ランドマンナロイガル山地はアイスランド屈指の自然美を秘めている
© Mariusz Kluzniak.
探検

世界最高のマルチデイハイキングルート 10選

大自然の真の姿を知りたいなら、トレイルを数日歩いて日常から完全に解放される必要がある。1週間程度で楽しめる世界各地の素晴らしいハイクスポットを選りすぐって紹介する。
Written by Will Gray
読み終わるまで:12分Published on
世界最高の自然を堪能するのに文明から数カ月も離れる必要はない。
以前「世界最高の日帰りハイクスポット 10選」を紹介したが、今回はより本格的な、1週間前後で踏破可能なトレイルをピックアップした。
今回のリストには、チリ・パタゴニアの切り立った山々に囲まれたウォーキングから、流出したばかりのアイスランド溶岩原のトラバース、アフリカの氷河を巡るハイキング、米国・グランドキャニオンの奥地へ潜入するトレッキングなどが含まれている。
漏れてしまったスポットも数多く存在するが、この中からいくつか選び、トレッキングブーツに靴ひもを通してハイキングアドベンチャーに出掛けてもらえれば幸いだ。

《ヨーロッパ》

ロイガヴェーグル

アイスランドのロイガヴェーグルでエクストリームなハイクを体験

アイスランドのロイガヴェーグルでエクストリームなハイクを体験

© Diogo Tavares/Unsplash

  • 場所:アイスランド
  • ポイント:常に姿が変わる別世界のような風景を貫くワイルドトレイル
  • 距離:54km / 4日
  • ベストシーズン:7月中旬〜9月中旬
アイスランドは氷河や溶岩原、沸き立つ天然温泉、色とりどりの山々などドラマティックなコントラストに満ちた国だが、常に姿を変え続けるロイガヴェーグルのトレイルでは、それらすべてを一気に楽しめる。
地熱地帯にあるランドマンナロイガルからスタートするこのトレイルは、アイスランド南部の高原地帯を通り、2010年の噴火で流出した溶岩流が谷を貫くエイヤフィヤトラヨークトル火山の麓に広がる緑豊かなソルスモルクまで達している。
Mountains of Madness

ソルスモルク(アイスランド)

© Alexandre Deschaumes

このトレイルの魅力をさらに高めているのが、夏の長い日照時間だ。トレッキングできる時間帯が長いため、広大でオープンな風景を最大限楽しめる。また、夜はキャンプファイヤーを囲みながらアイスランド民話に耳を傾けられる。
日程を数日延ばせば、このトレイルからフィムヴォルズハウルス・トレイルへ向かえる。このトレイルはエイヤフィヤトラヨークトル火山の新火口マグニとモーイ、氷河3本を抜けて、スコゥガフォス滝まで繋がっている。
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ベルリナー・ホーヘンヴェグ

オーストリア・アルプスを巡るベルリナー・ホーヘンヴェグ

オーストリア・アルプスを巡るベルリナー・ホーヘンヴェグ

© Nathalie Gandrille

  • 場所:オーストリア
  • ポイント:アルプス名峰の数々をノンストップで巡る
  • 距離:80km / 7日
  • ベストシーズン:6月〜9月
ベルリナー・ホーヘンヴェグはヨーロッパ近代アルピニズム発祥の地で、伝統的な山小屋群を繋ぐ標高の高いトレイルが含まれている。
ヒュッテ(山小屋)からヒュッテを結んでいくこのチャレンジングだが整備されているルートはフィンケンベルクの町からスタートし、木張りの壁とシャンデリアを持つ有名な文化財建造物ベルリナーヒュッテを含むいくつかの大きなハイライトを擁している。
このトレイルはツィラータールと、トゥクサー・ハウプトカム連峰の3,500m級3峰(ホックファイラー / グローセル・ミセラー / オルペラー)を結んでいる。
ツィラータール山地の絶景パノラマ

ツィラータール山地の絶景パノラマ

© Niklas Siemens

高山登山の経験、万全の装備、優れたフィットネスが不可欠となるが、このルートの踏破にエクストリームな登山スキルやクランポンはほとんど必要ない。
ルート完走を目標に設定していないなら、全ヒュッテに下山ルートが用意されているので、それを使って戻れば良い。
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《北米》

グランドキャニオン・リム・トゥ・リム

グランドキャニオンの深淵を巡る

グランドキャニオンの深淵を巡る

© pexels.com

  • 場所:米国アリゾナ州
  • ポイント:グランドキャニオンの壮大なスケールを体験できる唯一の方法
  • データ:片道38km / 往復4日間
  • ベストシーズン:5月〜10月
年間500万人が訪れるグランドキャニオンだが、その外縁から下へ向かう人はその1%もいない。しかし、この壮大なアドベンチャーを体験すれば、グランドキャニオンという世界最大の不思議のひとつの深淵に触れることになる。
グランドキャニオン北端ノースリムのカイバブ・トレイルからスタートし、コロラド川までの荒れた険しいトレイル(標高差1,800m・長さ23km)を歩いて下ると、グランドキャニオンを下から眺めるという実にユニークな体験ができる。
また、予約が取れれば、グランドキャニオンの底にある唯一のロッジ、Phantom Ranchで一夜を過ごせる。
カイバブ・トレイル

カイバブ・トレイル

© Ronnie Macdonald/Wikimedia Creative Commons

Phantom Ranchからは、グランドキャニオン南端(サウスリム)へ向けて1,370mを登る15kmのスイッチバック・ルート、ブライトエンジェル・トレイルが繋がっており、サウスリムからはトランスキャニオン・シャトルか徒歩で戻れる。
ちなみに、このルートでトレイルランを楽しみたい人のために参考として記しておくが、2016年にジム・ウォームズリーがノースリム〜サウスリム間往復最速タイム5時間55分20秒を記録している。
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ヨセミテ・グランド・トラバース

自然愛好家のパラダイス、ヨセミテ国立公園

自然愛好家のパラダイス、ヨセミテ国立公園

© Christian Pondella/Red Bull Content Pool

  • 場所:米国カリフォルニア州
  • ポイント:米国屈指の国立公園内を巡る究極のハイク
  • 距離:96km / 6〜7日間
  • ベストシーズン:7月〜9月
壮大なヨセミテ・グランド・トラバースには、ビッグウォール・クライミングのメッカとして知られるヨセミテ国立公園の一番奥と一番有名なエリアが含まれている。
このトレイルは無数のアップダウンを擁するが、景色はただただ最高で、退屈なセクションはひとつもない。
アンセル・アダムス・ウィルダネス・エリアから始まるこのルートでは、高くそびえる峰々、広々とした草原、巨大な滝、そして多数のスイムスポットに出会うことができる。
カテドラル・レイクでひと泳ぎ

カテドラル・レイクでひと泳ぎ

© Steve Dunleavy/Wikimedia Creative Commons

ヨセミテ・グランド・トラバースには、リトル・ヨセミテ・バレーを一望できる花崗岩の峰々を横断するトラバース、標高3,027mのクラウズ・レスト山の山頂へ向かうサイドトリップも含まれている。
また、長距離自然歩道のジョン・ミューア・トレイルの一部をハイクして、ヨセミテ・バレーで最も美しいとされるカテドラル・レイクでの素晴らしいキャンプを楽しむこともできる。
このハイクは、年間数百万人規模の観光客が訪れるヨセミテ国立公園の混雑を避けるのに最適だ。
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《南米》

インカ・トレイル

インカ・トレイルを通ってマチュ・ピチュを目指す

インカ・トレイルを通ってマチュ・ピチュを目指す

© Gaston Francisco

  • 場所:ペルー
  • ポイント:古代文明の足跡を辿り、世界の不思議と出会う
  • 距離:43km / 4日間
  • ベストシーズン:5月〜9月
“インカの失われた都市” へ続くこの絶景トレイルは、古代そのままの石畳を歩きながら、雲海と興味深い遺跡群が点在する蒸し暑い亜熱帯ジャングルを抜けていく。
インカ・トレイルはマチュ・ピチュ遺跡を目指すベストルートで、夜明けを迎えて霧が消える中、驚くべき歴史遺産がゆっくりと目を覚ましていく様子をサンゲート(太陽の門)から静かに確認できる唯一の方法でもある。
無数の階段をクリアすればこの景色

無数の階段をクリアすればこの景色

© [unknown]

この地域は立ち入りが制限されており、トレッキングには許可とガイドが必要となる。単独でのトレッキングは認められていないため、グループ行動が必須だ。
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トーレス・デル・パイネ Wルート

トーレス・デル・パイネ国立公園

トーレス・デル・パイネ国立公園

© Getty Images/Moment Open

  • 場所:チリ
  • ポイント:世界の果てで素晴らしく広大でワイルドな景色を味わう
  • 距離:74km / 4〜6日間
  • ベストシーズン:11月〜3月
パタゴニアは世界屈指の美しさを誇る自然保護区域で、鋸歯状の峰々や巨大な氷河、そして目の覚めるようなターコイズ色の湖を擁するトーレス・デル・パイネ地域は突出して素晴らしい。
一方通行のWルート(トーレス・デル・パイネ国立公園内の主要な谷を上り下りすることに由来する)は、トーレス・デル・パイネ峰やフレンチ・バレー、グレイ氷河の巨大な氷塊など、様々な驚きに満ちている。Wルートはグレイ湖と有名なトーレス小塔のどちらからでもハイクできる。
トーレス・デル・パイネはハイキングはもちろんトレイルランにも最適

トーレス・デル・パイネはハイキングはもちろんトレイルランにも最適

© Andrea Nogová

飛行機を最低でも2回乗り継いだあと、長距離バスで移動しなければならないというアクセスの悪さにも関わらず、ピークシーズンのトーレス・デル・パイネはトレッキング客で溢れかえるので、レフュジオ・ルートを希望するなら早期予約がグッドアイディアだ。
混雑を避けるには、滞在予定を延長してWルートの始点・終点を繋ぐ迂回ルート(Oルート)をハイクしよう。
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《アフリカ》

マウンテンズ・オブ・ザ・ムーン

アフリカらしからぬ風景が広がるルウェンゾリ国立公園

アフリカらしからぬ風景が広がるルウェンゾリ国立公園

© Albert Backer/Wlkimedia Creative Comons

  • 場所:ウガンダ
  • ポイント:喧騒を離れ、アフリカの秘宝を知る
  • 距離:65km〜75km / 7日間
  • ベストシーズン:12月〜2月
ユネスコ世界遺産に登録されているルウェンゾリ山地では、豊かな緑に覆われた山岳の谷地、1年中溶けない永久氷河、奥深い熱帯雨林など、アフリカの一般的なイメージとは異なる景色が楽しめる。
ルウェンゾリ山地には様々なトレイルが存在するが、その多くはキリマンジャロとケニア山に次いでアフリカ大陸で3番目に高い標高5,109mのスタンレー山のマルゲリータ山頂を目指す登山道を含んでいる。
この登山道はぬかるんだトレイルから始まり、山頂付近ではクランポンの装着とロープが必要になる。
ウガンダとコンゴ民主共和国の国境にまたがるマウンテンズ・オブ・ザ・ムーンは遠く離れたロケーションで体験できる並外れたアドベンチャーで、人間社会から完全に切り離されたトレッキングが楽しめる。
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ノース・ドラケンスバーグ・トラバース

ドラケンスバーグ山脈北部の美しい風景

ドラケンスバーグ山脈北部の美しい風景

© Scott N Ramsay/Yearinthewild.com

  • 場所:南アフリカ / レソト
  • ポイント:尖塔状の峰、バットレス、リッジ、ゴルジュなどを越えていくワイルドハイク
  • 距離:65km / 5〜6日間
  • ベストシーズン:3月中旬〜6月中旬 / 9月〜10月
ノース・ドラケンスバーグ・トラバースでのトレッキングでは、ドラケンスバーグ山脈最大のハイライトやユニークなテーブルマウンテンと洞窟に囲まれた峡谷を巡りながら、レソト高地の切り立ったクリフから絶景を味わえる。
この僻地の山岳ルートでは、通常はそびえ立つセンチネルタワーからスタートしたあと鎖はしごで断崖の頂上へ向かい、そこから南下してロッケリーズ峠へ向かうか、カテドラル・パークを巡ることができる。
数日間かけて山々を巡る

数日間かけて山々を巡る

© Dillon McEvoy

断崖には人が通れる道がほとんどなく、けもの道を手がかりにしたり、崖に点在する洞窟でひと晩を過ごしたりする時もあるノース・ドラケンスバーグ・トラバースは真のワイルド・ハイキングだ。

《オーストラリア / ニュージーランド》

オーバーランド・トラック

クレイドル山が背後に控えるオーバーランド・トラック

クレイドル山が背後に控えるオーバーランド・トラック

© Roxanne Desgagnes/Unsplash

  • 場所:タスマニア島 / オーストラリア
  • ポイント:オーストラリア屈指のワイルドで人里離れた絶景トレイル
  • 距離:80km / 6〜7日間
  • ベストシーズン:10月〜5月
オーストラリアを訪れて、タスマニアまで向かう観光客は少なく、この島の大自然のさらに奥まで向かう観光客はさらに少ない。
しかし、タスマニア奥地を巡るオーバーランド・トラックでは、南半球屈指の美しさを誇るハイクが体験できる。
オーバーランド・トラックは極めて印象的な景色を誇っているため、初日から驚きに満ちたハイキングになるが、クレーター湖やマリオンズ・ルックアウト、そしてクレイドル山といったハイライトを含むこのトレイルは高難度だ。
マリオンズ・ルックアウトからセントクレア湖を望む

マリオンズ・ルックアウトからセントクレア湖を望む

© Juan Jose Basagoiti Mancera/Wikimedia Creative Commons

熱帯雨林、平野、湖、松林、滝、湿原、山地などが含まれるオーバーランド・トラックはタフなトレッキングになるので、公式ウェブサイトにはハイカーが直面するチャレンジに関する注意事項が詳しく記されている。
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ミルフォード・トラック / ケプラー・トラック / ルートバーン・トラック

ニュージーランド最高のウォーキングルートと称されるケプラー・トラック

ニュージーランド最高のウォーキングルートと称されるケプラー・トラック

© Iswanto Arif/Unsplash

  • 場所:ニュージーランド
  • ポイント:1年を通じてハイクできるが、5月〜9月の冬季は規制される
  • 距離:ミルフォード(53.5km / 4日間)、ケプラー(往復60km / 3〜4日間)、ルートバーン(片道33km / 2〜4日間)
  • ベストシーズン:ニュージーランドが秋を迎える3月〜5月
ニュージーランド南島には実に多くのワールドクラストレイルが存在し、今回のリストのための選出作業は難航した。そのため、ここでは3本のトレイルをまとめて紹介することにした。
フィヨルドランド国立公園の奥深くにあるミルフォード・トラックは、テ・アナウ湖からミルフォード・サウンドまで続く一方通行のトレイルで、しばしば世界最高のウォーキングルートと評価されている。年間1万4千人がここをハイクしているのは、この高評価が理由だろう。
ミルフォード・トラックは川沿いに進み、湖を巡りながらマッキンノン峠を登る。この峠からは、南島の山々とフィヨルドランド国立公園が一望できる。
ミルフォード・トラック(マッキンノン峠付近)

ミルフォード・トラック(マッキンノン峠付近)

© AlasdairW/Wikimedia Creative Commons

同じくフィヨルドランド国立公園に位置するケプラー・トラックはチャレンジングだが、僻地のパノラマビュー、過酷な93本のスイッチバック、タフなアップダウンが含まれるテ・アナウ湖周辺の山々を巡る4日間の旅は満足度が高い。
ルートバーン・トラックからの絶景

ルートバーン・トラックからの絶景

© Ilya Grigorik/Wikimedia Creative Commons

ルートバーン・トラックは山岳地帯を進むルートで、ニュージーランド屈指の美しい景色が楽しめる。
このトレイルは草原地帯を縫うように進み、ぬかるみを歩きながらルートバーン峡谷を流れる川沿いを下り、水鏡のような小さな湖や勢い良く流れる滝、絶景の山岳地帯などを抜けていく。
また、美しい砂浜と入り江、南アルプスのクック山(かつてサー・エドモンド・ヒラリーがエベレスト登山の訓練を行った)を巡る高山ルートを擁する全長60kmのアベル・タスマン・トレイルもある。
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