静かにしてみましょう。呼吸の音が聞こえるでしょうか?
呼吸は私たちのすべてで生きるために毎日行っていることですが、私たちの大半がその存在を無視しています。
ですが、呼吸を強く意識すればフィジカルとメンタルの両面で大きくレベルアップできるようになります。そして幸運なことに、スポーツがその助けになってくれるのです。
1983年に科学者2人によって行われた研究はストライドのタイミングで呼吸をしていたランナーたちが最も高いパフォーマンスを残せたことを示しています。
ですが、スポーツ “中” の呼吸だけが集中を高めてパフォーマンスを伸ばす助けになるのではありません。イベントやレース、フットサルの試合など様々なスポーツ “前” に呼吸法を取り入れれば不安感や睡眠不足が解消されるので、本番で活躍できるようになるのです。
日常生活に取り入れることでパフォーマンスを向上できる呼吸テクニックをいくつか紹介しましょう。
数秒かけて息を吸い、次に同じ秒数をかけて息を吐き出します。この動作に違和感を覚える場合は慣れる必要があります。なぜなら、非効率的な呼吸の代表格「慢性浅呼吸」(せんこきゅう)をしている可能性が高いからです。
「浅呼吸」は横隔膜の代わりに胸だけを使って最低限の酸素しか取り入れていない呼吸を意味します。
「浅呼吸」の原因は姿勢、ストレス、不安、そして身体的制限などいくつも考えられます。「浅呼吸」をしていると身体が “ストレスを感じている” と思うようになるため、この呼吸が長引けば長引くほど、私たちのメンタルはストレス下に置かれるようになってしまいます。
結果、免疫力の低下や呼吸困難などのフィジカルの問題が表出するようになります。さらには首や肩、胸が凝りやすくなり、姿勢が悪化したり、スポーツのパフォーマンスが落ちたりします。ですので、以下の呼吸法を取り入れましょう。
「浅呼吸」の対極に位置するのが「深呼吸」で、「深呼吸」は横隔膜を使用します。赤ちゃんは「腹式呼吸」が自然にできており、寝ているときは胸ではなく腹部が動いています。大人も同じ呼吸をするのが理想です。上半身全体を使って深く息を吸い込みましょう。
「腹式呼吸」はフィジカルとメンタルにいくつもの恩恵をもたらします。その中で最も重要なのが “副交感神経系を機能させる” です。副交感神経系が機能すれば身体が休まり、消化機能が高まります。
さらには、エナジーを体内に循環させ、心拍数を下げるので全身がリラックスできるようになる他、免疫力が高まり、血行と消化が良くなり、活力が増します。
メンタル面に目を向けると、「腹式呼吸」は落ち着きと集中を得る助けになります。要するに「腹式呼吸」は安寧と休息の地への片道チケットなのです!
背中を背もたれに預けてまっすぐ椅子に座るか、床にあぐらをかいて座ります。目を閉じて、背中が丸まらないように肩幅を保ちながら自分の呼吸に集中します。片手をへその下に置き、もう片方の手を胸の上に置きましょう。
鼻から深呼吸をして腹部が膨らむのを感じてください。呼吸のたびにへその下に置いた手が動くのを感じながら、5〜10分間ゆっくりと呼吸を続けましょう。目を閉じるとさらに効果が高まります。
床に仰向けで寝て、両足裏を壁につけた姿勢でも構いません。「腹式呼吸」は練習を重ねていけば自然にできるようになります。
身体をリラックスさせる
免疫力を高める
血行を改善する
気持ちを落ち着かせる
体内に取り入れる酸素量を増やす
トレーニング前のウォームアップ
本番やイベント前
ストレスを感じているとき
身体が緊張しているとき
膝を立てて足裏を床につけ状態で仰向けに寝ます。片手を腹部に置きリラックスして呼吸を数回行います。吸うと吐くを同じ長さで延ばしていきます。吸うと吐くの長さが1:2になるまで吐く息を延ばしていきましょう(細く長く)。5〜10分呼吸を続けます。
ハードなランを終えた直後や冷たい風に晒された状況では呼吸が難しくなります。このようなときに長く吐くようにすれば、呼吸のコントロールを取り戻してスタミナの無駄遣いを防げます。
心拍数をチェックして、必要に応じてペースダウンする© Getty Images
眠れないとき
不安を感じたとき
本番やビッグイベントの前夜
これはヨガの呼吸法で、口を閉じて鼻で呼吸します。鼻から静かに吸い込んだあと、喉に当てるようにハミング( “ンー” とハチの羽音のような音で)をしながら鼻から息を吐いていきます。頭全体にハミングの振動が伝わっていることを確認してください。
ある程度慣れてきたら両手で耳と目を覆い(手の平で耳、指で目)、ハミングに全集中してみましょう。ある程度長く続けましょう(慣れたら30分程度)。
ストレスや不安を軽減する
不眠症を改善する
落ち着きを取り戻せる
記憶力と集中力を高める
喉をクリアにできる
本番前の朝・午後
不安やストレスを感じたとき
風邪で喉の痛み、鼻づまりがあるとき
集中したいとき