F1
マックス・フェルスタッペンが群雄割拠のグリッドと再び対峙するF1 2025シーズンとレギュレーションの大変革が待ち受ける2026シーズンを、7つのポイントから解説する。
F1は2025年に創設75周年を迎え、同シーズンは2022シーズンのルール変更で導入された新エアロコンセプトのマシンのラストシーズンになる。さらに、2026シーズンには大規模なルール変更が実施される予定で、戦力図に劇的な変動が起きる可能性がある。オラクル・レッドブル・レーシングにとってはトップグループ残留が大きなチャレンジとなる。
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ファステストラップポイントの廃止
決勝レース中にファステストラップを記録したドライバーに与えられる追加ポイントは、このルールが導入された2019シーズン以来、オラクル・レッドブル・レーシングにとって有用なポイント源となってきた。
マックス・フェルスタッペンはこのファステストラップポイントを他のどのドライバーよりも多く計上しており、これまで合計29ポイントを獲得している。また、オラクル・レッドブル・レーシングも合計39ポイントをコンストラクターズ選手権に加算している。
このファステストラップポイントは2025シーズンに廃止されるが、この制度は決勝レースにコンペティティブな要素を追加していた。セルジオ・ペレスは廃止を残念に思っている数少ないドライバーのひとりだ。ファステストラップポイントの廃止について、ペレスは次のように語っている。
「チームやドライバーの間で僅差のタイトル争いが展開されている状況では、ファステストラップポイントが大きな違いを生む。1シーズンで合計24ポイントにもなる。かなり良い制度だと思っていたし、変更する理由が分からない」
公正を期すならば、ファステストラップポイントが結果を左右したことは過去のいずれのタイトル争いにおいて一度もなかった。また、このボーナスポイントを獲得できるのは上位10位以内で完走したドライバーのみが対象となっていたため、グリッド後方のチームが恩恵を受けることは稀だった。
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若手ドライバーのチャンス拡大
2025シーズンから、各チームがジュニアドライバーにフリープラクティス参加の機会を与えることが義務付けられる。これは、レッドブル・ジュニアチームの若手ドライバー育成の助けになるはずだ。
ガレージに沿って進んでいけば、カルロス・サインツとピエール・ガスリーもかつてのレッドブル・ジュニアチーム所属ドライバーで、ガスリーの僚友としてアルピーヌに加わってF1に昇格するジャック・ドゥーハンも同じだ。
ドライバーラインアップに目立った変化がなかった過去数年を経て、2025シーズンはキミ・アントネッリ、オリバー・ベアマン、そしてガブリエル・ボルトレートなど多数のヤングタレントたちがF1昇格を果たすことになる。今回のルール変更は、さらに多くのヤングタレントが将来のF1デビューに向けて準備を整える手助けにもなるだろう。
03
2026シーズンに向けたパワーユニット開発
コース上では2025シーズンのタイトル争いに全員の注目が集まるが、その舞台裏で各チームは2026シーズンに向けた準備に多大なリソースを割くことになる。最大の変化は、サステナブル燃料を100%使用し、出力の半分を運動エネルギー回生システムでまかなう新世代パワーユニットへの移行だ。
オラクル・レッドブル・レーシングとビザ・キャッシュアップ・RB F1チームは、過去20年のレース参戦歴で初めて内製エンジンを製作するチャレンジに直面する。現在、レッドブル・パワートレインズはF1新時代に突入するこの2チームに供給されるパワーユニットの設計と改良を進めている最中だ。
先月、FIAは、各チームが新技術を習熟するための助けとして、新エンジンのために特別な3日間テストを3回実施してから2026年シーズンを開幕することを発表した。
04
見えてきた新世代F1マシンの姿
オラクル・レッドブル・レーシングとビザ・キャッシュアップ・RB F1チームは、2026シーズンに向けて新たにRB21およびVCARB02の開発も進めなければならない。2026シーズンの新世代マシンはより軽く、より機敏にすべくデザインされ、より接近したレースを奨励するための巧妙なテクノロジーを備える。
アクティブエアロはフロント / リアウイングを可動化し、ドライバーが前走マシンにより接近できるようにする。前走マシンから1秒以内に接近すれば、バッテリー出力がブーストされてオーバーテイクが容易になる。また、ドライバーの安全性を高めるべく、2026シーズンのF1マシンはこれまで以上に堅牢になる見込みだ。
05
ルール変更がF1にもたらす影響とは
F1のルールは複雑かつ詳細だが、それでもマシンデザインの解釈は各チームによって大きく異なる。したがって、モータースポーツというより広範な文脈からそのルールをマクロに振り返る価値はある。
モータースポーツとは、単なるエンターテインメントではなく、次世代の車両やエンジン、タイヤ、燃料を開発すると同時に、それらをサステナブルで信頼性が高く、再利用可能にすることでもあるのだ。また、より多くのチームを追加することで、このスポーツの規模を拡大し、競技性を高めることも重要だ。つまり、コストダウンも不可欠になる。
これらが念頭に置かれているため、F1のルールでは各チームが使用できる新品エンジン・タイヤ・コンポーネントの数が制限されているだけではなく、各チームがマシン開発に投入できる予算も制限されている。効率がすべてなのだ。
06
発展を続けるスプリントレース
2025シーズンはスプリントレースが6戦開催される予定だ。2024シーズンから引き続きスプリントを開催するのはブラジルだけだが、2024シーズンにスプリントを開催しなかったベルギーがカレンダーに復帰する。
金曜日にフリープラクティス、同日午後にスプリント予選というフォーマットに変更はない。その後、土曜日に100kmのスプリントレースが開催され、続いて決勝レースのグリッドを決める予選が開催される。日曜日は決勝レースが開催される。
2025シーズンにスプリントレースを開催するのは、上海、マイアミ、スパ・フランコルシャン、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ、インテルラゴス、ルサイルの6サーキットだ。
07
F1世界選手権2025シーズン 開催カレンダー
2025シーズンの開催カレンダーの主な変更点は、オーストラリアGPが伝統のシーズン開幕戦に復帰することだ。また、2025シーズンはダブルヘッダー(2連戦)が5回あり、トリプルヘッダー(3連戦)も4月の日本 / バーレーン / サウジアラビアとシーズン終盤のラスベガス / カタール / アブダビなど3回ある。
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