Ultramarathon runner Tom Evans braves the cold weather
© Adidas Terrex
ランニング

寒い日も走り続けるためのヒント

雪・氷・雨・風にモチベーションを奪われがちなウインターランニングの攻略・継続方法をウルトラランナーが教えてくれた。
Written by Jennifer Bozon
読み終わるまで:5分Published on
冬のランニングはハードルが高い。氷や雪を直接相手にしなければならない場合は特にそうだ。
ウインターランニングでは、温かくて居心地の良いベッドを抜け出し、体の芯まで凍える寒さの中で走るという誰もが知っている拷問の他に、安全面も考慮しなければならない。滑って転ぶ可能性があるのだ。
様々な顔を持つ母なる地球を相手にするランニングを熟知しているひとりが、レッドブルアスリートとして活躍するプロウルトラランナー、トム・エヴァンスだ。
毎週最大30時間のトレーニングスケジュールの中に、予想不可能なアルプスでのランニングも取り入れることがあるエヴァンスは、悪天候を幾度となく経験してきた。
今回はそんなエヴァンスに、モチベーションを保ちながら、安全かつ快適にウインターランニングを行うためのヒントを教えてもらった。

1. ウォームアップ(&クールダウン)

寒い日は軽いウォームアップから始めよう

寒い日は軽いウォームアップから始めよう

© Adidas Terrex

エヴァンスは、軽いウォームアップで体をほぐし、クールダウンでリカバリーをスピードアップさせることを推奨している。
「セッションの前に必ずウォームアップすることが重要だ。寒い日は特にね。僕は15~20分のウォームアップをしているよ。最初の5分はかなりイージーだ。セッション後は、保温性に優れたウェアを着て、20分のクールダウンをする」
「こうすることでリカバリープロセスがスタートするんだ。また、そのセッションを振り返る時間にもなる」

2. トレーニングデータは全体を見る

ウインターランニングは、低い気温や強風が原因で通常のランニングより難しくなる。エヴァンスはひとつのデータ項目に拘らないことを推奨している。
「天候が極端だと、その分パフォーマンスも極端になる。だから、ペース、距離、心拍数、フィーリングを全て含めてセッションを捉えるようにしている。これらを総合してパフォーマンスの良し悪しを判断しているんだ」

3. テクニックを変える

可能なら新雪の上を走ろう

可能なら新雪の上を走ろう

© Getty Images

エヴァンスは、雪と氷の中で走る時は普段とテクニックを変えるべきだとしている。
「僕の場合は、ストライドを短くして、地面に近づいて走るようにしている。安定感が増すし、地面が急激に変化しても対応できるんだ」
「あとは、固まっている雪や氷の上ではなく、フレッシュな雪の上を走るようにしよう。新雪の上を走るのは楽しいし、倒れても痛くないからね!」

4. コンディションに合ったシューズを履く

足先が濡れて冷えるのを避けるために、エヴァンスはGORE-TEXが使用されているシューズを履くことを推奨している。
「GORE-TEXはここ数年で大幅に進化しているから、GORE-TEXを使用している優秀なシューズの選択肢が増えているんだ」と語るエヴァンスは、グリップ力に優れたシューズを選ぶことが重要だと続ける。
凹凸のあるハイクオリティなソール(Vibram製かContinental製がベスト)を備えているシューズを選ぼう。僕の場合は、寒くて濡れている日はAdidas Agravic XT GTXを履いている。あらゆる地形に対応できるし、つま先の温度も保ってくれる優れものなんだ」

5. 保温性に優れたウェアを着る

ハイクオリティなランニングジャケットで風を防ごう

ハイクオリティなランニングジャケットで風を防ごう

© Adidas Terrex

エヴァンスは「ハイクオリティなロングスリーブのランニングジャケット」がウインターランニング必須アイテムだとしている。
「夜間も走れるリフレクターがウェアについていればさらに良いね。あと、僕は寒い日が好きじゃないから、ちゃんと着込むようにしているんだ」
ビーニーをかぶって、ネックウォーマースヌードも着けているよ。でも、レースではランニングショーツとベストだけさ!」

6. 擦過傷を防ぐ

エヴァンスは、雨の日のランニングには擦過傷予防の製品を用意すべきだとアドバイスを送っている。
「雨に日は余計に擦れやすくなる。僕は、Squirrel’s Nut Butterの製品を使って擦れないようにしているんだ。あとは、セッションを終えた直後に着替えられるようにスペアのウェアも用意しよう。すぐに体を乾かすことが大切だ」

7. ルートを決める

冷え込んでいる日はルートを事前に決めておこう

冷え込んでいる日はルートを事前に決めておこう

© Wayne Reiche / Red Bull Content Pool

エヴァンスは、天候が大きく崩れている日は、スタート前にルートを決めておくことが重要だとしている。
「僕はGarmin Connectでルートを設定しているんだ。こうすることで、雪がルートの難度や危険度を高めるエリアを避けているんだ」

8. グローブを装着する

エヴァンスは、冷気と風を断つハイクオリティなグローブが不可欠だと考えている。
「走っていると手が冷え切ってしまうから、常にバックパックにグローブを用意しているよ。雨や雪が降った日はスペアグローブを用意して、濡れたらすぐに替えられるようにしている」

9. 風に負けない

エヴァンスは、強風はウインターランニングを諦める理由にはならないとしている。
「風が強いと押し返されてしまうけれど、質の高いトレーニングを行うことは可能だ。重要なのは、ペースではなくて力の入れ方を意識することだ。リラックスして、背中を丸めずにいつも通り走ることだね」
「あとは、ポジティブな気持ちを保つこと。向かい風に気が参りそうになるかもしれないけれど、どこかで必ず追い風になるし、そうすれば一気に楽しくなる。とはいえ、風速が72~80km/hの日は、屋外ではなくてトレッドミルなどに切り替えるべきだよ!」

10. 目標を意識してモチベーションを維持する

最終目標を意識すれば寒い日も乗り越えられる

最終目標を意識すれば寒い日も乗り越えられる

© Adidas Terrex

エヴァンスは、外に出てトレーニングするためのモチベーションを得るのに苦労する日は、そのトレーニングが最終目標に与える影響について考えるようにしている。
「そのセッションがアスリートとしての僕の成長に関わってくることを強く意識するんだ。フィットネスを高めるためには一貫して続けることが大事だということは分かっているから、ほんの少し天気が悪いだけで一貫性を失うわけにはいかない」
「モチベーションを高めるもうひとつの方法はフレンドと走ることと、カフェの近くでセッションを終えることだね!」