそこにあるなら、ファンは喜んで挑んでいくだろう。
「eスポーツ」と言われるとちょっと違うかもしれないが、より高いスコアを目指す姿勢という意味では、競技性のあるものと何ら変わりはない。
かつての『スペースインベーダー』ブームのように、日本中……いや世界中のゲーマーが熱中するシューティングゲームの登場を筆者は願っている。
『サイヴァリア デルタ』でチリチリとBuzzったり、『アカとブルー』のブルーちゃんはアホ毛が可愛いなあ、なんて思いながら、その熱狂する日が再びくると信じて……。
(※文中のメーカー名は当時のものです)
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