A render of Yoshi IRL
© Josh Dunlop
ゲーム

クッパとヨッシーが現実世界に存在したら?

ポケモンをリアルに描いて話題となったアーティストが、キノコ王国の人気者たちをスーパーリアルに描いてみた!
Written by Ben Sillis
読み終わるまで:7分Published on
ファンアートを手がけるジョシュア・ダンロップ。彼のInstagramアカウントは、ポケモンがこの世に生きていたらどんな姿なのかを我々に想像させる、美しい(時として気持ち悪い)3Dポケモンで知られている。本物の植物のように描かれたポケモンから、ただ驚くしかない奇妙な有袋類のように描かれたポケモンまで。ダンロップが手がけたリアルなクラシックポケモンたちは、世界各地のポケモンファンにインスピレーションを与えてきた。そして、その彼が帰ってきた。
Red Bull Games独占となる今回の記事の中で、ダンロップは『マリオ』シリーズの人気キャラクターがキノコ王国から抜け出してきたらどうなるのか? または我々がキノコ王国の中に放り込まれたらどんな世界が待っているのか? を想像させるスーパーリアルなクッパ、ヨッシー、キノピオを用意してくれた。しかも、その制作プロセスも丁寧に教えてくれたので、自分で描いてみたいと思っていた人は参考にしよう。スペシャルギャラリーを見ながら、ダンロップ本人のコメントとアドバイスを読み進めよう。
インスピレーション
3Dソフトの操作は簡単ではないが、おそらくダンロップにとって一番難しいのは、任天堂が誇る人気キャラクター陣の色や能力、姿が現実世界でどのようになるのかを想像することだ。クッパの場合は、その大きさに苦労したようだ。ダンロップは「まずはオリジナルの画像をあらゆる角度から確認して、自分が何を描こうとしているのかを明確に理解しようとします」と説明している。
次はいわゆるブレインストーミングだ。「それからムードボードや自然風景の写真を使ったコラージュなどをして、インスピレーションを得ていきます。ユニークでディテールの細かい画像をインスピレーションの源にしています」
当然ながら、ヨッシーではトレードマークの舌を活かすことになった。ダンロップが続ける。「キャラクターの特徴が見えてきたら、様々なアイディアやポーズを試しながら、僕のスタイルに合うものを見つけていきます」
ZBrushで3Dモデリング
次に、ダンロップはデジタルスカルプトアプリケーションのZBrushで3Dモデルを作り上げていく。このアプリケーションはビデオゲームや映画の制作現場に導入されているもので、初心者には操作が難しいかもしれないが、ダンロップはシンプルなステップ、円の描画からスタートさせている。
ダンロップが説明する。「まずSphereを選択して、Moveブラシで色々な形を試していきます。Sphereを大量に用意して、それらを徐々に小さくしながら、引き離してテールを作ります。Sphereは腕や足を素早くモデリングするのに最適ですね。原型となる形を生み出せたら、そこに筋肉を付けたり、シワを入れたりして、全体が自然に見えるように仕上げていきます」
そしてポリゴン上へのペイントを施したあと、今度はテクスチャ処理を行う。ダンロップは「 “Full Color” を選択したあと、各3Dモデルのセクション別に基本色を決めていきます。最終デザインにフィットしやすいという理由から、ダークな色を好んで使っていますね。そのあとは、納得できるまで様々なパターンやテクスチャを入れ込んでいきます。色数はキャラクターによって大きく異なりますね」と説明している。また、ダンロップは、ヨッシーやキノピオのような色鮮やかなキャラクターの場合はかなり時間がかかると付け加えている。
KeyShotでライティングの調整
次はその3Dモデルを3DレンダリングソフトのKeyShotにエクスポートする。ここから先はキャラクターのルックスの細かい調整になる。ライティングを調整したり、テクスチャをレンダリングしたりして、ヨッシーやクッパがさらにリアルに見えるようにしていくのだ。
ダンロップが説明する。「まずはマテリアルを変えていきます。ヨッシーの場合は、僕がアマガエル好きということもあり、マテリアルを半透明にして、光が大量に入り込むようにしました。眼球は黒いガラス玉風に仕上げています」
「マテリアルの調整が終わったら、ライティングを調整して雰囲気を生み出していきます。3Dモデリング中にどういう雰囲気にしたいのかについていくつかアイディアを用意するので、実際のライティングの調整では、既にアイディアは出揃っています」と続けている。また、ダンロップはキャラクターを浮かび上がらせるために光源付きのSphereを追加する時もあるとしている。
Photoshopで仕上げる
そして最後に、Adobe Photoshopを使って仕上げていく。
ダンロップが説明する。「Adobe Photoshopで全てのレイヤーをひとつのファイルにインポートして、動かないようにします。次にそれらをグループフォルダに入れて、イメージに最適なサイズにまとめます。それから、異なったレイヤーを用意して、納得できるまで不透明度と強度を調整します」
その後、ダンロップは背景を作っていく。「写真とデジタルペイントを組み合わせて、背景を作っていきます。植物はそのイメージの重要なポイントを作り出すのに役立ちますね」と説明している。複製とぼかしを使って全体の焦点を設定していき、そのあとは全ての背景オブジェクトを配置して、色彩を調整したり、ぼかしたりしながら奥行きを与えていく。
しかし、これで終わりではない。ダンロップは「ラストステップとして、全体にウォッシュをかけて、まとまり感が出るようにします。また、埃や虫などのディテールも追加しますね。そして、セーブする直前にノイズレイヤーを置きます。ノイズレイヤーを足すと、写真のような雰囲気が生み出せるんです」と説明している。こうして、あの配管工の身長と同じサイズの巨大な斧を手に持ち、スタッドの付いたネックレスとリストバンドを身に付けた身長6.1mの恐ろしいクッパの “写真” が完成する。
アドバイス
ダンロップは完成の判断は特に難しくないとしており、「通常は、細かいところを色々と修正し過ぎていると感じたら、ペンを置くようにしています」と説明している。今回の場合、ダンロップは各キャラクターに約3日間をかけたので、もし彼が全てのポケモンをリアルに描くとすれば、相当な時間がかかるだろう。
ダンロップのようなファンアートやコンセプトアートに挑戦してみたい人のために、本人がいくつかの便利なサイトを教えてくれている。「YouTube、Vimeo、Gumroadに素晴らしいチュートリアルがあります。ZBrushは最高のツールですが、初心者には難しいかもしれません。ですので、まずはその姉妹版のSculptrisを使うことをお薦めします。Sculptrisの方がシンプルですし、使い方が良く理解できると思いますよ。そのあとでZBrushにステップアップしましょう。他にもMaya、Cinema4、Mudboxなどソフトは沢山あります。それぞれ良い部分がありますね」
このようなソフトの中には高額の物もあるが、ダンロップは何よりも大事なのはソフトではなくインスピレーションの源だとしている。「レファレンス(参考)が何よりも大事ですね。世界で最も有名なアーティストでさえもレファレンスを用意していますし、レファレンスは自分の作品をネクストレベルに高める大きな助けになってくれます。自分が下手だと思わないようにしてください。誰だって最初はそうですし、ミスから学んで自分を高め続けるだけです。チュートリアルを見ながら、諦めないで続けましょう」
これで、クッパ、ヨッシー、キノピオをリアルに描く方法が分かったはずなので、トゲゾーやカメックにチャレンジしてみても良いだろう。ただし、マリオ本人だけはやめてもらいたい。絶対に上手く描けないはずだ。
A montage showing how to create your own characters IRL

Creating your own characters IRL

© Josh Dunlop

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