中国からコロンビアに至るまで、人類は古代文明の時代から険しい山の斜面で石を削ったり、脆弱な構造を用いたりしながら各地に階段を作り上げてきた。中には「なぜこれほどクレイジーな場所に?」と疑問と恐怖を催すような階段も数多く存在する。今回は、最も険しく、最も恐ろしい世界各地の階段を紹介しよう。高所恐怖症を全く感じない人、もしくは脚力に自信がある人はぜひトライしてみてもらいたい 。
01
ハーフ・ドーム
場所:ヨセミテ (米国)
段数:不明 / 階段の高さは400フィート(約121.9m)
難易度:ハード / 全行程16マイル(約25.7km)を踏破するのに必要な時間は12時間
カリフォルニアの谷底から5,000フィート(約1,524m)近くの高さでそびえ立つハーフ・ドームはヨセミテ国立公園のシンボルとして知られ、これを登ることは大きなチャレンジとなる。また、人気もトップクラスで、1年を通じて多くの人々が訪れている。しかし、延々と連なる観光客の行列に我慢しながら頂上にたどり着けば、そこにはヨセミテ国立公園を一望する絶景が広がっている。
02
万里の長城
場所:中国
段数:全長26マイル(約41.8km)に5,164段
難易度:ハード / 階段がどこまでも続く
万里の長城の全長は公式で13,170マイル(約21,195km)となっている。万里の長城マラソンで利用する26マイル(約41.8km)のコースだけを取ってみても、実に5,164段もの階段が続いている。途方もない数字だ。
03
パイロン・デル・ディアブロ滝
場所:エクアドル
段数:不明 / 滝の高さは262フィート(約79.8m)
難易度:ノーマル / 濡れた階段に注意
ここは必ずしも世界最大クラスの階段ではないが、その景観のドラマティックさは抜群だ。この階段からは、“悪魔の大釜” という意味を持つパイロン・デル・ディアブロ滝を間近に眺めることができる。階段は常に滝の水しぶきを浴びて濡れた状態にあるため、足を滑らせぬよう注意が必要だ。
04
エル・ペニョン・デ・グアタペ
場所:コロンビア
段数:740段
難易度:タフだが難しくはない
またの名を “エル・ペニョル” とも言われるグアタペの岩は、かつてこの地の原住民だったタハミーズ・インディアンの崇拝対象だった。この高さ656フィート(約200m)の巨岩は、岩肌に沿って作られた740段のユニークなジグザグ状の階段を使って登ることが可能だ。
05
サン・ファン・デ・ガステルガチェ
場所:ビスケー湾(スペイン)
段数:237段
難易度:イージー
米国のTVドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のファンなら、この人里離れた場所にある10世紀の教会がシーズン7のロケに使用されたことを知っているはずだ。この協会には全ての階段を登りきって鐘を3度鳴らせば願い事が叶うという言い伝えが残っているが、「エレベーターで帰らせてください」という願いは却下されるようだ。
06
華山
場所:中国
段数:不明
難易度:ハード
これを「階段」に分類すべきかどうかは迷うところだが、この階段を使った華山の頂上を目指す登山は、高所恐怖症を極限まで試されるもので、しかも安全面は全く考慮されていない。登山者は延々と続く荒く削り出された階段に対峙せねばならないだけではない。これらの “階段” は粗末な木の板を岩の側面に打ち付けただけのものに過ぎないのだ。しかし、心配することなかれ。頂上には茶店があるので、すり減った神経を癒してくれる…。
07
ニーゼン鉄道
場所:スイス
段数:11,674段
難易度:ハード
この階段は、スイスのニーゼン山岳鉄道の線路に沿って組まれているものだが、世界最長の階段として公式に認められている。段数は全11,674段で、ここをハイクできる機会は年に1度のニーゼン・ランというランニングイベントの時だけだ。このイベントはたった2マイル(約3.2km)という短い距離だが、実に5,475フィート(約1,668m)もの標高差を一気に駆け上がるという過酷なものだ!
08
ライオン・ロック
場所:シーギリヤ(スリランカ)
段数:1,200段
難易度:ハードではない
スリランカのシーギリヤは古代からの要塞で、5世紀にこの地方を治めていた王が頂上に宮殿を造り、その側面をカラフルなフレスコ画で彩ったものだ。写真からも分かる通り、ライオンの前足を模した階段のデザインは非常に謎めいている。階段の距離はそこまで長くないが、角度は急峻だ。
09
マチュピチュ
場所:ペルー
段数:3,000段以上
難易度:ハード
この天空の城を築き上げた古代インカ人は熟練した職人であっただけでなく、非常に優れた体力を持っていたに違いない。標高7,874フィート(約2,381m)の場所に100個以上の階段が点在し、その段数は合計で3,000段以上にも及ぶ。当然空気は薄く、ここを登っていると死の危険さえ感じるが、実際には数百年の記録の中で命を落とした人間はひとりもいないので心配は無用だ。