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『Red Bull Kumite』2023年大会開催決定!開催場所やその他の詳細はこちらをクリック>>
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格闘ゲームコミュニティ(FGC)は他とは違うルールに従っている。それは、既存概念を覆さなければならないという義務感から来るルールではない。その逆だ。FGCの "伝統を大切にし、「全員のために」という信条の保持する姿勢" は語り草で、アーケード時代から移り変わってきた時間、テクノロジー、そしてトレンドに振り回されたことはない。FGCは、eスポーツと伝統的なスポーツにとってはもはや夢でしかない “オープンな競技環境” の真の、そして最後の熱心な信奉者なのだ。
そのFGCは、招待制トーナメントにもかかわらず、『Red Bull Kumite』を格ゲーシーンの中で存在理由を証明してきたその他のグラスルーツトーナメントと同じように受け容れている。なぜなら、『Red Bull Kumite』は世界最強プレイヤーたちが確認できるショーケースであり、FGCが提供できる現在最高のスペクタクルであり、テレビ番組と匹敵する非常に高いプロダクションバリューを誇っているからだ。
しかし、その成長に伴い『Red Bull Kumite』は参加プレイヤーたちの腕試しの場所へと変わっていった。彼らが「自分の時代がやってきた」と宣言するための場所になったのだ。
※:『Red Bull Kumite 2015』のボンちゃん戦を前に放ったコメント
01
『ストリートファイターIV』時代
初開催の『Red Bull Kumite 2015』は、当時の格ゲートーナメントとは多くが異なっていた。もちろん、非常に高いプロダクションバリューもそのひとつだが、用意された舞台と観客とともに生み出された雰囲気は完全な別物だった。
FGCの間ではよく知られている、400年の歴史を誇るフランス・パリの劇場 “Salle Wagram” が会場に初採用されたのがこの年だった。FGCで金網ケージマッチが開催されたのはこのときが初めてではなかったが、FGCでは滅多に見られない盛り上がりを見せた。そこには参戦プレイヤーたちの真の実力を引き出す雰囲気があった。また、『ストリートファイターIV』のライフサイクル的に、参戦プレイヤーたちは多くを証明しておく必要があった。
この時点で、『ストリートファイター』シリーズは2016年に新作がリリースされる予定になっていたため、『Red Bull Kumite 2015』は『ストリートファイターIV』時代最後のビッグイベントのひとつに数えられていた。長寿格闘ゲームシリーズの人気復活の嚆矢となったこの第4作目では、ベテランたちと並んで自分たちの歴史を作っていこうという新世代プレイヤーたちが台頭していたが、彼らにとってFGC初の招待制トーナメントだった『Red Bull Kumite 2015』は、格闘ゲームの長い歴史に名を残せる絶好のチャンスだった。
多くのファンとプレイヤーからの注目に相応しい内容にするために、『Red Bull Kumite 2015』は “素晴らしい” 以上のトーナメントになる必要があった。世界中のファンにいくつかのドリームマッチを提供することが絶対条件だったのだ。言い換えれば、『ストリートファイターIV』のEVO王者を呼ぶ必要があったのだ。そして、このイベントはその全員を集めることに成功し、ウメハラ、ふ〜ど、Infiltration、Xian、Luffyが揃い踏みした。
コミュニティとの関係が深いプレイヤーを招待するという『Red Bull Kumite』のこの伝統は、やがて大きな特長のひとつとなり、シーンから常に注目を集める要因となった。
02
夜明け前
『Red Bull Kumite 2015』では、Last Chance Qualifier(LCQ:ラストチャンス予選 / 現地最終予選)がメインイベント前に予想外の盛り上がりを見せた。128人分の枠が用意されたこのオープン予選には、PhenomやProblem Xなど、のち のヨーロッパFGCを担うことになる新世代プレイヤーたちが多数参戦し、最後の2枠を賭けて全力を出し合った。最終的にフランス人プレイヤーのCuongsterとGapapaがその2枠を勝ち取ったため、ホームファンにより多くの興奮がもたらされた。
そして翌日のメインイベントでは、『Red Bull Kumite』のもうひとつの特長が生み出された。派手な照明、大音量の音楽、様々な演出とともに行われる入場だ。
フランス人プレイヤー、特にLuffyは入場時にホームファンから大歓声を受けたが、この時間は、会場に集まった観客に参戦プレイヤーそれぞれの性格や個性を教えるチャンスとして機能し、のちの『Red Bull Kumite』ではさらに凝った演出が用意されるようになった。そして、全プレイヤーがケージ内に入り、観客側を向いて並び立つと入場終了となるのだが、このケージに収まった瞬間も『Red Bull Kumite』ならではのものとして長年人気を誇ることになった。そして、対戦が始まった。
『Red Bull Kumite 2015』は、ボンちゃんとときどの好調ぶりが際立っていた。当時から2人は世界最強レベルにあると目されていたが、メジャートーナメントでは結果を出せていなかった。しかし、『Red Bull Kumite 2015』の2人はウィナーズファイナルまで勝ち進み、他のプレイヤーたちよりも大きなものが懸かっている状況で直接対決を迎えた。
そのウィナーズファイナルまでの道のりは、ボンちゃんの方が厳しかった。ボンちゃんはEVO王者との連戦が続いており、Infiltration、Luffy、ウメハラをそれぞれ2-1の僅差で破ってときど戦を迎えていた。
しかし、ウィナーズファイナルではそのときどがボンちゃんの勢いを止め、ボンちゃんを3-2で下し、一足早くグランドファイナル進出を決めた。一方、ここでルーザーズに落ちたボンちゃんは、ルーザーズファイナルでネモと対戦し、グランドファイナル進出を手にした。
この日、ときどには優勝できる自信があった。だからこそ、グランドファイナル前にコメントを求められたときに、「He’s always second place」(「彼はいつも2位ですからね」)とボンちゃんを煽ったのだった。
しかし、残念なことに、ときどの連勝はここで止まり、3-1でリセットされると、次も3−1で敗れた。そしてボンちゃんが『Red Bull Kumite』初代王者となり、『ストリートファイターIV』時代のキャリア最大の報酬を手にした。しかし、それよりも重要だったのは、この優勝が『ストリートファイターIV』と共にFGCで台頭した "2009年組" のもうひとつの足跡になったということだった。彼らは、『ストリートファイター』シリーズが新時代へ移行しても強大な勢力になることをパリで高らかに宣言したのだ。
03
『ストリートファイターV』時代ヘ
『ストリートファイターV』は、リリース前からeスポーツの大きな目玉になることが予想されていた。『ストリートファイターIV』時代を通じてCapcom Pro Tour(カプコンプロツアー)が大きく成長していたことから、同時代に成功を収めていたプレイヤーたちはすぐにこの最新作へ身を投じた。
では、『ストリートファイターIV』時代のトッププレイヤーたちは、リリースからまだ2ヶ月しか経っていない『ストリートファイターV』で何を見せられるのだろうか?
『Red Bull Kumite 2016』のプレイヤーたちには、この疑問への回答を示すことが期待されていた。
この年も再びEVO王者たちが集められ、ウメハラ、Infiltration、Luffy、Xian、そして『ストリートファイターIV』時代最後EVO王者ももちが招待された。また、『Red Bull Kumite 2015』王者のボンちゃんと2位のときども招待されたが、2人が『ストリートファイターIV』時代にそれぞれのメインに据えていたキャラクター2体は、『ストリートファイターV』にまだ収録されていなかった。
ボンちゃんのメイン “サガット” は、隙のないキャラクターとして知られており、飛び道具のタイガーショットで体力を確実に削りながら相手が焦って前に出てきたところを仕留められる性能は、ボンちゃんのプレイスタイルにパーフェクトにマッチしていた。一方、ときどの “豪鬼” はその真逆とも言えるキャラクターとして知られており、高火力を活かして相手を画面端へ追い込める性能はときどのプレイスタイルに合っていた。
しかし、両キャラクターが未収録だったため、2人はそれぞれのプレイスタイルの中間点と言えるリュウを選ばざるを得なかった。また、『Red Bull Kumite 2016』にはSnake Eyezも再び招待されていた他、『Red Bull Kumite』初参戦のトッププレイヤーたちも集められていた。
『Marvel vs. Capcom』シリーズのトッププレイヤーとして知られ、『ストリートファイターIII』と『ストリートファイターIV』時代を通じてウメハラと格ゲー史に残る名勝負を繰り返してきたJustin Wongが最新作でレガシーを遺すために参戦し、また、Capcom Cup(カプコンカップ)王者のかずのこ、Gamerbee、Poongko、Alioune、Keomaも集まっていた。
04
Red Bull Kumite 2016
しかし、『Red Bull Kumite 2016』最大の瞬間はLCQで起きた。256人が参加したこの予選を勝ち抜いてメインイベント出場権を手にしたのはValmasterとBig Birdで、このイベントが実質的なインターナショナルデビューだった中東出身プレイヤーBig Birdの活躍は特に大きな注目を集めた。
メインイベントでのBig Birdはボンちゃんに敗れていきなりルーザーズに落ちてしまったが、この若きUAEの星はそこからGamerbee、Xianを倒して5位フィニッシュを記録。他の地域のプレイヤーとファンたちは、ライジングスターが登場したと色めき立った。
『Red Bull Kumite 2016』、そしてこの年に開催されたほぼすべてのトーナメントは、Infiltrationとときどが席巻した。Infiltrationは最新作の特徴をいち早く把握していたため、『Red Bull Kumite 2016』ではアンタッチャブルなプレイを連発。ディフェンディングチャンピオンのボンちゃんを葬ると、ウィナーズファイナル進出を決めた。
ときどにとって、『ストリートファイターV』は対応力が問われるゲームだったため、彼は豪鬼と比べると攻撃オプションが少ないリュウでのアグレッシブなプレイの研究を重ねていた。そして迎えた『Red Bull Kumite 2016』でも、初戦でウメハラを下すと、続いてJustin Wongにも勝利し、さらにはCapcom Cup王者のかずのこも下してウィナーズファイナルへ進出。Infiltrationとの対戦を迎えた。
『Red Bull Kumite 2016』直前に開催されていた2つのメジャートーナメントのグランドファイナルはどちらもInfiltrationとときどの顔合わせで、どちらもInfiltrationが制していた。しかし、この週末はときどがInfiltrationを限界まで押し込み、スコアを2-1にすることに成功。しかし、最終的には3-2でウィナーズファイナルを落として、ルーザーズに落ちてしまった。
その後すぐにときどはグランドファイナルに戻り、Infiltrationとの再戦を迎える。ここでときどはリセットに成功するが、それだけでは不十分で、2016年3回目のグランドファイナルでのInfiltration戦敗北を喫してしまった。こうして、のちにEVOの『ストリートファイターV』も制することになる韓国人トッププレイヤーが『Red Bull Kumite 2016』の王者となった。
05
未来へ
2回目の開催が大成功に終わったあと、『Red Bull Kumite』のメッセージは明確だった。このトーナメントはFGCにとって重要であり、全員の憧れであるということが世界に発信された。『Red Bull Kumite』は、ベテランとルーキーの間で、メジャートーナメントのトップ8以上でしか確認できないような緊張感溢れるトップレベルのバトルを体験できる特別なトーナメントという評価を確実にした。そして何よりも重要なことに、このトーナメントはエンターテインメントとしてのクオリティが非常に高い。
格闘ゲームトーナメントの未来は、参加プレイヤーたちのレベルとモチベーションによって左右されるところがあるが、『Red Bull Kumite』の新世代プレイヤーたちとベテランプレイヤーたちの激しいバトルは、このイベントを歴史あるフランスの劇場に用意されたオクタゴンリングから格闘ゲームのホーム日本をはじめとする世界へ羽ばたかせることになった。
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