レトロゲームファンにとってここ最近はワクワクするものだった。Microsoftが Xbox One向けのXbox 360タイトルを大量にリリースした途端、SonyもPS4でPS2クラシックタイトルをリリースし始めたからだ。
海外の多くのプレイヤーたちは、PS4の『 Star Wars バトルフロント』のリリースに合わせてPS2の『スター・ウォーズ』シリーズがタイアップリリースされたことに気が付いたが、それらの内容はほぼノータッチで、セーブに使うメモリーカードまでそのままだった。つまり、これはSonyが余計な移植作業なしでPS2をそのままPS4で動作させるエミュレーター技術を開発したことと、パブリッシャーもこの技術を使用できるようになったことを意味する。
Sonyは最終的に「PS2のゲームを次世代機でプレイできるエミュレーター技術の開発に取り組んでいる」ことを公式に発表したが、具体的な今後の展開については触れなかったため、我々は、今後どんなPS2クラシックが高解像度の3Dグラフィックを表示できるこのエミュレーター技術の恩恵を受けることになるのかについて、頭を悩ますことになった。
当然、現時点でも数多くのPS2クラシックがPS4でもプレイ可能で、PSNのダウンロード版や、 PlayStation NowのPS3リマスター版が存在するが、以下に紹介するクラシックはテクノロジーの進化の海に飲み込まれてしまっている。もちろん、これはSonyがMicrosoft同様に後方互換機能を追加すれば解決できる。是非ともその機能を実現し、以下のタイトルを復活させて欲しい。
『ファイナルファンタジーXII』
この秋に『ファイナルファンタジーXV』がリリースされる可能性がないこともあり、最近のスクウェア・エニックスは、同社の最長シリーズの過去タイトルの再発をゆっくりと進めているが、これは『ファイナルファンタジーXII』のPS4用HD版のリリースの可能性があるということを示唆している。それがリリースされるまでの間は、PS2版をプレイして待ちたいものだ。本タイトルはPS2の後期に相当する2006年にリリースされたため、多くのプレイヤーがスルーしたが、美しいグラフィックと音楽は色褪せておらず、広大なオープンワールドとよく練られたガンビットシステムが、この作品を「長い回廊でXをひたすら押し続ける」だけだった続編『ファイナルファンタジーXIII』とはひと味もふた味も違うものにしている。
『マックス ペイン』
Rockstarが『 Max Payne 3』の開発を担当したが、コミック風のカットシーンや革新的なスローモーションタイムモードなどのオリジナルの魅力を最大限まで再現するには至らなかった。Xbox One専用の『Quantum Break』の開発で多忙なRemedy Entertainmentによるリメイクが非現実的なこともあり、PS2のエミュレーターでオリジナルがリリースされれば、我々は喜んでプレイするだろう。しかし、ニューヨーク・ミニッツモードは勘弁してほしい。あれは完全なるマッドネスだ。
『Psychonauts』
近年、Tim SchaferのDouble FineスタジオはKickstarterのアドベンチャーゲームで自分たちのポジションの獲得に成功しているのかも知れないが、本タイトルがこのスタジオの原点かつ最高傑作であることに変わりはない。SchaferはLucasArtsの『Day Of The Tentacle』や『Grim Fandango』などのポイント&クリック系アドベンチャーゲームを手がけてきた人物として知られてきたため、この『Psychonauts』は彼のファンにとっては意外なタイトルだった。というのも、これは2Dパズルではなく、ちょっぴり笑えるサイケデリックなアクションゲームだったからだ。開発が長引いた割には人気が出なかった作品なので、当時プレイするチャンスを逃した人は、オークションで競り落とすことをオススメする。
『レッド・デッド・リボルバー』
Xbox OneとPS4で『レッド・デッド』シリーズの新作がリリースされることはもはやほぼ確実と言える状況だが、その新作を渇望しているファンのためにPS2の『レッド・デッド・リボルバー』を再発すべきだろう。『リデンプション』に比べて技術的には劣ってはいるが、この『リボルバー』にはゲーム業界で長年無視されてきた時代を舞台にした素晴らしいストーリー(本タイトルがリリースされるまでRockstarが一番苦手としていた部分)がある。また、マルチプレイヤーの決闘も最高だ。
『SSX 3』
結局のところ『SSX』は、「Silly Snowboardying In The Extreme(エクストリームな環境で行う馬鹿げたスノーボード)」の略で、『SSX3』はその部分を更なる高みまで引き上げている。また、PS2の性能を確認できるタイトルでもあり、シングルコースのレースではなく山全体でライディングできる広大なマップが用意されている、ウィンタースポーツ初のオープンワールドゲームだった。ちなみに、『SSX 3』は大失敗に終わった Gizmondoでリリースされた数少ないタイトルの1本でもあったが、誰もGizmondoを買わなかったので、PS2版をPS4でプレイするしかない。
『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』
『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』は、PS2の『ゴールデンアイ 007』と言えるもので、誰もが楽しめる素晴らしいこのシューティングゲームに多くのゲーマーが多くの時間をつぎ込んだが、実は今作が『ゴールデンアイ 007』の精神的な後継者だったのは必然だった。『ゴールデンアイ 007』の開発に携わったRareのデベロッパーたちが設立したFree Radicalが最初にリリースしたのが、このシリーズだったからだ。007の殺人ライセンスの代わりにゲームの狂気さを増したこのゲームは、ビクトリア調のヒゲ面オヤジが猿と頻繁にデスマッチを繰り広げるユーモア溢れる内容を誇る。Free Radicalは既に存在しないので、この素晴らしいこの作品の公式な再発は実現しないが、PS4でエミュレートできるようになればその代わりになるはずで、最大8人のマルチプレイヤー対応にも期待したい。
『トニー・ホーク プロスケーター3』
『 Tony Hawk’s Pro Skater 5』はファンが求めていた復活作にはならなかった。バグの多さは、開発が急かされたことを明確に意味していた。よって、このシリーズについては最盛期だけを記憶に止めておきたい。その時期に相当する20001年にリリースされた『トニー・ホーク プロスケーター3』は、リリース直後にクラシックの称号を獲得したヒットタイトルで、PS2でオンラインプレイに対応した初めてのタイトルでもあった。今ではかなり古いゲームになってしまったが、ゲームプレイは相変わらず面白い。正直に言えば『Pro Skater 5』も古くささでは今作と変わらない。Sony様、このクラシックをもう一度プレイする機会をお与え下さい!