美しい道路と山道についてはいくらでも語ることができる。圧倒的な自由を感じられ、アドベンチャーを味わえ、息を呑むような絶景がコーナーごとに待っている。
しかし、そのような景色の裏には恐ろしい事故が待っている。今回紹介している世界で最も危険な道路・山道を走るなら、旅行保険だけではなく生命保険にも入っておく必要がある。
というわけで、世界で最もクレイジーでマッドな道路・山道を9本集めてみた。
01
1:バイブルト D915(トルコ)
古くから世界で最も危険な道路として知られてきたバイブルト D915は、1916年にロシア人兵士たちによってソーアンル山の斜面に建造された。
このハイウェイは全長179kmだが、悪名高いのはオフからバイブルトへ続く北のセクションで、ここでは危険に危険が続くことになる。たとえば、写真の連続ヘアピンをチェックしてもらいたい。29カ所のヘアピンはどれもガードレールがない。
02
2:雅康高速道路(中国)
美しい森林から霧深い山頂まで、四川省・成都市からチベット・ラサ市を結ぶ全長2,000kmのこの高速道路には見所がいくつもある。
しかし、この高速道路は連続ヘアピンや雪崩・地滑り頻発エリアなどが含まれているため、美しい景観に心を奪われないように運転する必要がある。また、1954年の完成までに1,000人以上の作業人が死亡したと言われているこの高速道路は今も死者を出している。
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3:北ユンガスの道(ボリビア)
「死の道」という別名がこの道路について知っておくべきことを教えてくれている。
1930年代、チャコ戦争のパラグアイ人捕虜によって建造されたこの全長400kmの道路はユンガスとボリビアの首都ラパスを結んでいる。この道路の北部は最高で標高4,000m地点を通過するガードレールなしの険しい山道にもかかわらず、主に追い抜きが原因で毎年300人を超える死者が出ている。
この道から学べる教訓があるとすれば、それは「追い抜き禁止」だ。
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4:郭亮トンネル(中国)
中国・河南省の太行山脈の中にあるこの見事なトンネルは、1972年から1977年にかけて地元の13人の男性が手作業で崖をくり抜いて建造された。
驚きそのものと言えるこのトンネルで最も驚かされるのは、手作業で建造されたあと地固め作業がほとんど行われていないという事実だ。下の動画を見れば、どれだけ危険かが理解できるだろう。
真の恐怖が1.2km続くこのトンネルは、建造が難航したこともあり最大幅が4mしかない。建造に関わった作業員たちはハンマーとのみしか持っていなかったため、最も難航したセクションでは3日で1mしか進めなかったと言われている。この道路は彼らの情熱の結晶なのだ。
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5:カラコルム・ハイウェイ(中国 ― パキスタン)
標高4,693m地点を通過するカラコルム・ハイウェイは世界一の高所を通過する舗装路として知られており、世界八番目の不思議のひとつに数えられる時もある。このハイウェイは1959年に建造が始まって1979年に開通したが、それまでの道のりは楽ではなかった。
厳しくて辛い冬とモンスーン気候による多雨が特徴の夏はコンディションを非常に難しくなるため、800人以上のパキスタン人と200人以上の中国人が落石と地滑りによって建造作業中に命を落とした。
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6:ゾージ・ラ(インド)
片側にドラス盆地、逆側にカシミール盆地を望むゾージ・ラは半年間通行止めになる。多雪地帯で道路の除雪が完了するまで丸2ヶ月かかるので、通行止めが解除されるのは春遅くになってからだ。
全長9km・海抜3,528mのこの一車線の細い道路にはまったく舗装されていない土と砂利だけのセクションが含まれており、最高標高地点は酸素が薄いため早急に通過することが推奨されている。
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7:ハナ・ハイウェイ(ハワイ)
ハワイはすべてが美しいが、ひときわ目を引くハナ・ハイウェイには地球で最も危険な道路のひとつに数えられているという事実が隠されている。
マウイ島のハフルイとハナを結ぶこのハイウェイは全長50マイル(約80km)しかないが、肝を冷やすような細いセクションや620カ所のカーブ、59本の橋(うち46本は一車線)が含まれているため、通過には3時間以上かかる。
尚、奇妙なことに59本の橋の中には1910年に建造された古い橋も含まれているため、今後も無事架かり続けることに期待したい。
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8:スキッパーズ・キャニオン・ロード(ニュージーランド)
ニュージーランド・南島のオーラム山自然保護区(Mount Aurum Recreation Reserve)内に位置する全長16マイル(約26km)のこの道路は、19世紀中頃にスキッパーズ・キャニオンで起きたゴールドラッシュの最中に手作業で建造された。
ひと言にまとめれば、スキッパーズ・キャニオン・ロードは険しい崖に作られた細い砂利道程度のクオリティで、その危険さはレンタカーを借りて自分たちだけで走ろうとすると保険が下りなくなるほどだ。
では、どうやったら走れるのか? 正解は「現地ツアーガイドに同乗してもらう」だ。彼らはここを良く知っている。
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9:ロス・カラコレス(チリ)
今回紹介している他の道路と同じで、ロス・カラコレスも、アルゼンチン最高峰アコンカグアの威容など、骨を抜かれるほど美しい絶景をいくつも擁するが、同時に非常に危険だ。
内蔵が捻れるほど鋭角なターンと厄介なブラインドコーナーがエンドレスに続くこの道路では我慢がカギになる。トラクターが前走している時は特にそうだ。1年の大半が雪に覆われているので通行できる時期は限られているが、走る時は余裕を持ち、安全運転を心掛けよう。