健康食品・自然食品のショップやビタミン・ミネラル・サプリメント専門のオンラインショップを訪れると、扱われているパウダーやカプセル、ジェルの種類の多さに圧倒されてしまう。食事療法士やスポーツ栄養士のお墨付きの製品があれば、フォーラムやブログでその効果が絶賛されている製品もある。
しかし、本当に買う価値がある製品はどれなのだろうか? どの製品を誰がどのような目的で摂取するのが良いのだろうか? 摂取すべき時間帯や正しい摂取方法はあるのだろうか?
そこで今回は、スポーツ栄養士たちに現在注目されているサプリメント5種類を取り上げてもらい、ジムユーザー、ランナー、プロアスリートを含むあらゆるスポーツファンのためにそれぞれの効果やパフォーマンスやリカバリーに役立つ摂取方法などについて説明してもらうことにした。
01
《プロテイン》
摂取のタイミング:「トレーニング後が理想的です」(ジョン・ウィルキンソン:ウィガン・ウォリアーズ ニュートリション・パフォーマンス部長)
製品の状態:パウダー
摂取する量:「ウィガン・ウォリアーズでは、体重1kgにつき最低2gは摂取してもらっています。さらに摂取しても問題ないですが、ひとまずこれを最低ラインに設定しています」(ウィルキンソン)
プロテインはワークアウト後の筋肉の成長とリカバリーを助ける重要な栄養素だ。様々な食品(肉・卵・ナッツ・豆腐・豆など)に含まれているが、ほとんどのスポーツ栄養士は、ラグビーなどのチームスポーツ、ジムでのトレーニング、ランニングやサイクリングなどの持久系スポーツを問わず、定期的にトレーニングをしている人なら誰でもサプリメントとしてプロテインを摂取すれば大きなメリットが得られるとしている。
「英語圏では鍛えてある身体を “ripped / 引き裂かれている” と表現するときがありますが、これは、トレーニングで実際に筋繊維を裂いて痛めつけることから来ています」とラグビースーパーリーグ所属ウィガン・ウォリアーズのニュートリション・パフォーマンス部長を務めるジョン・ウィルキンソンは話を始める。
「トレーニングを終えたプロアスリートは、その痛めつけた筋肉をできる限り速やかに修復させる必要がありますが、トレーニングを終えた彼らが修復プロセスに充てられる時間は限られています。そこでプロテインパウダーが使われています。食事で摂取するプロテインよりも精製・処理されていて純度が高いからです」
「アマチュアアスリートは彼らほど急いで摂取する必要はありませんが、トレーニング後のプロテインパウダーの摂取は非常に便利な選択肢と言えるでしょう」
また、ウィルキンソンは、食品や食事ではエリートスポーツマンのリカバリーに必要なプロテイン量をカバーできないケースがあるとも指摘している。
「基本的に、ウィガン・ウォリアーズの選手たちは食事だけでは必要なプロテイン量をカバーできません。食事に十分な量のプロテインが含まれていなければ、筋肉の成長とリカバリーは見込めません。ウィガン・ウォリアーズの選手たちはタイトなスケジュールをこなしているので、私たちはできるだけ速やかに次のトレーニングセッションに向けて彼らのコンディションを整えようとしています」
さらにウィルキンソンは、高強度のトレーニング後にはカゼインのような吸収スピードが遅いタイプのプロテインの摂取が効果的だと強調する。カゼインのような製品はプロテインの効果を高める上に、推奨最低摂取量をクリアできる。しかも、就寝前に摂取すれば、夕食から朝食までの空腹時間を短くすることもできる。ウィルキンソンが続ける。
「就寝前は吸収スピードの速さを求めていないので、食品でも良いのですが、カッテージチーズなどは就寝前の食べ物としてはあまり人気がありません。その代わりに、カゼインパウダーを用意すれば、吸収スピードが遅いプロテイン25〜30gを8時間の睡眠中に摂取していくことになります。このような摂取をしなければ、夕食後10〜12時間は何も摂らないことになります。高強度のトレーニングが続くときにこの間隔は長すぎます」
プレミアシップ・ラグビーのエクセター・チーフスに所属するイングランド代表ウィング、ジャック・ノーウェルは就寝前にカゼインを摂取して、高カロリー・高プロテインの食生活を補完しており、「毎日寝る前にカゼインプロテイン20g、クレアチン5g、グルタミン、コロストラムを摂取している」と説明している。
通常の練習日のノーウェルは、朝食に「トースト、アボカド、ほうれん草、卵、少しのベーコンやソーセージ、最後にポリッジ」を食べたあと、昼食に「鶏胸肉、鶏もも肉、ステーキ、ライスかポテト、野菜、それにサラダ」、そして夕食に「鶏肉、ステーキ、さらに大量の野菜」を食べている。
エリートアスリートでなくても、プロテインによるリカバリーのスピードアップは活用できる。専門誌『Frontiers in Nutrition』に掲載された報告書は、様々な研究を考察しており、アクティブで健康な成人が持久系エクササイズの最中にプロテインを摂取すれば「中枢疲労の遅延とMPB(筋タンパク質分解)の減少の助けになる可能性がある」と結論づけている。
栄養・パフォーマンスコーチのウィル・ガーリングも持久系スポーツ — 特に複数日開催や超長距離系 — のリカバリーにプロテインを使用するアイディアを支持している。
「取り組んでいるレースの種類にもよりますが、Transcontinentalのような複数日開催のレースや、Red Bull Time Lapsのような長時間レースでは、プロテインの摂取が非常に重要です」
「Red Bull Timelapsのようなスティント制の耐久レースでは、順番でライディングするので、3〜4時間おきのプロテインの摂取が重要になります。プロテインは細胞の回復を促進し、炎症を抑えてくれます。また、運動強度に身体を慣らしていく助けにもなります。なぜなら、プロテインは運動で傷ついた筋繊維や細胞を修復し、その運動に適応させてくれるからです」
02
《カフェイン》
摂取のタイミング:「血液に吸収されるまで約1時間かかります。経口摂取の場合、効果は4〜6時間です」(ガーリング)
製品の状態:エナジードリンクやコーヒーなどの飲料 / タブレット
摂取する量:「パフォーマンス向上に効果があると医学的に証明されている摂取量は、体重1kgにつき3〜6mgです」(ガーリング)※:75mgでも注意力と集中力の向上に効果があることが証明されている。
カフェインがスポーツのパフォーマンスを向上させるという研究結果が出ている。カフェインは、より大きな出力、またはより長い時間のトレーニングや、レースでのスピードと出力の向上に役立つ。
「カフェインはほとんどすべての持久系・パワー系・ストレングス系アクティビティのパフォーマンスに効果があるというエビデンスがいくつも存在します」と元英国ボディビルチャンピオンで現在はスポーツ栄養士として活動しているアニタ・ビーンが説明を始める。
「カフェインを摂取すれば、運動量や頻度を感じにくくなり、筋繊維の漸増が促されるので、パフォーマンスが向上します。また、疲労を感じ始めるタイミングが遅くなり、感覚が研ぎ澄まされます。(※反応は個人で異なります)」
カフェインはお茶やコーヒーなどに含まれているが、ガーリングは、コーヒーを飲むのとパフォーマンス向上を目的とするサプリメントとしてのカフェインを飲むのは違うと指摘する。
「パフォーマンス向上に効果があると医学的に証明されているカフェインの摂取量は体重1kgにつき3〜6mgです。一方、エスプレッソ1杯にはカフェインが75mgしか含まれていません。しかも、含有量は製品によって大きく異なります。ですので、パフォーマンスを高めたいのなら最低でもエスプレッソ3杯を飲む必要があります」
また、上記の推奨摂取量は、カフェインの大量摂取に慣れていて、定期的に大量摂取しているプロアスリートが対象だということに触れておくべきだろう。欧州食品安全機関は、カフェイン75mgが注意力と集中力の向上に効果的という結果を示しつつ、一般人は1回のカフェイン摂取量を200mg以内に収め、尚且つ24時間以内に400mg以上を摂取すべきではないとしている。
レッドブル・エナジードリンク缶(250ml)1本にはカフェイン約80mgが含まれており、レッドブル・アスリートはトレーニングやレースの前・中に愛飲している。
2019年に世界で最もタフなウルトラマラソンのひとつに数えられるウェスタンステイツ・エンデュランスランで海外アスリート最速タイムを記録したウルトラランナーのトム・エヴァンスは「トレーニングとレースでレッドブル・エナジードリンクを飲んでいる。トップレベルのパフォーマンスが必要になるタイミングでエナジーと集中力を授けてくれるんだ」と話している。
また、2019年にアイアンマン世界選手権3年連続2位を記録したトライアスリート、ルーシー・チャールズ=バークレーもレース中にレッドブル・エナジードリンクを飲んでいる。「以前は疲労が少し出始めたかなと感じたときに飲んでいましたが、今はどのタイミングで飲めば良いのかを完全に把握できています。パフォーマンスが落ちる瞬間を狙って飲むようにしています」
ガーリングは持久系スポーツのカフェイン摂取方法にひとつのストラテジーを用意している。「レースの中盤にカフェイン75〜100mgを追加で摂取すれば、パフォーマンスがさらなる向上や維持が期待できます。カフェインはパフォーマンスを向上させ、主観的疲労(感覚として得る疲労)を減少させ、疼痛閾値(とうつういきち:痛みを感じ始める強度レベル)を高めます」
ウィルキンソンは次のように説明している。
「カフェインの摂取は推奨しすぎないように注意しています。摂取頻度が高くなりすぎないように注意していれば、試合やハードなトレーニングセッションでカフェインの正しい効果を得られ、アドレナリンが放出され、代謝が高まります」
03
《クレアチン》
摂取のタイミング:「いつ摂取しても良いですが、ワークアウト後に大量の炭水化物と一緒に摂取すれば吸収力が高まると言われています」(ガーリング)
製品の状態:パウダー / タブレット
摂取する量:「ウィガン・ウォリアーズでは1日5gを推奨していますが、ハードなトレーニングが続く週では1日10gを上限にしています」(ウィルキンソン)
ウィルキンソンは次のように説明している。
「人間は体内でクレアチンを生合成し、エネルギー源として使用します。エネルギー取得方法のひとつなのです。ストレングス系トレーニングをすると、体内のクレアチンを使い切ってしまいます。ですが、サプリメントとして摂取すれば、クレアチンを再補給し、筋肉に再び力を与えることができます」
「クレアチンは筋肉の強化や身体のサイズアップを目指している人たちの間で広く使われています」
クレアチンは赤身の肉、鶏肉、魚類に含まれているが、身体的パフォーマンスの向上を目指しているならかなりの量を摂取しなければならない。たとえば、クレアチン5gを得たいなら1日に牛肉1kgを食べる必要がある。また、食品や食事からのクレアチン摂取はビーガンのアスリートには問題になる可能性がある。そこでサプリメントのクレアチンが用いられている。
イングランド・インスティテュート・オブ・スポート(English Institute of Sport:イングランドスポーツセンター)のパフォーマンス栄養士で英国持久系サイクリングプログラムのメンバーでもあるジェームズ・モランは、サプリメント経由のクレアチン摂取を勧めておらず、「私は “食事・食品ファースト” ですので、サプリメントを最初に勧めることはありません」としているが、身体パフォーマンスの向上のためにクレアチンを摂取したいならサプリメントがベストだとしている。
「食事からでは十分な量が摂取できないパフォーマンス向上系栄養素がいくつか存在します。それらに含まれるのがクレアチンとベータアラニンです。共に天然由来の化合物ですが、身体パフォーマンスを向上させたいなら、食事や食品に含まれている量以上を摂取する必要があります」
一方、ビーンは次のように話を続ける。「サプリメントの “クレアチン・モノハイドレート” は長年研究が続けられていて、ストレングスの強化と筋肉量の増加、そして高強度運動におけるパフォーマンスの向上に効果的だというということが証明されています」とビーンは説明している。
しかし、ビーンは、全員に効果があるわけではなく、クレアチン摂取者の20〜30%が目立った効果を得られていないとしている。また彼女は、持久系スポーツではクレアチンの摂取は推奨しないと続ける。筋肉量の増加は体重の増加に繋がるため、長距離やアップダウンの激しいコースでは不利に働く可能性があるからだ。
また、ウィルキンソンも持久系トレーニングでのクレアチン摂取を推奨しない。
「持久系トレーニングや試合当日には不要ですね。クレアチンはジムでのトレーニングやその直後に摂取すべきサプリメントです。ウィガンの選手たちはプロテインシェイクにクレアチンを加えていますが、1日5gを目安にすることを勧めています。ハードなトレーニングが続く週では1日10gを上限に定めています」
このように説明するウィルキンソンは、上記のようなクレアチンの摂取はアマチュアアスリートとジムユーザーにも効果があると続ける。「アマチュアアスリートや、週4〜5回・毎回90分以上ジムに通っている人なら、先ほど説明した摂取量で問題ないでしょう」
しかし、ビーンやウィルキンソンとは異なり、ガーリングは持久系トレーニングでもクレアチンの摂取を勧めている。
「Red Bull Timelapsのような持久系レースに向けたトレーニングではクレアチンの摂取を勧めると思います。なぜなら、1〜10秒のスプリントと総出力に効果があるからです。このような効果が得られるようになれば、トレーニングから本番までのパフォーマンスが高まります。クレアチンを摂取すれば、トレーニングだけではなく本番のスティント間のリカバリー能力も高まります」
「比較的フラットな路面でのライディングが目的なら、クレアチンはまさに理想的なサプリメントと言えるでしょう。トレーニングでのクレアチン摂取による体重の増加は、結果として得られるパワーの増加と比較すれば微々たるものです」
「ピーク値に近い出力が求められるパワートレーニングが多く含まれているトレーニングプログラムをこなすなら、6週間ほどクレアチンを摂取していきましょう。これによってトレーニングの効果を高めることができます」
「トレーニングプログラムの長さによって変わりますが、私の場合は、アスリートに “摂取フェーズ” を設けます。その方がスピーディに効果が得られるからです。最初の5日間で1日20gずつ摂取してもらい、そのあとは通常量の1日5gに戻します」
04
《ベータアラニン》
摂取するタイミング:「トレーニング前に必ず摂取する」(ガーリング)
製品の状態:カプセル
摂取する量:「通常は1日3g」(ガーリング)
ベータアラニンは肉類、鶏肉、魚類に含まれているアミノ酸だ。必須アミノ酸ではなく(体内で自然に生成される)、体内でヒスチジンと合成されてカルノシンを生成する。
カルノシンも肉類に含まれているが、パフォーマンス向上を目的としてカルノシンを摂取するなら、かなりの量を食べなければならない。たとえば、カルノシン2gを得るためには鶏肉450gを食べる必要がある。この量は、ベジタリアンではない限り特に問題はないかもしれないが、大量の飲食による糖分の過剰摂取が生み出す様々な弊害を防ぐためには、サプリメントでの摂取が効果的だという研究結果が出ている。
「ベータアラニンのサプリメントは筋肉内のカルノシン濃度を高めるので、緩衝能力(酸化を防ぐ能力)が向上します。これによって、高強度のエクササイズで蓄積される乳酸が相殺されるので、結果的にスプリントと短距離のパフォーマンスが向上します。1〜4分の高強度エクササイズや連続スプリントなどに効果的です」
また、ガーリングは「分かりやすく説明すると、ベータアラニンは筋肉のあの燃える痛みを少し和らげてくれます。OBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation / 血中乳酸値:4mmol)までプッシュできる時間が延びるのです」と説明し、筋肉内のベータアラニンを飽和量まで増やすには、4〜6週間かけて毎日4〜6g摂取すべきだと続けている。
「これだけの時間をかけて蓄積したベータアラニンは10週間で半減していきます。私は、摂取を止めたあとで体内のベータアラニンをゼロにしないように指導しています。なぜなら、摂取フェーズをまた用意する必要が出てくるからです。ですので、6週間摂取したあと6週間摂取を止め、そこから先は通常量の1日3gを摂取していけば良いでしょう」
最後にひとつ記しておくべきことがある。大量のベータアラニンを一度に摂取したり、食事と組み合わせないで摂取したりした場合の副作用だ。ガーリングは次のように説明している。
「感覚異常を患う可能性があります。針やピンを手や耳、顔にチクチクと刺されているような感覚を得てしまう人がいるのです」
「1回1.5〜2gに分けて摂取してくださいという私のアドバイスを無視して一度に6gを摂取してしまい、不快な感覚を得てしまったクライアントを数多く見てきました。そのチクチクとした感覚は慣れることができますが、数回に分けて食事と一緒に摂るようにしてください」
05
《フィッシュオイル》
摂取するタイミング:「プロラグビー選手には毎日摂取するように勧めています」(ウィルキンソン)
製品の状態:カプセル(ベジタリアン / ビーガンには藻オイルを推奨)
摂取する量:「私はEPAとDHAを1日約1,000mg摂るように勧めています」(ガーリング)
脂の多い魚、クルミ、アマニ油が大量に含まれる食事をしていないなら、十分な量のオメガ3脂肪酸を摂れていないと言えるだろう。
英国栄養科学諮問委員会(UK Scientific Advisory Committee on Nutrition)のガイドライン(2004年)は、健康な成人は、心臓の慢性疾患などのリスクを避けるために1週間に魚2匹(うち1匹は脂の多い魚)を食べるべきだとしている。
また、英国心臓血管協会の機関誌『Open Heart Journal』で発表された研究は、フィッシュオイルはオメガ6脂肪酸(大豆、ヒマワリ油、肉類、ナッツ類に含まれている)の炎症系副作用を抑える効果があると示している。
そのため、ガーリングは、食事にフィッシュオイルがあまり含まれていないなら健康維持のためにサプリメントで摂取することを推奨している。
「オメガ3脂肪酸は必須アミノ酸です。私たちの食事に含まれている必要があります。また、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスを取ることも重要です。脂の多い魚、アマニ油、クルミを普段から食べていないなら、体内炎症が起きやすい状態にあると言えます」
アミノ酸は全体的な健康促進だけではなく、ワークアウト後のリカバリーにも効果がある。ウィルキンソンは「オメガ3脂肪酸は日常生活で不足がちですが、十分な量を摂取すれば、リカバリープロセスに効果があることが判明しています」と説明している。
ガーリングはウィルキンソンの説明に同意し、次のように続けている。「筋肉の生成とリカバリーを助ける筋肉内のタンパク質合成を促すことを示す研究結果が存在します。このようなエビデンスはいくつも存在します。私はEPAとDHAを1日1,000mg摂取することを推奨しています。この量が摂取できるならどのカプセルでも構いません。カプセルの数は製品のクオリティによって変わってきます」
また別の最近の研究は、オメガ3脂肪酸のサプリメントがウェイトトレーニング後の筋肉の硬化を緩和し、DOMS(遅発性筋肉痛)を防ぐという結果を示している。
この研究に参加した男性16人は、無作為でEPAとDHAのサプリメントを摂取するグループとプラシーボを摂取するグループに分けられ、それぞれを8週間摂取したあと、ダンベルのリフティングを行った。サプリメントを摂取したグループは最大随意収縮と筋肉の可動域が大幅に上昇したが、プラシーボを摂取したグループは筋肉痛と上腕周囲長が上昇した。
06
《まとめ》
一部の栄養士たちはサプリメントの重要性とその効果が得られるケースについて意見をぶつけ合っているが、バランスの取れた食事と健康的なライフスタイルが優れたスポーツパフォーマンスの基礎として非常に重要だという意見には全員が同意している。
モランは「十分な睡眠、基本栄養素、フルーツと野菜を摂取してトレーニングに必要なエネルギーを確保し、健康を維持していくという正しい基礎を得るよりも栄養サプリメントや栄養食品を探すことに躍起になっている人を多く見かけます。このような正しい基礎はセクシーでもグラマラスでもないですが、費用対効果に優れています」と説明している。
しかし、モランとウィルキンソンは、栄養が不十分な食事が目立つようになっている今、サプリメントの重要性が増しているという考えを共有している。ウィルキンソンは次のように説明している。
「栄養サプリメントは食事の栄養不足を補完できます。食べられない食品がある人や倫理的な理由で特定の食品群を避けている人のために、食品・食事だけでは摂取できない栄養を補完してくれるパフォーマンス系サプリメントがいくつか存在します」
ウィルキンソンが担当しているアスリートたちの「栄養不足」は食品アレルギーや倫理的判断とは関係なく、単純に膨大なトレーニング量に起因している。「すべての栄養素を食事でカバーできるなら、もちろんそうするでしょう。ですが、選手たちは膨大な量を食べたあと、それを速やかに吸収するのに苦労するはずです」
アマチュアアスリートに向けては、サプリメントと食事のバランスを見出すことが重要だとガーリングはアドバイスを送っている。
「昼間は仕事をしているアマチュアアスリートなら、安価な選択肢を探してみましょう。ですが、レースに向けて栄養補給プランやカーボローディング、水分補給について何のアイディアも用意できていなければ、サプリメントを摂取しているしていないを問わず、レースで結果は出せないでしょう」
最後に、ガーリングは安価だが大きな効果が得られる方法を次のように紹介している。「どのスポーツをしているのか、どれだけ真剣に取り組んでいるのかによって変わってきますが、ベータアラニンは非常に安価ながら大きな効果が得られるサプリメントです。バランスに優れています」
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