Lange auf der Vita gefangen: Gravity Rush
© Sony
ゲーム

間違ったプラットフォームでリリースされたビデオゲーム 7選

ビデオゲームが失敗に終わる理由はクオリティだけではない。相応しくないプラットフォームでのリリースも大きな理由のひとつだ。
Written by Matthias Regge (@PrinnyTonic)
読み終わるまで:9分Updated on
ビデオゲームのデベロッパーにとって、素晴らしい作品を完成させたのに狙っていたプレイヤーたちに届けることができないときほどフラストレーションが溜まることはない。
こうなってしまう理由として考えられるのが、リリースされたプラットフォームが「性能的に対応できていない」「抱えるプレイヤー層とビデオゲームの狙っている層が噛み合っていない」「売れていないのでプレイヤー数が少ない」などだ。
今回はこのような理由で苦しんでしまったタイトルをいくつかリストアップした。他のプラットフォームでリリースされていたら間違いなくもっと売れていたはずだ…。

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』(PS Vita)

実は、ソニーにとって『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』は比較的重要なタイトルだ。何しろ、このシリーズの主人公キトゥンは『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』のロースターにも選ばれている。
このタイトルはアクションアドベンチャーで、重力の切り替えが重要な能力になっている。パズルやバトルでこの能力を駆使したり、壁や天井などを走り回ったりするのだ。
『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』

© Sony

実は、『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』をこのリストに加えるのはフェアとは言えないのかもしれない。このタイトルは元々はPS Vita専用としてリリースされたが、のちにPS4リマスター版がリリースされている。
とはいえ、オリジナルのリリース当時は、携帯ゲーム機でこのタイトルのポテンシャルをフルに引き出せなかったのは確かだった。しかし、真の問題は技術面ではなかった。
実際、『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』のグラフィックスはPS Vitaでも十分美しかった。問題は、PS Vitaの販売台数が任天堂のライバル機に遠く及ばなかったことだ。PS Vitaはどちらかというとカジュアルプレイヤーよりもマニアックなプレイヤーのためのプラットフォームだった。
ソニーがこの事実を受け止め、最初からPS4でリリースされた第2作は、オリジナルのリマスター版のリリース後ということもあり、ある程度のプレイヤー数を獲得できた。

『Killer Instinct』(Xbox One)

格闘ゲーム『Killer Instinct』シリーズの復活作は、当時のXbox Oneのキラーコンテンツのひとつになっているべきだった。実際、理論上はそうなる条件が揃っていた。
まず、格闘ゲームコミュニティは『Killer Instinct』のゲームプレイを称賛していた。次に、グラフィックスは美麗Mick Gordonのサントラも最高だった。さらに、格闘ゲームの代表的な作品のひとつであり、早々にオンライン対戦でロールバックネットコードを採用していた。
格ゲーとしては優秀だがプレイヤー数が少ない『Killer Instinct』

格ゲーとしては優秀だがプレイヤー数が少ない『Killer Instinct』

© Iron Galaxy

しかし、残念ながら、当時の格闘ゲームの “スタンダードプラットフォーム” の地位を獲得していたのはXbox OneではなくライバルのPS4だった。しかも、このタイトルがリリースされたとき、格闘ゲームシーンはまだ(当時の)新世代機には移行していなかった。さらに言えば、Xbox One対応のアーケードコントローラーもリリースされていなかった。
このため、ヒットに必要な資質はすべて揃っていたにもかかわらず、『Killer Instinct』がヒットすることはなかった。しかし、いくつものトップレベルのトーナメントと定期的なアップデートがこのタイトルを進化させ続けた。また、PC版のリリースもいくらかの後押しになった。
しかし、このタイトルがより人気の高いプラットフォームでリリースされていたらどこまでヒットしていたのかを私たちが知ることは永遠に不可能だ…。

11分

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Daigo Umehara has been at the top of the Street Fighter world for years, but still loves each new challenge.

『ロストオデッセイ』(Xbox 360)

『ロストオデッセイ』の開発を手がけたのはミストウォーカーだ。ミストウォーカーはJRPGのドリームチームと呼べる存在で、『ファイナルファンタジー』シリーズの坂口博信植松伸夫が関わっている。
ファンたちはこの作品を『ファイナルファンタジー』シリーズのただの非公式作品とは捉えなかった。DVD4枚組の大ボリュームで、JRPGの名作群を想起させるクラシックなゲームプレイが用意されていた。
『ロストオデッセイ』にはJRPGのすべてが詰まっている

『ロストオデッセイ』にはJRPGのすべてが詰まっている

© Microsoft

この作品は優秀だった。今でもオールドスクールなJRPGファンには特に推奨しておきたい優秀なJRPGタイトルのひとつであり、すべての部分に坂口博信の影響が感じられる。しかし、あるひとつの点で失敗した。
『ロストオデッセイ』、そしてミストウォーカーのデビュー作『ブルードラゴン』はXbox 360独占のJRPGだったのだ。日本でのXbox 360のセールスを伸ばすために、マイクロソフトから依頼されたというのがその背景にあったのだが、残念ながら売れることはなかった。ソニー側でリリースされていたらより多くのプレイヤーが手に取っていたはずだ。

『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』(PSP)

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』と同じように、『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』もPSPでリリースされたあと、他のプラットフォームでもリリースされた。
しかし、この作品をソニー初の携帯ゲーム機独占でリリースするというコナミの判断が興味深いものであることにかわりはない。何しろ、『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』はいわゆるスピンオフではなくシリーズ本編に組み込まれる作品であり、シリーズ全編にかかわってくる重要な作品なのだ。
XboxとPSでもリリースされた名作

XboxとPSでもリリースされた名作

© Konami

とはいえ、ゲームプレイ面は他のシリーズとは大きく異なっている。『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』ではアクションアドベンチャーお馴染みの自由なエリア探索がない。その代わりに、異なる兵士たちとの様々なショートミッションに挑むことになる。このゲームプレイはもちろん携帯ゲーム機でのリリースを念頭に置いて考えられたものだった。
のちに、『METAL GEAR SOLID HDエディション』がPS4とXbox 360でリリースされ、オンラインCo-opモードが追加された。

『マッドワールド』(Wii)

ここでリリースされたプラットフォームの技術的制限がヒットの邪魔になってしまった作品を紹介しよう。任天堂のWiiは最も売れた家庭用ゲーム機のひとつであり、カジュアルプレイヤーを中心に大ヒットを記録した。しかし、リリース当時のWiiの技術はライバル機たちに遠く及ばなかった。
『マッドワールド』はWiiらしくない作品

『マッドワールド』はWiiらしくない作品

© Platinum Games

プラチナゲームズが手がけた『マッドワールド』は技術面が売りのゲームではなく、モノクロのユニークなグラフィックスを売りにしていたのだが、この作品がWiiのカタログの中で浮いてしまった理由は、この作品のプレイヤー層がWiiのプレイヤー層と合っていなかったことにある。
Wiiは基本的にファミリーとカジュアルプレイヤーをターゲットにしており、血なまぐさいモノクロアクションの『マッドワールド』は真逆に位置していた。

『タツノコ vs. カプコン』(Wii)

格闘ゲームのルネッサンス最盛期に『タツノコ vs. カプコン』のアーケード移植版がWiiでリリースされた。『ストリートファイターIV』の "スリップストリーム" と人気アニメシリーズのライセンスを活用していたこの作品は、『Marvel vs. Capcom』シリーズの正統な後継者になることが期待されていた。
しかし、『タツノコ vs. カプコン』は当時の格闘ゲームトーナメントのスタンダードプラットフォームだったPS4とXbox 360ではリリースされず、Wiiでリリースされた。
アケコンもトーナメントもなく、失敗に終わった隠れた名作

アケコンもトーナメントもなく、失敗に終わった隠れた名作

© Capcom

Wiiの正統派格闘ゲームはこれしかなかった。また、Xbox Oneでリリースされた『Killer Instinct』と同じく、アーケードコントローラーの使用が難しかった。Mad Catzからこのタイトルバージョンのアーケードコントローラーがリリースされたが、有線でさえなく、Wiiリモートと接続する必要がある代物だった。
とにかく残念でしかない。『タツノコ vs. カプコン』が非常に良い作品だったことを踏まえるとこの思いがことさら強まる。しかし、開発を担当したエイティングはこの作品の開発で得た経験と知識を『Marvel vs. Capcom 3』の開発に活かしており、シーンで長年愛される作品のひとつを生み出した。『Ultimate Marvel vs. Capcom 3』は今でもトーナメントシーンで見かけることができる。

『ベヨネッタ2 / 3』(Nintendo Switch)

任天堂の存在がなければ、ヒットタイトル『ベヨネッタ』の続編は開発されなかったというのは厳然たる事実だ。しかし、『ベヨネッタ2』は「家庭ゲーム機史上最大の失敗作のひとつでリリースされる」ことが問題となり、開発に長い時間を要することになった。
『ベヨネッタ3』は戦闘システムが秀逸

『ベヨネッタ3』は戦闘システムが秀逸

© Nintendo

しかし、Wii Uでリリースされた『ベヨネッタ2』は、前作に続いて最高評価を得ることになる。この作品は脆弱だったWiiUのポテンシャルをすべて引き出し、前作を上回るゲームプレイを提供したのだ。
幸運なことに、『ベヨネッタ2』はNintendo Switchで再発され、さらには『ベヨネッタ3』も独占タイトルとしてリリースされた。しかし、『ベヨネッタ2』は当然ながらNintendo Switchで問題なく機能した一方、『ベヨネッタ3』は世間の大きな期待に完全には応えることができなかった。
フレームレートの問題によって、多くのプレイヤーがこの作品はよりパワフルなプラットフォームでリリースされるべきだったのではないかと思うことになったのだ。しかし、非常に特別な作品であることに変わりはなく、ファンはリリースされないよりはマシと結論づけた。
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