南の島のちょっとした遊びから世界的な人気を誇るメジャースポーツにまで成長したサーフィンはとても楽しくやり甲斐のある趣味のひとつとしてこれからも親しまれるだろう。
ボードひとつで海へ向かい、パーフェクトな波を見つけて乗ることができれば、最高の “ナチュラルハイ” を体験できる。
近代サーフィンの略史
1885年7月、ハワイの王子3人がカリフォルニア州サンタクルーズに自分たちのボードを持ち込んでサン・ロレンゾ川の河口でライディングを披露して大きな注目を集めた。
その後、1907年に同じくハワイ出身のジョージ・フリースがカリフォルニアを訪れてサーフィンのテクニックを伝授すると、2年後にはイーストコーストにも伝わり、ノースカロライナ州ライツビル・ビーチでもサーフィンが始まった。
こうして世界中へ広まっていったサーフィンは、現在は日本を含む世界各地でビッグイベントが開催されるほどの知名度と人気を得ている。
サーフィン用トレーニングメニュー
サーフィンは楽しいスポーツだが、フィジカルへの負荷が大きいことでも知られている。
このスポーツを100%楽しむためには、練習や規律だけではなくストレングスと持久力も必要になるのだ。そこで今回は、サーフィンに適したフィジカルを手に入れるためのトレーニングメニューを集めてみた。
1:チンアップ
サーフボードに乗ってバランスを取るためには想像以上に上半身を使う必要がある。
パドリングとテイクオフに時間がかかりすぎて良い波を逃してしまうのは誰もが避けたいはずだが、このような失敗を避けるために必要になるのが上半身のトレーニングで、その中のベストのひとつが《チンアップ(逆手懸垂)》だ。
《チンアップ》未経験者はチンアップ・バーを使ってみよう。肩の真上に腕を伸ばしてチンアップ・バーを掴んでぶら下がったら、チン(顎)がバーの上に来るまで両腕で身体を引き上げていく。
“6レップを2セット、セット間の休憩1分” が理想的なトレーニングメニューだ。このメニューがこなせないなら、できる限り多くのレップをこなすことから始めて徐々にレップとセット数を増やしていこう。
2:フロントスクワット
正しいスクワットもボードに素早く乗ったあと姿勢を保つために必要なトレーニングだ。《フロントスクワット》はサーフィンに必要なテクニックを伸ばすと同時に、姿勢と持久力も向上させる。
《フロントスクワット》は “12レップ・3セット” を基本にして、すべてのワークアウトに組み込もう。自重を使った《フロントスクワット》からスタートしてフォームを覚えたあとは、ウエイトを追加して腰・足首・膝・臀部をさらに鍛えていこう。
3:ランニング
持久力向上のワークアウトには有酸素運動が多く含まれているが、サーフィンの持久力向上にも効果的だ。その中で最も簡単なメニューが《ランニング》だ。
なるべく高い頻度でなるべく長く走ることを意識すれば、肺活量を増やしつつ体重の最適値を維持し、さらには脚力を鍛えることができる。これらすべてが長時間サーフィンを楽しみたい人には不可欠だ。
《ランニング》はルーティンにしてしまうのがベストだ。たとえば、1週間に3回・各1時間半走るようにしてみよう。このスケジュールが組めなくても心配はいらない。中低速の長距離ランの代わりに高速の短距離ランをこなすようにしよう。
高速で10分走り、少し休んでまた高速で10分走る《インターバルラン》をこなせば、持久力が大幅に向上する。
4:プッシュアップ
《プッシュアップ》はストレングス&フィットネストレーニングの “スイスアーミーナイフ” と言える存在で、複数の筋肉群を同時に鍛えることができる。
《プッシュアップ》で上半身と体幹を鍛えれば、パドリング、ドルフィンスルー、テイクオフが向上する。また、定期的に《プッシュアップ》をこなすようにすれば、肩の怪我を未然に防ぐ助けにもなる。
《プッシュアップ》の正しいフォームをマスターしたあとは、できる限り多くのレップをこなすことから始め、フィットネスの向上に合わせてレップを増やしていこう。刺激をさらに加えたいなら、片脚ずつ交互に胸まで引き上げたり、背中にウエイトを追加したりしても良いだろう。
5:可動域向上メニュー
筋肉の可動域の向上は持久力の向上に不可欠だ。なぜなら、身体が自然かつスムーズに動かせるようになれば、それだけ無駄なエネジーを使わなくなるからだ。また、筋肉の可動域は年を重ねたり、デスクワークが増えたりするとすぐに狭まってしまうので、意識的に取り組んでいく必要がある。
ワークアウトの最初に10分の《可動域向上メニュー》を組み込めば、敏捷性を維持できるようになるので、足首・臀部・背中・首・肩をゆっくりとストレッチしていこう。ただし、無理にストレッチすると筋肉を痛めてしまうので注意が必要だ。
6:ダンベルメニュー
サーファーにはフィットネスマシンよりも《ダンベルメニュー》の方が適している。フィットネスマシンは身体が固定されてしまうが、ダンベルなら身体を自由に動かせるのでサーフィンの動作に近づけられるからだ。
また、ダンベルは非常に万能なアイテムで、自分が鍛えたい筋肉群に特化した《ダンベルメニュー》を必ず見つけることができる。
腕と上半身のストレングスならダンベルを使った《デッドリフト》、《ワンアームスイング》、《ベンチプレス》で鍛えられる。また、腰を90°曲げてから片手でローイングの要領でダンベルを胸まで引き上げれば体幹と背筋を鍛えられるので、片手5レップずつから始めて、徐々にレップ数を増やしていこう。
プッシュアップやスクワットにも応用できるダンベルはとにかく万能で、通常のトレーニングメニューにプラスするだけで効果を高めることができる。
7:プランク
強い体幹を手に入れれば持久力とサーフテクニックが向上する。《プランク》は端から見ているとたいしたことをやっていないように思えるかもしれないが、実際は初心者なら30秒維持するのにも苦労するハードなトレーニングメニューで、全身に刺激を入れることができる。
《プランク》も他のトレーニングメニューと同じで正しいフォームを学ぶことが重要だ。《プッシュアップ》と同じうつ伏せの姿勢を取るが、自分の身体を上下させる《プッシュアップ》とは異なり、肩の真下に肘が来るように前腕を置いて、背中を一直線に保つ。
できるだけ長くこの姿勢を維持することを意識しながら続ければ、効果が分かるようになるはずだ。
どのスポーツもフィットネスレベルが高まればその分だけ楽しめるようになるが、サーフィンも同じだ。今回紹介したトレーニングメニューをコンスタントに続ければサーフィンに必要なストレングスと持久力が高まるので、何時間も波を楽しめるようになる。
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(了)
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◆Information
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