ワークアウトの前に適切な栄養補給を行えば、長時間に渡りハードなトレーニングができるのでベストパフォーマンスを発揮できるようになる。
とはいえ、ワークアウトの2〜4時間前に食事を摂るのは簡単ではない。
ほとんどの人が夜明けと共に起床して仕事前にエクササイズしたり、ランチタイムに軽めのエクササイズをしたり、退勤後にエクササイズをしたりしている。
そこで今回は、元ボディビルチャンピオンの英国人栄養士アニタ・ビーンにワークアウトスケジュールに沿った栄養補給のタイミングや、最適な食事メニューや量について解説してもらった。
ワークアウト前の栄養補給が大切な理由
ワークアウトで必要になるエナジーの大半は、体内に蓄えられた脂肪と炭水化物(グリコーゲン)です。摂取した炭水化物はグリコーゲンに変換されて筋肉や肝臓に蓄えられますが、直後にそうなるわけではありません。
エクササイズの直前に食べたものがすぐにグリコーゲンへ変換されることはありませんが、ワークアウトで使用する筋肉の「燃料混合比」に影響を与えます。
エクササイズ前に炭水化物を含む食事をすれば、エクササイズ中に燃焼される炭水化物量が増加します。つまり、より高強度でより長時間のエクササイズが可能になるのです。
エクササイズ前の栄養補給の目的は、空腹感を遠ざけることと血中グルコース濃度(血糖値)を高めることにあります。栄養補給をしておけば、疲労を感じるのが遅くなり、持久力とパフォーマンスが向上します。
理想のメニュー
エクササイズ前の食事には炭水化物が豊富に含まれているべきですが、適度なプロテインやヘルシーな脂質も必要です。これらの主要栄養素はワークアウトを完遂できる持続力を与えてくれます。
プロテインと脂質は炭水化物の消化と吸収を遅らせるので、エクササイズを始めるまでの時間が短いなら、その分だけ量を減らしましょう。
ワークアウト前に過度の脂質(例:ハンバーガー&フライドポテト、ベーコンサンドウィッチ)を摂取してしまうと消化に時間がかかってしまい、胃に不快感が生じますが、逆に脂質やプロテインが不足していると(例:ジャムサンドウィッチ)、エクササイズ中に空腹感やエナジー不足を感じる可能性があります。
エクササイズ前に適したメニューの例を以下に紹介しましょう:
朝食:ポリッジとミルク 刻んだアーモンド適量 またはナッツバタースプーン1杯分
昼食:フムスとツナ(または唐辛子)を添えたベイクドポテト またはファラフェルとアボガドのラップ
夕食:豆を含んだ野菜リゾット または豆腐とチキンを含んだパッタイ
ワークアウトの1〜2時間前に食事をするなら、消化が楽で、炭水化物を豊富に含んだ軽食を摂るようにしましょう。メニュー例は以下の通りです:
- グラノーラを添えた低脂肪ギリシャヨーグルト(プレーン)
- バナナ
- ピーナッツバター・トースト
- フルーツ&ナッツバー
- ベリー / バナナ / ミルクで作ったスムージー
時間と量
食事のタイミングがワークアウトに近いほど、量は減らしましょう。
たとえば、ワークアウトの1〜2時間前に食事をするなら、少量の食事、または300〜400kcal程度の軽食(体重1kgあたり5kcalが目安)にしましょう。ワークアウトの4時間前に食事ができるなら、400〜800kcal程度の食事(体重1kgあたり約10kcalが目安)を摂りましょう。
現実的には、ワークアウト前の食事のタイミングは就業時間や通勤時間、トレーニングスケジュールなどによって決まってくるでしょう。このような日常生活のルーティンに沿いながらベストのタイミングを見出していきましょう。
たとえば、夕方〜夕食前の時間帯にエクササイズするなら、しっかりランチを食べたあと、セッション開始の30〜60分前に100〜300 kcal程度の軽食を摂りましょう。
ランチタイム前後にワークアウトをするなら、しっかり朝食を摂り、トレーニング前に空腹感を感じるようなら直前に軽食を摂りましょう。
食事のタイミング
理想はワークアウトの2〜4時間前です。消化に十分な時間が得られる上に、ワークアウト前にエナジーを使い切ることもありません。
タイミングがワークアウトに近すぎると血液が消化器官から筋肉へシフトしてしまうので、ほぼ確実に胃腸の不快感を得ることになるでしょう。人間の身体は食事の消化とワークアウトを同時に行えないようにできています。
ですが、食事とワークアウトの間隔が大きすぎるとワークアウト中に空腹感や目まい、エナジー不足が生じてしまいます。ワークアウト中は、満腹すぎず空腹すぎない快適な状態を維持すべきです。
ファステッドトレーニング
ファステッドトレーニング(空腹で行うトレーニング)は、「炭水化物ではなく体内脂肪を燃焼させる」という考えをベースにしています。これはある意味正しいのですが、だからといって、減量や減量のスピードアップを約束するものではありません。
体重を減らすには、体内のカロリー量が不足している状態を作る必要があります。ですがこの状態は、数日に渡り摂取カロリー量を必要量以下にキープすることでしか作り出せません。ワークアウト1回では不可能なのです。
また、ファステッドトレーニングはかなり空腹になるので、セッション後に食べすぎてしまうおそれもあります。
空腹状態でのトレーニングは空腹感や目まい、エナジー不足を生じてしまいます。早く疲れてしまったり、トレーニングの強度が下がったりすれば、結果的にカロリー消費量が少なくなってしまうでしょう。
朝食前や空腹状態でのトレーニングを好むのなら、低負荷または適度なエクササイズを行う分には問題ありません(炭水化物よりも体内脂肪の燃焼が増えるため)。
ですが、60〜90分の高負荷トレーニングに取り組みたいなら、その前に炭水化物を豊富に含んだ食事や軽食を摂っておけば持続力がアップします(体内脂肪よりも炭水化物の燃焼が増えるため)。
ヨガやリカバリーランなどの低負荷ワークアウトはカロリー燃焼量が少ないので、その前の食事の重要度も低くなります。ですので、食事をしなくても問題ありません。
また、ウエイトトレーニングのような高負荷で断続的なワークアウトもグリコーゲン貯蔵量への依存度が小さいので、テンポランやハードなサイクリングなどの持続的な高負荷・有酸素エクササイズほどカロリー消費量は多くありません。
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