MTB
【マウンテンバイク・アーバンダウンヒルとは?】MTB高速ストリートレースの基本を知る
グラビティ系MTBはオフロード限定ではない。世界各地でストリートを舞台にしたMTBダウンヒルレースが開催されている。
知らない人もいるかもしれないが、MTBアーバンダウンヒルは随分前から世界中のファンを沸かせている。ヨーロッパや南米、そして日本のワイルドなストリートコースを舞台に開催されているこのグラビティ系カテゴリーは2022年も大きな注目を集めている。
MTBアーバンダウンヒルが今ひとつ理解できていない人に説明しよう。
このカテゴリーは「ハイスピード」、「幅の狭いコース」、「無数の階段」、「巨大なジャンプ」、「サイドを埋める大観衆」、「たまに闖入する野良犬」が特徴だ。これらのワードに興味を持った人は、以下を読み進めてアーバンダウンヒルの基本を学ぼう。
《2020年2月22日にコロンビアで開催された【Red Bull Monserrate Cerro Abajo】のハイライトをチェック!》
【決勝】Red Bull Monserrate Cerro Abajo 2020
Red Bull Monserrate Cerro Abajo 2020、コロンビアのボゴタで、ライダーたちが世界最長の下り坂の階段に挑む。一体どのようなレースが展開されるのか!!
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アーバンダウンヒルとは?
アーバンダウンヒルはMercedes-Benz UCIダウンヒル ワールドカップと同じフォーマットを採用している。
ライダーはひとりずつランに挑み、スタートからフィニッシュまでが計時される。そして最速のタイムを記録したライダーが優勝する。通常は短時間の試走のあと、予選と決勝が実施される。
3分
Red Bull Valparaiso Cerro Abajo 2019:ウイニングラン
Watch Pedro Ferreira fly through the tight, winding downhill course, conquering stairs and rooftops of this urban bike track.
アーバンダウンヒルは2000年代初頭に開催された【Red Bull Lisbon Downtown】で一気に注目されるようになった。
ポルトガルの首都リスボンの幅の狭い路地や階段をライダーが激走したこのレースの熱狂が様々なレースを生み出すことになり、さらにはシリーズも創設されたことで世界中へ広まっていった。日本でも【Red Bull Holy Ride】として広島県で開催されてきた。
MTBアーバンダウンヒルは日本やヨーロッパで様々なイベントが開催されているが、最も有名なレースはコロンビアの首都ボゴタの【Red Bull Monserrate Cerro Abajo】(レッドブル・モンセラーテ・セロ・アバホ:2022年2月5日開催予定)や、チリ中部の都市バルパライソの【Red Bull Valparaíso Cerro Abajo】(レッドブル・バルパライソ・セロ・アバホ:2022年2月27日開催予定)を含む南米開催のレースだ。これらのレースは非常に見応えがあり、世界中のメディアを惹きつけている。
多くの場合、レーストラックは封鎖されたストリートや階段などを組み合わせたものだが、オーガナイザーによっては公園を抜けるオフロードセクションを設けており、大規模なイベントでは人工のジャンプやウォールライド、ドロップオフなども用意される。
また、屋根からのドロップや狭い路地や建物の中を抜けるセクションが設けられているひときわスリリングなレースも開催されている。
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アーバンダウンヒルのシーズンは?
南米のアーバンダウンヒルレースはUCI MTBダウンヒル ワールドカップとEnduro World Series(EWS)のオフシーズン、つまり、南半球の真夏に開催されている。
この時期の開催は、MTB全カテゴリーのトップライダーたちにショーイベントよりもシリアスなイベントでワールドカップに向けてウォームアップするチャンスを提供している。
とはいえ、南米開催のアーバンダウンヒルが真剣勝負であることに変わりはなく、他のMTBカテゴリーでは見られないほどの大観衆を集めるときもある。
また、アーバンダウンヒルは、ヨーロッパでも毎年3月以降に開催されており、複数のイベントが開催されている。
ヨーロッパのアーバンダウンヒルレースは南米よりも派手さに劣るかもしれないが、それでも世間から大きな注目を集めており、ショッピングモールを舞台にしたレースや中心部でのデュアルスラロームなどユニークなフォーマットで開催されている。
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アーバンダウンヒルのトップライダーは?
アーバンダウンヒルでは大都市の中心部で大勢のファンの前でライディングできるため、ワールドクラスのダウンヒル / エンデューロ系ライダー(特に南米出身ライダー)が魅力を感じているのは少しも驚きではない。
住宅の間を縫うようなレーストラックを全力疾走するライダーを捉えたPOV動画も多くのライダーをアーバンダウンヒルに惹きつける助けになっているが、このような動画がバイラルヒットになるのは当然だ。
野良犬や身を乗り出している観客たちを避けながら高難度のレーストラックに挑むトップライダーの激走を自宅のソファから追体験したくない人はいない。
これまでに数多くのトップライダーが南米開催のビッグイベントに参戦しており、その中にはペドロ・バーンズ、フィリップ・ポルク、ブルック・マクドナルド、ウィン・マスターズ、マルセロ・グティエレス、ヨハネス・フィッシュバッハ、トマス・スラヴィクなどが含まれている。
アーバンダウンヒルレースの大半はオープンエントリーで(予備予選参加が必須のレースもある)、南米でも才能溢れるローカルライダーたちが参加している。たとえば、2019年のRed Bull Valparaiso Cerro Abajoでトップライダーたちを抑えて優勝したのはチリ出身のペドロ・フェレイラだった。
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アーバンダウンヒルで使用されるバイクの種類は?
恐ろしくテクニカルなコースを猛烈なスピードで駆け下りるため、アーバンダウンヒルレースでは頑強なバイクが求められる。
かつてはダウンヒルバイク一択で、トリプルクランプのフォーク、200mmトラベルのサスペンション、堅牢なホイール、ディスクブレーキなどを備えたダウンヒルバイクでなければ、アーバンダウンヒルの要求度に耐えられないとされていた。
しかし、現代のエンデューロバイクは高剛性かつ驚くほど万能で、レーストラックを繋ぐセクションとして用意されるフラットなスプリントセクションで強さを発揮するため、最近のアーバンダウンヒルシーンではダウンヒルバイクとエンデューロバイクが混在している。
サスペンションは、ビッグジャンプの衝撃を吸収しつつ、スプリント性能を高め、ハイスピードで階段を下りる際の安定性を得るために硬めに設定されている。
また、特殊なサスペンションチューニングや偏平リアタイヤ、幅狭ハンドルバー、高めに設定したフロントエンドなどのカスタマイズを好むライダーもいる。
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シーズン最大のアーバンダウンヒルレースは?
コロンビアの首都ボゴタで開催されているRed Bull Monserrate Cerro Abajo 2020は、毎年かなりの盛り上がりを見せている。
ライダーたちはボゴタ市内を一望するモンセラーテの丘の頂上(標高3,152m)から全長2.4km・階段1,000段以上のレーストラックに挑むことになる。尚、このレーストラックは世界最長のアーバンダウンヒル・レーストラックとしてギネスブックに認定されている。
パンデミックの影響下で開催された【Red Bull Monserrate Cerro Abajo 2021】はフランス出身のアドリアン・ロロン(2021年)が優勝した。
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