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『アンチャーテッド 古代神の秘宝』：テストプレイ＆インタビュー
Naughty Dogの大人気シリーズの最新作の魅力は？ テストプレイと開発側へのインタビューで迫る！
『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』を上回るゲームを生み出すのは難しい。しかし、Naughty Dogはそれを狙っているわけではない。サンタモニカに拠点を置くこのデベロッパーは、追加エピソードで、ネイサン・ドレイクとは別の視点で『アンチャーテッド』シリーズの世界を楽しめるチャンスを我々に提供してくれる。最新作『アンチャーテッド 古代神の秘宝』では『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』に登場したクロエ・フレイザーと、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』で民間軍事会社を率いて、ネイサンの前に立ちはだかったナディーン・ロスが主人公に設定されている。
『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のゲームプレイとグラフィックスが引き継がれている『アンチャーテッド 古代神の秘宝』は、それだけでプレイする価値が十分にある作品だが、『アンチャーテッド 古代神の秘宝』と『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』はどこが違うのだろうか？
2017年9月14日のリリースを前にテストプレイをするチャンスに恵まれた我々は、同席したクリエイティブディレクターのShaun Escaygにこの新作の魅力について話を聞くことにした。
・フルゲーム
当初、Naughty Dogはクロエの過去に光を当てたシングルプレイヤー用DLCのリリースを考えていた。彼らは『The Last of Us』のDLC『Left Behind -残されたもの-』と同じような展開を考えていたのだ。しかし、開発チームがクロエの過去について話を進めていくにつれ、このゲームはDLCを超える内容になっていった。
Shaun Escaygは「最初は、『アンチャーテッド』シリーズのスモールスケールを作ろうと言っていたんですが、メインストーリーとは異なるストーリーを生み出すためには、独自の時間軸を用意する必要があります。ですので、最初は小さなストーリーだったのですが、しっかりとした独自のストーリーを用意しようとしているうちに、もっと大きなストーリーになっていきました」と説明する。
Escaygは、『アンチャーテッド 古代神の秘宝』をただのDLCではなく、フルゲームに近い続編として捉えている。ナンバリングタイトルではなく、『アンチャーテッド』版の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』的な続編だ。
問題は、DLC以上のスケールを誇るフルゲームを1年以内で仕上げなければならないことにあった。『アンチャーテッド 古代神の秘宝』はAAAタイトルよりも低価格で提供される（日本版は税込5,292円）が、Escaygはナラティブとゲームプレイの両面で、この作品は「フルゲーム」だとしている。尚、今作には『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のオンラインマルチプレイヤーモードも収録されるので、Naughty Dogが誇る『インディ・ジョーンズ』スタイルのデスマッチを体験したことがないプレイヤーにとっては、一粒で二味楽しめるゲームになる。
・オープンワールド感
オープンワールド感が増した『アンチャーテッド 古代神の秘宝』
© Naughty Dog / Sony
『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』でマダガスカルに到着した時に、あの活き活きとした巨大なジャングルを探索できるのかと期待を抱いた人は多いだろう。しかし、実際にプレイをしたプレイヤーの多くは、見た目とは異なる直線的なゲームプレイに落胆することになった。
しかし、有り難いことにNaughty Dogは今作で我々をようやく解放してくれるようだ。今回のテストプレイでは、Naughty Dogが「今作で最大のエリア」としているエリアをクロエとナディーンで探索することができたが、Naughty Dogの言っていることは正しいように感じられた。インドのジャングルを奥へと進んでいった我々は、PS4 Proで美しく表現されていた動植物の姿に驚かされることになった。最強の家庭用ゲーム機によって、非常に美しく広大な世界が広がっていたのだ。
しかし、それよりも重要なのは、我々がオープンワールドのように感じられたことだった。今作のジャングルは、ただ車で通過するだけの存在ではない。このジャングルは砦、パズル、塔、洞窟を含む巨大な峡谷に繋がっており、プレイヤーはそれらを自分の好きなタイミングで訪れることができる。そのスケールは非常に大きく、今回の1時間のテストプレイでは全エリアを見ることはできなかった。これは、これまでの『アンチャーテッド』シリーズのどのエリアでも持たなかった感想だ。
・クロエのスキル
『アンチャーテッド 古代神の秘宝』にも、冗談好きのトレジャーハンター（兼立ちはだかる敵を次々と葬る大量殺戮者）のネイサン・ドレイクと同じような銃撃戦、崖登り、綱渡りが待っているが、クロエはネイサンとは違うユニークなスキルを備えている。たとえば、彼女はピッキングして箱を開けることができる。Bethesdaのゲームでよく見られるようなミニゲームをクリアすれば、攻略に便利なアイテムが獲得できるようになっているのだ。
Escaygはこのスキルについて「新しいシステムを追加しつつ、プレイヤーの選択肢を増やしています。ピッキングして箱を開けると、その中にはゲームプレイを変えたり、情報を与えてくれたりするアイテムが入っています」と説明している。我々のテストプレイでも、箱の中に新しい武器が入っていたため、その武器を使って激しい銃撃戦を繰り広げるか、それともステルスを狙うかを考えることになった。
また、クロエは重要な情報をセーブしておけるスマートフォンも持っている。また、このスマートフォンは現在地も確認できる。長年に渡りネイサンのボロボロの手帳に頼らなければならなかったことを考えると、これは素晴らしいアップグレードと言えるだろう。
・ナディーンの性格
安定の美麗グラフィックス
© Naughty Dog / Sony
映像作家・脚本家として長年活躍してきたEscaygにとって、ナラティブをゲームプレイとどう組み合わせるかが今作のカギだった。ナディーンはゲームの大半で相棒的な役割を担っているが、クロエとナディーンは心を許し合っている関係ではなく、プレイヤーも、自分はただの相棒ではないと考えているナディーンを様々な局面で感じることができる。
『BioShock Infinite』の気が利く相棒エリザベスとは異なり、ナディーンはクロエの邪魔をする可能性もあるとEscaygは説明し、「ある意味、ナディーンとクロエの相性は最悪と言えますね。2人共に自己保存本能が強いタイプですが、全ての面で正反対なんです」と笑顔で続ける。
「今回の新しい試みは、キャラクターのナラティブをゲームプレイの中に反映させることでした。ですので、クロエをプレイしていると、ナディーンのAIは様々な行動を取ります。ただ対立するのではなく、クロエを置き去りにしたり、勝手にどこかに行ったりします。ですので、自分の目的のために単独行動を取るナディーンを逆に追わなければならない可能性もあります」
・落ち着いた雰囲気
ネイサン・ドレイクの真面目でユーモア溢れる性格とキル数はいつも相反関係にあった。ストーリーと凶悪な銃撃戦の不一致は、このシリーズの定番だったが、血なまぐさい冒険と普通の生活が対照的に描かれていた『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』では、この違いがさらに強調されているように感じられた。
Escaygはこの点について、『アンチャーテッド』シリーズのようなアクションアドベンチャーゲームというジャンル特有のものだと説明しているが、矛盾が存在することは理解している。Escaygは「単純にジャンルの問題だと思いますよ。映画で言うならば、『アンチャーテッド』シリーズはハリウッドの娯楽大作で、『The Last of Us』は『ノーカントリー』のような作品なんです」と説明している。
「映画『ダイ・ハード』のようなジャンル、墜落した飛行機から生還したり、100人に撃たれても1発も被弾しなかったりするケースが頻繁に見られるジャンル、これが『アンチャーテッド』シリーズの居場所なんです。ですが、『アンチャーテッド 古代神の秘宝』は… 少なくとも私は、シリーズの過去作品よりも地に足が着いているゲーム、もっとエッジの効いたゲーミングエクスペリエンスを提供するゲームを狙っています。なぜなら、主人公が違うからです。クロエはネイサンのように万能ではありませんし、ネイサンのあの手帳のようなあらゆるパズルを解いてしまう便利なツールも持っていません。クロエはネイサンよりもハードワークをする必要があります。ですので、前作までのような派手なシーンはやや抑えてあります」
確かに、今回のテストプレイでも、銃撃戦は前作までのような射撃場のようなフィーリングが弱められており、ステルスや戦術オプションが強調されているように感じられた。
低価格だが内容はフルゲーム
© Naughty Dog / Sony
『アンチャーテッド』シリーズは続くのか？
『アンチャーテッド』シリーズには、クロエとナディーン以外にもう1組ペアが残っている。ネイサンの兄サムとネイサンの師匠サリーだ。Naughty Dogは『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』がネイサン・ドレイクの最後になるとしていたが、Escaygは『アンチャーテッド』シリーズの次作があるのかどうかについて次のようにコメントしている。
「『アンチャーテッド』シリーズの次作を近々リリースする予定はありません。ですが、『アンチャーテッド 古代神の秘宝』が、このシリーズの世界はネイサン・ドレイクの外にも広がっていて、他のキャラクターでも展開できるということを示しているゲームだとするなら、将来的に起用できるキャラクターの数はまだまだ沢山残っているということになりますね」
しかし、彼らがたった1年で『アンチャーテッド 古代神の秘宝』を仕上げ、Naughty Dogの残りのスタッフも『The Last of Us 2』の開発に携わっていることを踏まえると、『アンチャーテッド』シリーズの新作スピンオフのリリースは、まだしばらく先になるだろう。
Escaygは「私もこのあと長期休暇を取りますしね」とジョークを飛ばし、次のように続ける。「Naughty Dogの中に、期間1年でフルゲームを開発したいと思っているスタッフはいないでしょう。かなりハードな1年でした。ですが、開発チームはこの作品に情熱を注いでいました。これがこのシリーズが成功した秘訣だと思います。1年でフルゲームを開発しろと今言われたら、おそらく全員嫌がっていたでしょう。ですが、この話は最初からあったものですし、雪だるま式に大きくなっていったので、やりきりました」
サムとサリーのストーリーはもうしばらく待つ必要がありそうだが、それまではクロエとナディーンのストーリーを楽しむことにしよう。
『アンチャーテッド 古代神の秘宝』は2017年9月14日にPS4でリリース予定。
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