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『リーグ・オブ・レジェンド』の世界一決定戦、League of Legends World Championshipは、過去10年でいくつもの優勝チームを生み出してきたが、優勝トロフィー “サモナーズカップ” と同義として扱われているのは1チームだけだ。
韓国のT1は “Worlds” と呼ばれているこのトーナメントで、他のどのチームよりも多い優勝3回を記録している。また、彼らは常に自分たちをアップデートすることで、韓国リーグ “League of Legends Champions Korea(LCK)” のトップチームであり続けている。
先日、そのT1がレッドブルと複数年のパートナーシップ契約を結んだ。そこで今回は、『LoL』を代表するトップチームについてあらためて紹介していく。
歴史
T1の歴史は、『StarCraft』のプロリーグが誕生した2000年代初頭まで遡ることができるが、『LoL』での名声の歴史はチーム名がSK Telecom T1だった2012年に始まった。
Jeong “Impact” Eon-young、Bae “Bengi" Seong-woong、Lee “Faker” Sang-hyeok、Chae “Piglet” Gwang-jin、Lee “PoohManDu” Jeong-hyeonで構成されていた当時のロースターはすぐに成功を収めた。2013シーズンにWorlds出場権を難なく勝ち取った彼らは、ここから『リーグ・オブ・レジェンド』のesportsシーンで比類なき強さを発揮していった。
念のために記しておくが、T1はWorldsで圧倒的な成績を残してきた。彼らは『LoL』プロシーンのシーズンフィナーレとして知られるこのトーナメントに通算5回出場しており、そのすべてがセミファイナル以上だ。そしてその先のグランドファイナルには4回進出しており、そのうち3回で優勝している。T1はWorldsでひとつの王朝を築き上げたチームなのだ。
2013シーズンのWorldsデビューは、彼らにとって初のインターナショナルタイトルになった。グループステージとクォーターファイナルでわずか1ゲームしか落とさなかったT1は素晴らしい勝ち上がりを見せ、接戦となったライバルNaijin Black Swordとのセミファイナルも制すと、グランドファイナルでもRoyal Clubを3-0で下して優勝した。この瞬間、T1時代、そして韓国最強時代が始まった。
T1が2015シーズンにWorldsに再び出場すると、世界最強がどのチームなのかという疑問への回答が瞬時に出されることになった。グループステージを6-0で抜けたT1は、クォーターファイナルでahq eSports Clubを3-0で下し、セミファイナルもヨーロッパのトップチームOrigenを3-0で下してグランドファイナルへ進出。Koo Tigersとのグランドファイナルでは1ゲームを落としたが、またも素晴らしいプレイを見せて3-1で優勝した。
翌シーズン、T1は世界初・唯一のWorlds連覇を成し遂げた。グループステージを余裕で突破した彼らはその後も快進撃を続け、激戦となったSamsung Galaxyとのグランドファイナルを3-2で制して、3回目の世界一を手にした。
当たり前の話だが、Worldsに出場するためにはローカルリーグで好成績を収める必要がある。T1はLCKでも優勝争いに絡み続けてきた。LCK最多回数となる優勝9回を記録している彼らは準優勝も5回記録している。
また、2013シーズンのWorlds終了後には、LCK史上初の15-0を記録して同シーズンのWinter Splitを制している。ちなみにこの記録はまだ破られていない。さらに、彼らは2015シーズンのSpring SplitからSummer Splitにかけてリーグ最多連勝記録となる23連勝もマークしている。
Faker
トッププレイヤーをロースターに抱えていなければタイトルは手に入らないが、T1は結成当初から『リーグ・オブ・レジェンド』史上最強プレイヤーたちを抱えてきた。
言うまでもないが、その中でひときわまばゆい輝きを放っているのが、2013シーズンに彗星の如くシーンに登場してからチームの支柱であり続けているFakerだ。ひとつのチームにここまで長期間所属する『LoL』プロプレイヤーは多くないが、Fakerの忠誠心は本人に数多くのトロフィーと世界中のファンからのサポートをもたらしている。
好調時のFakerはまさにアンストッパブルで、これまでにミッドレーンで彼が見せてきた「最高級のソロプレイ」は枚挙に暇がない。しかし、おそらく次に紹介するプレイほど世界に彼の名を轟かせたプレイは存在しないだろう。
2013シーズンのKT Bullets戦で、FakerはRyu “Ryu” Sang-wookとマッチアップした。Fakerは当時世界最強クラスと評価されていたチームとミッドレーナーと対戦することになったのが、信じられないスキルでRyuを圧倒すると、チームを勝利へ導いた。FakerとRyuが揃って《ゼド》をピックしたあと、序盤はRyuがFakerのHPを3分の1まで削り取ることに成功したのだが、Fakerはそこから一気に逆転して勝利を手にした。
Fakerは当時から韓国の『LoL』シーンの未来を担う逸材として評価されていたが、このプレイは世界的なバイラルヒットになり、韓国はもちろん、世界中のプレイヤーたちが、その後7シーズンに渡り『LoL』シーンを完全支配する天才プレイヤーの実力を知ることになった。
そして今、Fakerは自分を世界の頂点へ導いてくれたチームであるT1の共同オーナーのひとりとなっている。FakerはT1で500ゲーム以上をプレイしてきたが、まだ24歳のため、引退はまだまだ先の話になる。
FakerはT1で優秀なチームメイトに恵まれてきたが、2021シーズンもその幸運は変わらないようだ。2021シーズンのT1は、Kim “Canna” Chang-dong、Choi “Zeus” Woo-je、Moon “Cuzz” Woo-chan、Choi “Ellim” El-lim、Park “Teddy” Jin-seong、Lee “Effort” Sang-ho、Ryu “Keria” Min-seok、Lee “Gumayusi” Min-hyeong、Fakerのラインアップになる。
2021シーズンのT1はさらなるトロフィーを狙うことになるが、そのためのリソースは揃っていると言えるだろう。また、T1は『リーグ・オブ・レジェンド』の歴史で最も大きな成功を収めており、さらにはレッドブル・アスリート・パフォーマンス・センターを含むレッドブルからの様々なサポートも得られるようになった。Fakerに率いられたT1がWorlds 2021とLCKで優勝しても驚きではない。
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