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『VALORANT / ヴァロラント』(以下、『VALORANT』)のようなチームシューターでは誰もがショットコールをしたいと思っている。TwitchやYouTubeなどで確認できる素晴らしいコミュニケーションによるパーフェクトなサイトプッシュやカウンターは、チームワークがあればどんな窮地でも脱出できることを示している。
しかし、ランクマッチでは、矛盾している冷静さを欠いた発言がヘッドセットの中をうるさく飛び交っていて対戦相手のレイナの足音に気付けずにキルされてしまうようなシーンが良く見られる。
“インゲームリーダー(以下、IGL)としてショットコールをする” は、実際よりも簡単に見えてしまう。指示を出してチームを助けたいと思っても、指示を控えてチームメイトたちの好きなようにプレイさせる方が正解になるときは少なくない。しかし、本当に優秀なIGLなら、ゲーム終了時にチームメイトたちからサムアップをもらえる。
というわけで、今回はゲーム終了時に得られるサムアップを増やし、自分のチームに貴重な勝利をもたらすために役立つヒントとアドバイスをまとめてみた。
01
IGLとは?
IGLとは、『VALORANT』のようなチーム対戦シューターには欠かせない存在で、戦略を軸にチームをまとめ、チーム全員の意識を統一し、ラウンドまたはゲームの勝利に役立つコールと情報を提供する(誰がいつ撃つかの指示も含まれるためショットコーラーとも呼ばれる)。
IGLは必ずしもチーム内最多キルを記録したり、ハイライトクリップにフィーチャーされたりするプレイヤーではないが、チームメイトを集中させ、リテイクに向けてチームを連動させることができるプレイヤーだ。たとえば、味方のジェットが簡単にキルされることなく効果的なアクションができるようになる。キルリーダーではないが常に冷静なプレイヤー、それがIGLだ。
無能なIGLはラウンドを台無しにしてしまう。チーム内のコミュニケーションを乱し、さらには特定のチームメイトを非難するときさえある。では、優秀なIGLはどうだろうか? 彼らは厳しいラウンドを終えたあと、チームメイトたちに落ち着いた声で語りかける。彼らは『スター・ウォーズ』シリーズのレッド・リーダーのような存在であり、対戦相手を混乱させるプレイや戦略を用意してくれる。
さらに、優秀なIGLがいれば、プレイ中のタイトルがさらに楽しくなる可能性さえある。私たちのようなプレイヤーが『VALORANT』のようなチーム対戦シューターを最大限楽しめるようになるのだ。
02
正確な用語やマップの名称でコールアウトする
まず、『VALORANT』の用語やコールアウトのやり方、マップの名称を覚えることが重要だ。
『VALORANT』では、マップごとにエージェントの異なる性能が役立つようになっているため、各エージェントの立ち回りはマップごとに異なる。つまり、マップごとに色々と細かい違いがあるのだが、コールアウトのやり方は全マップ共通だ。
マップの名称については、キャットウォーク(catwalk)、小部屋(cubby)、ラフター(rafter)、コートヤード(courtyard)、Aリンク(A-link)、Bリンク(B-link)などが何を意味していてどこにあるのかを覚えるのは初心者にかなりの労力を要求するが、一度覚えてしまえば、チームメイトの位置や自分がどこへどう向かえば良いのかがすぐに理解できるようになる。
IGL、または野良でIGLに指名されたプレイヤーは、コールアウトや用語を間違えることはできない。たとえば、AメインとAワインを言い間違えれば、チームにダメージを与えてしまう。チームはコールアウトに沿ってプレイするので、間違った情報を与えてしまえば、不用心なチームメイトを対戦相手に献上してしまうことになりかねない。
『VALORANT』にミスは付きもので、対戦相手のエージェントがクリエイティブなプレイで味方のコールアウトの裏をかいてくるときもあるが、なるべくシンプルかつ正確なコールアウトを心掛けたい。
数センチの差がファーストヘッドショットの行方を左右するような緊迫した状況でコールアウトを間違えて勝利を逃してしまえば罪悪感に苛まれるだろう。コールアウトが冗長だとチームメイトを混乱させてしまう上に、足音やアルティメットの起動音を聞き逃してしまう可能性も高まるので、とにかく無駄を省くようにしよう。
03
チーム内の会話は適切かつシンプルに
複数のプレイヤーが話し続けていたために自分のタスクに集中できなくなってしまった経験は誰にでもあるだろう。彼らはチームの助けになりたかったのかもしれないし、議論をしたかったのかもしれないが、いずれにせよ逆効果だ。
しかし、会話は笑えるムードを作り出すのに役立てることができる。『VALORANT』が下手ですでにFFしてしまったプレイヤーにとっては、ちょっとした笑いが次のゲームへ進む唯一のモチベーションになるときがある。しかし、タイミングに注意したい。
IGLは、チームメイトたちの会話を控えさせたり、連携の邪魔をしたりしてはいけない。チームの拠り所はチームワークであり、会話があるゲームは無言のゲームより圧倒的にベターだ。IGLは会話を聞きながら、タイミング良く効果的かつスピーディにコールアウトしよう。なるべく正確かつシンプルに伝えたい。
演劇じみていてもったいぶった話し方をすれば、チーム内の連携が取れるまでに時間がかかってしまう。そうしている間にもゲームは進行するので、状況が変わらないうちにコールアウトして、無駄にならないようにしよう。
これはデス中も意識したいことだ。当たり前のことを叫んだり、同じ内容を繰り返したりするのは避けよう。何回も言われなくてもチームは分かっている。集中できるかどうかはラウンドを取れるかどうかに関係してくるので、集中を乱さないようにして、ゲーム内の音声が良く聞こえるようにしてあげよう。
ラウンド開始前も同じだ。映画『オーシャンズ11』のような大がかりなアイディアの説明に40秒すべてを使い切らないようにしよう。冗長な説明は購入の邪魔になるのでチームメイトたちから無視あるいはAFKされるはずだ。戦略が複雑であればあるほど、ミスが起きる確率が高まってしまう。
04
ムードをポジティブに保つ
絶妙なタイミングでの鼓舞、気の利いた発言、あるいはジョークはチーム全体のムードを一瞬で変え、レイジクイット(キレ落ち)の確率を下げることができる。『VALORANT』では、長丁場になればなるほどプレイヤーがティルト(動揺)する確率が高くなる。怒りに駆られてしまうときもあるだろう。
『VALORANT』のようなチームシューターでは、一瞬で自分たちに流れがくる可能性があるが、怒りに我を忘れてしまえば、その可能性が小さくなってしまう。「ティルトしている方が上手くプレイできる」という発言はウソだ。
プレイ中に冷静さを保つのは簡単ではない。メンタルには状況が大きく影響するからだ。チームがCサイトまでチームがプッシュしたあと自分だけが残り、5v1の状況を作られてキルされてしまうゲームが続けば、どうしてもメンタルに大きな負荷がかかる。
ここで覚えておきたいのは、負けたい人はいないということだ。特定のチームメイトのメカニカルスキルを非難すれば、自己嫌悪に陥るだろう。チームメイトの頭に血が上っているなら、他に意識を向けさせるようにしよう。逆に自分が苛立っているなら、問題解決に向けて自分の戦い方を見直して、新しい戦い方を探してみよう。
自分に対して非協力的なプレイヤーやチームプレイヤータイプではないプレイヤーは必ずいる。しかし、だからと言って彼らに冷たく接する理由はない。
05
チームのポジションとアプローチを把握する
ラウンド開始前にチーム全員の位置を確認しよう。対戦相手がどのようなプレイをしているかを確認して、それに合わせて調整しよう。チームメイトの位置からチームとしてのディフェンスに対する考え方が見えてくれば、ラウンド勝利に向けた判断に役立てられる。
自分のスキルレベルに関係なくアグレッシブなプレイを好むプレイヤーがいるチームに加わるときがあれば、Cサイトを単独で任されていて、ファーストキルを3ゲーム連続で献上しているセージがいるという理由で、Cサイトへプッシュし続けるチームに加わるときもある。
優秀なIGLなら、自分のチームと対戦相手のチームがどのようなプレイをしているのかをラウンドごとに確認するべきだ。自分のチームにアグレッシブなプレイヤーがいるなら、少し下がってプレイするように指示したり、イニシエーターとツーマンセルを組ませたりしよう。また、同じポイントにセージがひとりでいるはずだと思い込んでいるチームを止めて冷静になってもらうのも良いだろう。
06
エントリーフラガーを担わない
デス中はチーム全体を見られるようになるが、デス中のコールアウトは機能しないときが多い。『オーバーウォッチ』ではサポートがコールアウトを担うときが多いが、これには2つの理由がある。ひとつは、サポートはマップをベストの視点から見ることができるからで、もうひとつは、サポートは最初にキルされる確率が低いからだ。
『VALORANT』でも同じことが言える。IGLがセージを必ずメインに据えなければならない理由はないが、最初に突入すべきでもない。IGLはエントリーフラガーに指示を出し、彼らの生存率を高めたり、対戦相手の攻撃を上手く活用させたり、チーム全員のポジションを修正したり、アルティメットやその他のアビリティのコンボを発生させたりするのが仕事だからだ。
このような指示をデス中に出すこともできるが、野良では上手くいかないときが多いだろう。いずれにせよ、デス中は進行中のゲームに大きな影響を与えることはできないので、生存しているチームメイトたちに任せるのがベターだ。そもそも、彼らは自分とは違ってキルされていない。
スパイク周辺でディフェンダーたちから集中砲火を受けたり、ディフェンダー側の強力なエージェントにレーンで仕掛けられたりして最初のチームメイトがキルされたときは、ローテーションをするのが常套手段だが、その最初にキルされるチームメイトになりがちなエントリーフラガーは、指示を出すのに向いていない。
デュエリストのようなキルを稼ぎやすいエージェントは魅力的なのでピックしたくなる気持ちも分かるが、デュエリストでプレイしたいならIGLを担うのは避けるべきだろう。
07
マップを注視する
では、エントリーフラガーが忙しい間、優秀なIGLは何をしているのだろうか? 通常、彼らは他の平均的なプレイヤーよりも多くの時間をマップの注視に費やしている。
IGLの役割は「ラウンド中に収集した情報でチームをサポートする」だ。このサポートには、アビリティ&アルティメットの起動音または足音に耳をそばだてながらマップを注視して敵エージェントが姿を現すのを確認する作業が含まれる。
情報を集め、その情報をチームに適用して勝利を手にしよう。マップはプレイヤーに数多の情報を提供してくれるが、全プレイヤーがラウンドの全時間をマップの視認に費やせるわけではない。対戦相手のローテーション、アビリティの発動、またはポークのクリエイティブな活用方法が特徴的なディフェンスなどを瞬時に確認しよう。
味方エージェントたちの耳に情報を届けるのがIGLだ。自分のキル数は減るが、チームの勝利は増えることになる。
08
チームの選択肢を理解する
先ほどから繰り返しているが、優秀なIGLは情報を活用できるプレイヤーが務めるべきだ。しかし、マップの位置情報だけでは不十分だ。
すべてのエージェントのアビリティや長所・短所を理解し、それぞれの対抗策も知っておくべきだろう。IGLはチームに戦術を用意しなければならないので、あらゆる状況において自分たちにはどのような選択肢があるのかを理解しておくことが重要になってくるからだ。
とはいえ、すべてのエージェントをプレイできるようになる必要はない。しかし、各エージェントの性能とエージェント同士の相性は知っておくべきだろう。また、コンボやエントリー向きのアビリティを理解しておくことも重要だ。
たとえば、対戦相手をベイトするためにアルティメットを使ったり、ディフェンスラインを下げたりしたいなら、キルジョイやブリムストーンを試してみたい。基本的には “そのときに自分たちの手元にあるリソース” を活用するしかないので、ラウンドのプレイ方法に「絶対解」は存在しない。
また、トーナメントなどでは、対戦相手以外のチームのアルティメットもチェックしておきたい。どのようなプレイをしてくるのかを対戦前に把握できていれば、相手の裏をかいて、アルティメットやプレイ全体を妨害できるチャンスが生まれる。
資金についてもチームの選択肢を知っておきたい。チームの資金が不足気味なら節約のためにピストルラウンドを用意して、キャッシュフローを元に戻そう。何も購入できない状態でラウンド落とせば負の連鎖が始まってしまう。
『VALORANT』ではいくつかのラウンドを捨てる必要があるが、これがこのゲームの魅力のひとつだ。また、自分を含むチーム内の特定のプレイヤーがチーム全員または特定のチームメイトのために武器を調達できる余裕があるかどうかを確認するのもIGLの仕事だ。なぜなら、敗戦まであと1ラウンドなど、ラウンドを絶対に落とせない状況もあるからだ。
プレイ中は選択肢を常に確認するようにしたいが、ラウンドとラウンドの間も確認を怠らないようにしよう。自分たちの手元にあるアルティメット、資金、アビリティを確認し、それらでできることを考え、できるだけ早くチームメイトたちと共有するようにしよう。
09
スタッツが低くてもOK
IGL最大の仕事は “チームのサポート” であり、これが常に最優先される。よって、対戦相手の位置情報をリアルタイムで報告し、アイディアや戦術を提供しながら、できる限りキルされないように心掛けたい。
また、他のロールよりもリスクが高く、キルトレードされる確率が高いデュエリストをピックするのは避けるべきだ。IGLがショットコーラーとして機能するためには、最初に突入してキルされるのはNGだ。
気付いていないかもしれない人のために一応伝えておくが、IGLは、最初にキルされるプレイヤーではないが、キルを多く取れるプレイヤーでもない。しかし、キルが多く取れず、スタッツが低くても問題ない。それはデュエリストの仕事だ。デュエリストはIGLのように対戦の大局を見る必要がない。そして言うまでもないが、彼らがスパイクをキャリーすることもまずない。
つまり、デュエリストとIGLのロールは正反対と言える。IGLが対戦相手のトッププレイヤーを相手にリスキーなトレードを仕掛けることはない。もちろん、前に出てファイトを仕掛けなければならないときもあるが、そのときは臨機応変に対応しよう。
チームで最初にキルされるプレイヤーになりそうなら、デュエリストかイニシエーターをピックして、ショットコールは他のチームメイトに任せよう。ショットコールを担いたいなら、最初にキルされないようなアプローチに変更する必要が出てくるだろう。矛盾する2つを両立させることはできない。
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