【特別対談】角田裕毅×小林陵侑
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【特別対談】角田裕毅×小林陵侑、「個人競技って思われがちだけど…」

超一流同士の夢の共演。世界最高峰の舞台で戦い続けているレッドブル・アスリート2名が、お互いの趣味の話から今後の目標まで全てを語り合った。
Written by Red Bull Japan
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角田裕毅&小林陵侑 (お互いに)初めましてよろしくお願いします!
角田 陵侑(りょうゆう)って、長いと思うんで、何かニックネームとかってあるんですか?
小林 結構海外の人は《りょうゆう》って言えないんで、『ロイ』って呼んでくれます。
ニックネームは “ロイ”

ニックネームは “ロイ”

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角田 OKです! じゃあ、ロイって呼ばせていただきます。
小林 ユウキでいいですか?
角田 はい!
角田&小林 ではよろしくお願いします!
01

【趣味】 最近“あれ”にハマってる

角田裕毅 普段趣味とか、何かやってたりするんですか?
小林陵侑 最近はゴルフ
角田 あっ、ゴルフやるんですか? 昨日やってたんです。めちゃくちゃ日焼けしました(笑)
小林 それで日焼けしていたんですね(笑) 一緒にプレーしたいですね!
角田 そうですね。いつか一緒に行きましょう! 絶対! ただゴルフそこまで上手くないんですよねぇ。
小林 いやいや、僕もそんなに上手くないです。でも楽しいよね。
角田 そう、なんだろ? ゴルフって、メンタルというか自分の性格がメチャクチャでる。ゴルフクラブ投げるまではいかないけど、上手くいかないとイラッっとする(笑)。でもそこで力んだりすると絶対上手くいかない。その時“力み”の意味というか… スポーツって“力まない”ってことが重要だから。そういった意味ではメチャクチャ勉強になる。(そういうところも含めて)ゴルフ好き。
共通の趣味であるゴルフの話で2人の距離が近づく

共通の趣味であるゴルフの話で2人の距離が近づく

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小林 いや〜、わかってますねぇ(笑) なんか上から目線になっちゃいましたけど(笑)
角田 いやいや、でもみんな共通じゃないですか。スポーツって。自分では力んで“行くぞ!”ってなっているほうが、イケる気がするんだけど、結果としては全然ってことが。スキージャンプも一緒?
小林 そうだね。やっぱ道具を使うところも一緒だし、メンタルというところもあるし。正確な動きをずっとしていかなければならない。ジャンプも(一緒)。でも、そう考えたらF1も。
角田 F1は道具(マシン)と50/50だから、ちょっと変わってるかも。ゴルフ以外には何か?
小林 ゲームとかやるんだけど。さっきちょっと話した時に結構『エイペックス(・レジェンズ)』とかやるんだよね?
『Apex Legends』

『Apex Legends』

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角田 エイペックスめっちゃやる(笑)。エイペックスはもう(夢中になり過ぎてる)。イラッとすると、コントローラー投げて、部屋に2個ぐらい穴が空いてる(笑)。あとで直さなくちゃいけないんだけど(焦)。逆にロイは『荒野行動』だよね?
小林 そう。最近はあんまりできてないけど、シーズン中はずっとプレイしてる。自分はイラッとすると叫ぶね(笑)。
角田 (笑)暇潰しじゃないけど、普段やっていることができるっていいよね。(自分も)レースの結果が悪かったりしても、ゲームするとある程度リフレッシュできるし。
小林 そうだね。いいなぁ、俺もエイペックスやりたいなぁ。
角田 エイペックスは面白いよぉ。同じレッドブル・アスリートにもエイペックスやっている人いなかったっけ? いつかそういう方ともやってみたい。『エイペックス』と『荒野行動』って似てるよね。同じフィールド内で最後の1組が勝つ。
小林 でもエイペックスって(プレイするキャラクターで)役割があるでしょ?
角田 そう、アビリティ。キャラクターの個性、何て言えばいいんだろう? キャラクターごとに使えるスキルがあって、例えば壁を透過して敵の動きがわかったり。そっか、荒野行動は、銃撃戦(がメイン)だよね。
ゲームも共通の趣味の一つ

ゲームも共通の趣味の一つ

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F1とスキージャンプそれぞれの魅力と…ゲーム配信!?

角田 スキージャンプって結構空気抵抗を使う。F1も同じで、空気抵抗が命。前の羽(フロントウィング)は、空気抵抗を使ってマシンを下に押さえつけてグリップ力を上げる。あれがなかったら、滑っちゃってあんなに速く走れない。
小林 そうなんだぁ。確かにクラッシュの映像とか見ると、簡単に車体が飛んでくもんね。
角田 あれ、一応強度はあるんだけど。1つ1つ(のパーツが)繊細。羽(フロントウィング)とかも、“いくらすんの?”って言う感じ。みんなボコボコ壊すけど(笑)。スキージャンプにとって空気抵抗ってどんな感じなの? みんな飛ぶ時とか手をひろげたり、F1とは全然違う。
角田裕毅|F1ドライバー

角田裕毅|F1ドライバー

© Getty Images / Red Bull Content Pool

小林 その時に自分にあうスキー、(例えば)板のしなり方だとかを見つけるのが大変。バランスももちろん大切だし、結構スーツとかもメチャメチャ難しい。生地(の種類)とかでも全然違うし、カットも。大きすぎたら失格になる。
角田 そうなんだぁ。さっきちょっと話したけど、Wiiでスキージャンプをやったことぐらいしかないんだけど、ゲーム上ではギリギリでジャンプすればいいスコアがでたりする。あれと同じ?(笑)
小林 タイミングをわせるのは実際に必要。ただ脚力があればいいって話じゃなくて、どう流れを作っていくか? みたいな。“空中までどうやって持っていく?”みたいな。
角田 へぇ〜。空中ってどうやって飛んでいくの? しゃがんでいる状態からパっ!! ていくじゃん。あの飛び方も角度とかで全然違うの?
小林 そうだね。(選手によって)みんなイメージはバラバラだと思う。いかに前からの抵抗をなくして… 落ちていく感じなんだけど、それをちょっとでも伸ばせるか。
小林陵侑|スキージャンパー

小林陵侑|スキージャンパー

© Bor Dobrin / Red Bull Content Pool

角田 う〜ん。メチャクチャ奥が深そうだね。
小林 自分で“ずっと同じ動きをしてる”って思っていても、変わっちゃってたり。
角田 そう言うときってやっぱり外から見てる人、コーチとか絶対必要だよね。僕らは車載カメラの映像から、それぞれの走りを見ることができるから。ある程度自分で確認できる。
小林 さっきも一緒に映像を見てたけど、普段から映像をよく見るの?
角田 そうだね。どうスタートしているか? どんな動きをしているのか? 暇があれば。だいたいYouTubeで見てるんだけど、レースも重要だけどゲームも重要だから(笑)。エイペックスのプロのプレイスタイルをよく見て、上手いプレイを見て、それでゲームしたくなってマネするんだけど… 全然できない(笑)。マネしようとした瞬間即死でイラってゲームやめて、YouTube見てまた上手いプレイをマネしようとする。その繰り返し(笑)。
小林 でも上手い人のプレイを見て。(自分も)試すのってメチャクチャ大事だよね。
角田 そう。それで新しい発見だったり。その積み重ねだからね。ゲームは楽しみだから、(上手いプレイを見て)“じゃあ練習しよう“ってところまではないけど、いつか配信とかして、プロのeスポーツアスリートとプレイしてみたい。

1分

実際のトークの様子 - 01|角田裕毅×小林陵侑

02

【精神】 世界が相手だと緊張する?

角田 緊張はする。絶対緊張するし、しないようにすると力むし、焦るから。だからもう受け入れてるかな。ある意味レース前にいっぱい緊張して、レースのときはしないようにしている。まぁでも最近は緊張といい接し方ができていると思う。“(胸が)バクバク”する感じもないかな。
小林 緊張しなさそうなタイプだと思ってたけど、やっぱり緊張するんだ。
角田 緊張するときはする。けど今はそこまでじゃない。今はう〜ん…F1ってやっぱり周回数が長いから、それにレースごとにチームも相当準備してきているし、ある程度責任があって。1周目スタートから混乱でぶつかって終わっちゃうこともある。それは一番したくない。チームもガッカリする。そうならないためにスタートのシミュレーションのときに緊張するぐらい。ロイは緊張しないの?
“緊張”との向き合い方

“緊張”との向き合い方

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小林 緊張する。メチャクチャする。緊張で上手く動けない時も多い。だからメンタルトレーニングを取り入れてる。それで今、だいぶ克服というか、いい感じで付き合えてる。
角田 俺たちは毎年同じレースをこなすけど、ロイはオリンピックとかあるじゃん。オリンピックって4年に1度なワケで、そこで勝つって(他の大会とは)全然違うワケで。やっぱり“4年に1度”っていうのがマインドに来る。それって絶対緊張すると思う。僕らの世界からしたら全然想像がつかないけど。それってどういうふうに付き合っているの?
小林 次のオリンピック(北京五輪)に出られたら2回目のオリンピックなんだけど、1回目はそんなに期待もされてなかったし、隣の韓国(平昌五輪)で、あんまり緊張、プレッシャーは掛からなかったから大丈夫だった。今回はそれなりに成績も出ているし、みんなもメダルを期待してくれるんだけど… 緊張するよね(笑)。絶対緊張する。
(※対談はオリンピック大会開催前に収録)
緊張は“する” それは期待への反応

緊張は“する” それは期待への反応

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角田 俺もF1の開幕戦とか全然緊張しなくて。自分の実力が分からなくて、自分がどこまでいけるかなんて。でもやるしかないから、そのときは緊張しなかった。でも、ある程度わかってくると、自分の中の期待が生まれて緊張する。
小林 しかも、日本でも(角田の)ニュースとか半端なかったからね。“角田裕毅、F1参戦”って。
角田 緊張するね。期待されるとやっぱり。
角田 メンタルトレーナーとも話して最近よくやっているのが、レース前の20分前とかから音楽聴いて、ソファーに横たわってずっと深呼吸している。ずっと深呼吸して眠くなるくらいまで。そしたら力が抜けて、期待とか緊張をあまり感じなくなる。ロイはどう? 何かある?
小林 うーん… 緊張を解くルーティーンはあんまり無いかな。俺もそれやってみようと思う。
角田 (もともと)俺も無くて。俺はそれが合ってた。そういう自分に合うのがあればね。
小林 音楽ってどういう音楽を聴くの?
角田 音楽は、最近は日本のラップにハマってる。ラップというかラップとJ-POPが混ざった感じ。有名なとこでいうと「¥ellow Bucks」とか、「変態紳士クラブ」とか。ロイはなにか好きな曲とかある?
小林 僕も「変態紳士クラブ」は聞くし、「WILYWNKA」カッケーなぁって思うし。「JP THE WAVY」もカッコいいと思う。めっちゃカッコいいから是非聴いて見てほしい。

1分

実際のトークの様子 - 02|角田裕毅×小林陵侑

03

【未来】正直、今の自分の目標って何?

小林 なんかジャンプとか(F1以外の多くの)他の競技だったら、オリンピックっていうのがあるから、そこが一区切り。そこは全アスリートが知っているから、そこを成し遂げたいけど。ユウキはどう?
角田 俺はどうだろうなぁ〜。多分F1でチャンピオンになったら、ある程度“行けるとこまで行ったぁ!”っていうのがあると思う。ただそこからでも、やっぱり自分の野望としては、今あるF1ワールドチャンプの記録7回を超えたいと思うし、そこまでいけたらいいなぁって思う。まぁそのためにしているのは、焦らないで基礎作りというか、さっきも話したルーティーンじゃないけど、リラックスしたり、アプローチするとこだったりが見つかり始めてきた。
お互いの目標とは?

お互いの目標とは?

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ルーキーだった1〜3戦目とかまでは、正直自分の中で自信に満ち溢れていて、“いきなり優勝したい“とか、“表彰台にのりたい”とか、そういうふうに先走って結局ミスが多くなったりして結果にも結びつかなかった。でも最近は、ステップバイステップって考えるようになって、そこからは自分の走りも安定してきた。だからこれでいいと思ってる。
小林 流石! しっかりしてるね、本当に。やっぱり大きいとこだけ見てても焦っちゃうから。
角田 自分は最初からガツガツ行きたいタイプだったけど、F1ではそれがミスやクラッシュにつながる。F1でクラッシュすると、それで何億とかかかっちゃうから。それを負担するのはチームであって、やっぱチームがあっての僕だし、開発もあるわけで。それ(クラッシュなど)は良くないこと。
角田裕毅

角田裕毅

© Getty Images / Red Bull Content Pool

小林 そうだよね。F1のマシンってなると何億だもんね。ジャンプはそんな、スーツが使えなくなるぐらい。F1ってやっぱり規模がヤバい。
角田 F1ってやっぱりチーム。チームが必要。サッカーまでのチームワークとは… いやそのくらい。やっぱり運転するためにはメカニックさん、整備する人が必要だし… サッカーと同じ。個人競技って思われがちだけど、F1はチームワークでやるスポーツ。最終的には個人として成功しなくちゃいけないワケだけど、チームワークが必要で、そこが意外と面白い側面だと思う。
小林陵侑

小林陵侑

© Bor Dobrin / Red Bull Content Pool

小林 裏方が凄いんだね。ジャンプもそれで言ったら、板を作る人と、あとさっき言ったとおりスーツも凄い大事だから、カットを考えてくれる人とか。コーチもそうだし。ま、1人じゃできないね、個人競技も。
角田 1人じゃできないね。最終的に全ての人の力を借りないと。1人で行ける人もいるのかもしれないけど、なかなかそういう人はいないと思う。
04

【暮らし】 海外生活について

小林 日本にいることある?
角田 いや、ない。俺はもう慣れちゃったから。2019年にスイスで初めて1人生活をして、本当に誰もいなくて。トレーナーとは一緒に過ごしてきたけど。夏休みに帰ろうとは思ったけど、帰ったらトレーニングとかしなくなるし、トレーニング嫌いだから(笑)。それに日本に帰ると日本食が恋しくなるから。それが今は慣れていて。
小林 やっぱり日本に住んでるから。北海道に住んでるから、遠征のときは日本食が恋しくなるかな。いつものシーズンだったら、2ヶ月に1度のペースで帰れてはいたんだけど、昨シーズンの冬は5ヶ月行きっぱなしとかで、初めての感じだったから、日本が恋しくなった。
05

【最後に】 まとめ&意外な繋がり

最後に、実は...

最後に、実は...

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角田&小林 ありがとうございました!
角田 いろんな経験、アドバイス。違うスポーツの話を聞くと凄い参考になるし、ありがとうございます。
小林 やっぱスゲェなって思う。リスペクトです。
角田 実はもともとヘルメットを塗っている(施工する)ところが同じだったんだよね。お互いヘルメットを使うスポーツだから。たまたまペイントしているところ(施工業者)が同じで、もともとロイのこと知っていたから、会えて光栄でした(笑)。
角田&小林 これからも頑張りましょう! ありがとうございました!
(了)
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─[記事を読んだ方にオススメ]──────
◆ 小林陵侑の密着型ドキュメンタリー『LIMITLESS - 再起への挑戦 -』がRed Bull TVにて公開中。

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