Helicopter pilot Mary Wilcock pulls off an incredible heli drop-off for Fabian Lentsch on an Alaskan spine.
© Pally Learmond
スキー

【ヘリスキーとは?】究極のオフピステスキー 初心者用ガイド

人力では到達できない山頂にヘリコプターでアクセスするヘリスキーは、オフピステの可能性の限界を押し上げ、特定のマウンテンサイドをトラバースする唯一の方法だ。
Written by Natalie Hamingson
読み終わるまで:6分Published on
人力では到達不可能に思える山岳の山頂からドロップオフすることを夢想したことがあるなら、ヘリスキーがその夢を叶えてくれるかもしれない。
しかし、実際はどのようにヘリコプターで山頂にアクセスしているのだろうか? フリースキーヤーのファビアン・レンシュがヘリからドロップオフする動画をチェックしたあと、以下のガイドを読み進めよう。

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ファビアン・レンシュ:ヘリスキー ドロップオフ

スキースロープで過ごす時間は、息を呑むような美しい冬山の景色と健全なアドレナリン分泌を最高の形で楽しむ方法のひとつだ。しかし、アドレナリンをさらに得たいときはどうすればいいのだろう? どこまでもスリルを追い求めるタイプに推奨したいのが、ヘリスキーだ。
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ヘリスキーとは?

ヘリスキー、別名ヘリコプタースキーとは、最も刺激的なオフピステスキー体験のひとつだ。
バックカントリースキーの一種であるヘリスキーでは、プロの山岳ガイドによって入念に選定された遠隔地のダウンヒルスキーエリアへヘリコプターでアクセスする。ヘリコプターがスキーリフトの代わりとなり、スキーヤーを誰も足を踏み入れていないパウダースノーへ運んでくれるのだ。
山頂に到着したあと、スキーヤーはスキーを装着してスロープを下ることになる。ヘリスキーでは、スノーキャット(雪上車)でもアクセスできないような手付かずのロケーションへ向かうことができる。
マウンテンサイドでのスキーを楽しむファビアン・レンシュ

マウンテンサイドでのスキーを楽しむファビアン・レンシュ

© Pally Learmond

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ヘリスキーの歴史

ヘリスキーは、熱心なスキーヤーだったカナダ人地質学者アート・パターソンによって生み出された。パターソンがヘリスキーの着想を得たのは、研究作業のためにヘリコプターでアラスカの遠隔地にアクセスしていた1950年代だった。パターソンは登山 / スキーガイドだったハンス・モーサーに働きかけ、自分のアイディアを具現化するための助けを求めた。
相談を受けたモーサーは、1960年代初頭に世界初とされるヘリスキートリップを率いたのだが、このときは計画通りには進まなかった。雪の状態が劣悪だったため、この初挑戦は事実上失敗に終わった。
そして、2回目の挑戦も失敗に終わるとパターソンは身を引いたが、モーサーは諦めなかった。その後、彼はブリティッシュコロンビアのバガブー・スパイアの麓でヘリスキーに適したスポットを発見。ヘリスキーは一躍人気を博すようになった。
やがてモーサーはヘリスキー事業CMH Heli-Skiing and Summer Adventuresをバガブー・ロッジにオープンした。時代の先を行っていた同社は現在も運営されている。そして1970年代を迎えると、ヘリスキーの人気が爆発した。こうして、最初は上手くいかなくても挑戦し続ける価値があったことが証明されたのだった。
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ヘリスキーの魅力

一部の人にとって、ヘリスキーはバックカントリースキーやスノーボードよりも魅力的に映っている。地球屈指の美しい山頂で手付かずのパウダースノーが味わえるヘリスキーは、世界中のスリル愛好家を惹きつけているのだ。アドレナリンラッシュを愛して止まない人にとって、ヘリスキーに勝るアドベンチャーは存在しない。
ヘリスキーの安全性はキャットスキーと同等だが、ヘリコプターはほとんどすべての場所へアクセスできるため、選択できる地形が多い。また、急峻なスロープを好むスキーヤーにとって、ヘリスキーは他のどのオフピステカテゴリーよりも標高が高い場所へアクセスできる。
アラスカのヘインズでヘリコプターと共に記念撮影するLegs of Steelのクルー

アラスカのヘインズでヘリコプターと共に記念撮影するLegs of Steelのクルー

© Pally Learmond/Red Bull Content Pool

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ヘリスキーを楽しめる場所

ヘリスキーの魅力を体験したいなら、おそらく少し遠方へ足を伸ばす必要があるだろう。日本なら北海道・長野・新潟の山岳地帯、米国ならユタ州パークシティアイダホ州サンバレーなどの人気スキーリゾートでヘリスキーツアーが提供されている。
ヘリスキーを楽しむなら、オフピステスキーの上級者であることが大前提になるが、ヘリスキーにトライする準備が整っているのなら、コツを掴むのに役立つ初心者用ツアーも組まれている。
Fabian Lentsch in Haines, Alaska

新鮮なパウダースノーを攻めるファビアン・レンシュ

© Pally Learmond/Red Bull Content Pool

世界のヘリスキーの話を続けると、米国・アラスカはヘリスキーの人気スポットだ。チュガッチ山地をはじめとする急峻なスロープを擁するアラスカの驚異的なパウダースノーは、オフピステアドベンチャーを数段階上のレベルまで引き上げてくれるだろう。また、スイスアルプスの急峻なクーロワール(山腹を上下に走る岩溝)を体験するときにも、ヘリスキーは最良の手段のひとつとなる。
ヘリスキー発祥の地であるカナダ・ブリティッシュコロンビア州は、空路でしかアクセスできない山を楽しむベストスポットのひとつであり続けている。
ブリティッシュコロンビア州は、世界有数のエクストリームヘリスキースポットを擁している上に、モーサーが設立したCMH Heli-Skiing and Summer Adventuresの本拠地も置かれている。オリジナルのバガブースキーリゾートをはじめ、11カ所のCMHヘリスキーサイトを訪ねることができる。
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ヘリスキーに必要なギア

あらゆるオフピステアドベンチャーと同じく、ヘリスキーでも、手付かずの地形を攻略できる厚みのあるスキーアジャスタブルなストック / ポールが求められる。保温性に優れたレイヤー自分のスキーに合った堅牢なブーツを着用することも重要だ。彩度の高い色のウェアの着用は、視認性確保に役立つ。不測の事態が発生したときに、銀世界に自分が溶け込んでしまうのは避けたい。
安全面に関しては、ヘリスキーではヘルメットゴーグルなどの一般的な防具に加えて、雪崩用ギアが絶対に欠かせない。トランシーバープローブ(ゾンデ)ショベル雪崩用エアバッグを装備しておかなければならない。
ヘリスキーツアーの多くでは雪崩対策ギア一式が提供されているが、ツアー参加前にその提供の有無を必ず確認しておこう。また、遠方から参加するのですべてのギアを持ち運びたくないなら、現地でスキーをレンタルするのもOKだ。
《ヘリスキー:チェックリスト》
  • 厚みのあるスキー
  • アジャスタブルなストック / ポール
  • 保温性に優れたレイヤー
  • 自分のスキーに合った堅牢なブーツ
  • 彩度の高い色のウェア
  • ヘルメットやゴーグルなどの一般的な防具
  • トランシーバー
  • プローブ(ゾンデ)
  • ショベル
  • 雪崩用エアバッグ
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一生記憶に残るアドベンチャー体験

ヘリスキーはオフピステの可能性の限界を押し広げてくれる。特定のマウンテンサイドをトラバースする唯一の手段であり、多くの人が考える “究極のスキー体験” が得られる唯一の方法でもある。ヘリスキーは、スロープでは飽き足りないハードコアスキーヤーに最適なアドベンチャーだ。
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Fabian Lentsch

Austrian big mountain freerider Fabian Lentsch is equally adept at conquering mountains around the world as he is documenting them.

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