西田有志
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バレーボール

西田有志のセルフプロモーション力と今後の野望!

人見知りしない明るい性格と芯のあるハングリーさで、誰よりも勝ちにこだわる西田有志(にしだゆうじ)選手。YouTubeやSNSでも積極的にシーンを盛り上げる若きカリスマに、日本バレーボール界への熱き想いをロングインタビュー 【後編】!
Written by Ado Shirasawa
読み終わるまで:10分Published on
01

ずば抜けたセルフ・プロモーション力を学ぶ

   
──前半の記事では、プロになるまでのストーリーと自分の最大の強みについてお聞きしましたが、後半ではセルフプロモーション力と、これからの意気込みについてお聞きしたいです。
  
西田:いくらでも聞いてください!
    
──西田さんはYouTubeやSNSでの発信にかなり積極的ですよね。バレーボールセンスだけでなく、ブランディング力もズバ抜けている気がしています。
  
西田:なんかめっちゃ褒めてくれますね。嬉しいからバンバン答えてしまいそう(笑)。でも俺、そんなにブランディング力、高いですかね?

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──いやいや、その謙虚さ、好きです!
   
西田:そういってもらえるとありがたいですね。でもフォロワー数の8割は、妻(※1)だと思いますよ(笑)。
  • ※1元バレーボール女子日本代表・主将の古賀紗理那選手
   
──そんなことないと思いますよ(笑)。なぜYouTubeとかSNSを始めたんですか?
    
西田:SNSを管理してくれるマネージャーがいるんですが、彼と『バレーボールをもっと世間に知ってもらいたくない?』と話したことがきっかけでYouTube始めたんです。
   
──それはいつぐらいから始めたんですか?
   
西田:ちょうどコロナ禍に差し掛かる頃ですね。YouTubeで僕のバレーボールのプレイ動画だったり、日本代表戦とかを見ていただいて、それでフォローとか応援してくださる方がたくさん増えたっていうのはありますね。
 

 

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──簡単に実現するようなフォロワー数の多さじゃないですか、SNSを見てもらうためのコツってあるんですか?
    
西田:特にコツは何もないですよ(笑)。3〜4年前にYouTubeでナイトルーティンが流行ったころに、自宅を公開した動画で初めて100万回再生を越えました。
あとGoProを使って選手目線でバレーボールのスピード感や迫力を体験してもらう動画は、300万回再生以上回っています。実際に真正面からスパイクを受ける視点は、どういう風に見えるかは分からないから好評でしたね。
自分に正直じゃないと、嘘を見抜かれちゃうと思うんですよ
──インスタもフォロワー数が188万人越え(2024年12月現在)というのは凄いですよね。
   
西田:僕はバレーボール選手の中でも、人に好かれるか嫌われるかはっきり分かれるタイプだと思うんですよ(笑)。試合で露わにするこんなハングリーさ全開の性格だったり、髪色とかも最初に金髪に染めたのは僕だったりするので変に目立つんでしょうね
そんな僕でも応援してくださる方はたくさんいらっしゃるのでとてもありがたいですし、応援してくださる方々をすごい大切にしたいと思っています。
   
──そういった人を惹きつける個性的な部分とファンを大切にする純粋な気持ちがフォロアー数にも表れているんでしょうね。それにハングリーさ全開の性格って何も悪いことではなくて、勝ちたい意志の表れからですよね。
   
西田:なんて言うんですかね、たぶん僕のやり方は、おそらく海外向けなんだろうなって思っています。
はっきりと思ったことを口にするところとか。でも試合でトラッシュ・トークなんて海外では当たり前ですからね。だから日本の文化に馴染まないスタイルなのも分かっています。なのでどんな人たちにも認めてもらうような結果を出せるように、常に頑張ってやっています。
 

 

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──いろんなアスリートに話を聞いていると、フォロワー数を増やすことに注力していきたいけど、なかなか上手くいかないんだよねって悩む人が多かったりするんですが、何かいいアドバイスってありますか?
   
西田:難しい質問ですね(笑)。僕はSNSに投稿する時でも、常に嘘はつきたくないのはありますね。
一つ一つやることに対して、その意図をしっかり説明するし、本当にいいものと勧める物はやはり自分が使って本当にいいと思っていないとダメですよね。自分に正直じゃないと、嘘を見抜かれちゃうと思うんですよ。
   
──西田選手は芯がしっかりしているし、海外の人たちのように恥ずかしがらず堂々と思ったことを発信していますよね。それが成功の秘密ですか?
   
西田:うーん、恥ずかしがらずにとは言っても、やらなくてもいいこともたくさんあるので一概には言えませんけど、海外の人たちのオープンさは良いと思います。勝手なイメージですけど、生きるのが楽そうというか(笑)。自分が思ったように生きるスタンスに憧れますよね。
02

これからの自分、そして日本の未来に必要なこと

  
──バレーボール界を牽引する立役者として、ずばり今のシーンをさらに盛り上げるために必要なものと、そのために自分はどうすればいいか、考えを聞かせてください。
   
西田:僕、コンサルじゃないから上手く答えられないですよ(笑)。
  
──(笑)。
   
西田:バレーボールに足りない部分というよりも、バレーボールの魅力はこうだよとか、観戦しに来てもらったらやはり面白いと思われる組織を作るためにはどうすればいいのかとは考えますね。観戦する方々には純粋にバレーボールを見て楽しんで欲しいっていう本音もありますから。

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──その考えを聞かせてください。
  
西田:SVリーグの全チームと運営する組織は、Vリーグの時よりも密接な関係になっています。
例えばこんな意向でSVリーグを盛り上げていこうと運営側の指示があったら、チーム側は予算などいろんな問題はありますが、一つ一つどのチームもその意向に合わせて動いていきます。それに対して運営側はどう力を貸してくれるのか、それがこのSVリーグに変わってから僕は期待している部分ですね。
  
──Vリーグに比べて運営もチームもより全体が一つになると。
  
西田:収益や集客数などやはり現実的な部分はありますが、それでもSVリーグの運営とチームが一つになることで、見えてくるものはたくさんあると思う。参考になるのがBリーグ(※2)だったり、他のスポーツリーグだったりするので。
  • ※2ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
  
──SVリーグでより変化していく部分なんですね。
  
西田:そうです。僕らが仲良し小好しにならなきゃいけない訳でもないんですが、意思疎通させることや、情報共有の考え方を作ることは大切になることだと思うので、お互いがどのように一本化していくのかとても楽しみです。
   
──2024年10月からSVリーグが始まりましたが、以前のVリーグとSVリーグの違いとは?
  
西田:VリーグもSVリーグも同じく全10チームで戦うんですが、一番は試合数が増えたことと、外国人選手がオン・ザー・コートに2人まで入れることになったので、より日本のバレーボールのレベルが上がるというところですね。
   
──なるほど、分かりやすいですね。
  
西田:SVリーグのプロチームになるためのプロセスが今作り上げられています。その中でも、将来は5,000人以上収容できる試合会場が必要になるんですが、新しいアリーナを1年や2年で作るのは難しい現実です。でも各チームアリーナ建設や会場確保に向けて、スケジュールや集客の計画書などについて運営側と密に連携をとっているので、時間は掛かるかも知れませんがSVリーグの規模は大きく育っていくのではないでしょうか。
 

 

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──参戦するチームのライセンス申請とか、一般的には知られていない課題もあるんですね。
  
西田:各都道府県で試合を開催できる場所は多くありますが、より多くの観客を収容できるキャパシティを持つ会場はやはり少ないのが現状。これは室内競技だとどうしても困る部分なので、SVリーグで大きく解決していくと思います。
観戦する方々には純粋にバレーボールを楽しんでもらいたい
──YouTubeにアップされているVリーグの試合でも凄く観客が入っていたり、ファンが多いスポーツだと感じますが、さらに盛り上るってことですか?
    
西田:そうですね、さらに大勢の観客を収容できる試合会場を、各チームが所有する流れになっているので。あとは各チームの試合会場に、どうやって観客を呼び込んで楽しんでもらうかが課題になります。
と、ここまでべらべらと話してますが、決してネガティブな話ではなくて、要はみんなで知恵を絞ってもっと頑張っても上げていこう! というポジティブな話です。
 

 

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──ファンの人はもちろん、これからファンになる人がこの記事を読むことが多いと思うので、西田選手の注目してほしい部分を教えてください!
    
西田:僕はハングリー精神がポリシーなので、アグレッシブで大胆なプレイスタイルになってくると思います。またディフェンスを今シーズンは時間をかけて強化しています。
オポジットとして攻撃ではチームトップを常に狙いながら、ディフェンスを意識した、チームに貢献するプレイを自分の見せ所にしていくので、ぜひ注目して頂きたいです!
    
──西田選手が保育園児から始めたように、小さな子供たちを育てることもこれから大切だと思うんですが、バレーボールに興味を持ってもらうにはどこに注目したらいいですか?
  
西田:“ボールを床に落とさない”ことですかね。これはバレーボールならではの面白さ。常にボールが空中に浮いている競技はバレーボール唯一ですから。子供たちにボールを落とさず、仲間に繋いでいくことを意識させたら、仲間意識も生まれるし、バレーボールは面白いってなるんじゃないかな。
上手くなりたい向上心は、誰もが応援してくれる素晴らしいこと
──バレーボールに触れたことがない子供達にしっかりと伝えるべき魅力ですね。
  
西田:最初から『スパイクを打ちたい』という子供であれば、すでにバレーボールに興味があると思うし。逆に未経験の子供であれば、全員でボールを繋げていく部分を知ってもらうことで、チームスポーツの面白さを理解してもらえるし、バレーボールに沼ると思うんですよね(笑)。

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──最後に、春高バレーに向けて頑張ってる子や、西田選手のようになりたいと思っている次世代のバレーボーラーたちにアドバイスをください。
  
西田:バレーボールの頂点を目指すために向上心が生まれることはすごく素晴らしいこと。それは誰もが応援してくれることだから。でも頑張っても上手くいかないことの方が絶対に多い。だから上手くいかないことが必ず多いことを自分の中で理解した上で、ひたむきに練習するのが上達するためのコツだと思います。
  
──回り道に見えるけれど、それが上達への近道なんですね。
  
西田:上手くなりたいなら失敗するのは全然気にはならないと思うし、いろんなことを試せばその答えに行きつけるので。また春高バレーに出るとか、プロになるとかの目標を立てても、それを否定する人もいるので、それには耳を傾ける必要は全くないし、自分が信じたものに、誰よりも真っ直ぐ突き進めばいい。
自分が全力でやりたいという想いは必ず強いので、いつも成功するビジョンを想像しながら、挑戦してほしいですね。
   
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バレーボール西田有志インタビューの前編は【こちら
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