T1は、『リーグ・オブ・レジェンド』の韓国プロリーグ "LCK” のスプリングスプリットのレギュラーシーズンで全勝優勝を記録して自分たちの過去の記録を塗り替えると、続くプレイオフも連勝して制覇した。20連勝というこの信じられない大記録は、ピック、バン、そして対戦相手の強さを問わずすべての試合で圧倒したことを意味している。
大記録を打ち立てたT1は現在喜びに浸っているはずだが、今回はこの無敵チームの強さの要因を探っていこう。
01
運の良さ
前身のSK Telecom T1時代、T1は2015年にそれまでの連勝記録14を樹立している。そのため、彼らには今回の記録を打ち立てられる力が備わっていたと言える。しかし、今シーズンの彼らはレギュラーシーズンを18勝全勝で終えたあと、プレイオフでも2連勝して完全優勝(20連勝)を飾った。
では、今シーズンのT1がここまで強かった理由はどこにあったのだろうか?
過去数シーズンのT1はアップダウンが激しかった。スプリングとサマーを連覇したがWorldsではタイトルに手が届かなかった2019シーズン以来、彼らはペースを掴めずにいた。しかし、今回の彼らはまず運が良かった。
今シーズンのスプリングは、Gen.GからPark “Ruler” JaeHyukが離脱するなど、ライバルチームたちが最強のロースターを揃えられていなかったのだ。とはいえ、T1自身も最後のタイトル獲得から大きな成長を遂げていた。次項から彼らの強さに迫っていこう。
02
安定のFaker
今シーズンのT1の復活に大きく貢献していたのがLee “Faker" Sang-Hyeokだ。シーズン中に『リーグ・オブ・レジェンド』プロ1,000戦目とLCK700戦目を記録した、T1に約10年所属しているこのベテランプレイヤーのチームへの貢献度の高さは、いくつもの勝利とハイライトに繋がった。本人のプレイが直接勝利を呼び込んだ瞬間も多かった。
今シーズンのFredit BRION戦はFakerにとってLCK400勝目となった。この素晴らしい記録が彼にスプリングシーズンを戦い抜く自信を与えたのは確かだ。
T1で長くプレイしてきた彼は、チームにとって計算できる戦力であり、他のチームメイトたちにとっては兄貴的存在だ。実際、T1はいくつかのビッグマッチで彼の豊かな経験に助けられていた。
Fakerの器用さもT1にとって大きな助けになっている。彼は想定外のピックで対戦相手を翻弄できる。たとえば、Kwangdon Freecs戦のFakerは、通常ならボットレーンでピックされる《カイ=サ》をミッドレーンでピックして相手を驚かせた。しかも、彼はその意外なポジションでいとも簡単に彼女を扱って見せた。
また、FakerはDRX戦で彼にとって72体目のチャンピオン《ベイガー》をデビューさせ、その対応力の高さと新しい勝利の方程式を探し続ける貪欲さをあらためてアピールした。
03
高いチーム力
Fakerは実に見事だったが、他のチームメンバーたちが活躍しなかったわけではない。特に、今シーズンから昇格したChoi “Zeus” Woo-Jeは、タイトな試合となったウィーク2のDRX戦でトップレーンとして活躍し、T1ファンからの信頼を勝ち取った。
LCK最年少プレイヤーのひとりに数えられるZeusは将来を嘱望されていたプレイヤーだったが、世間の見立てが間違っていないことを短期間で証明した。
また、T1ファンにとっては当然の結果なのかもしれないが、LCK All-ProはT1プレイヤーで占められた。Zeus、Faker、Lee “Gumayusi” Min-Hyeong、Ryu “Keria” Min-Seokが選ばれ、T1以外のプレイヤーはひとりしか選ばれなかった。
LCK All-Proのラインアップは、スプリングシーズンのパフォーマンスを見たファンたちの投票によって選ばれるため、独占はどのチームにとっても非常に光栄なことだ。また、KeriaはシーズンMVPも獲得し、この賞を受賞した初めてのサポートプレイヤーになった。
04
高いスタッツ
LCK All-Proのラインアップが今シーズンのT1の強さの証拠としては不十分と言わんばかりに、各種スタッツも彼らの強さを示している。
まず、KeriaはDWG KiaのKim “Kellin” Hyeong-Gyuと並んでサポートプレイヤー最高KDA(4.6)を記録した他、LCK史上最多シーズンアシスト(451)も記録した。
また、Keriaは1ゲームアシスト数、DPM、プレイヤー・オブ・ザ・ゲームポイントもサポートプレイヤー最多を記録している。
Moon “Oner” Hyeon-Joonも同レベルのスタッツを残しており、ジャングラーのレギュラーシーズン1ゲーム最多平均キル(3.5)と最高DPM(299)を記録。また、Gumayusiが全ロール通じての1ゲーム最多平均キル(5.1)とLCK史上最多シーズンキル(219)を記録し、さらには、Zeusがトップレーナー最高DPM(552)、FakerがミッドレーナーのDPMトップ3(514)を記録した。
これらのスタッツからは、連勝記録を考慮しなくてもT1がチーム力と個人力で優れていることが分かる。
05
プレイオフも制覇
レギュラーシーズンを終えてもT1の勢いは止まらず、彼らはスプリングプレイオフもほぼ無傷(ファイナルのGen.G戦で1ゲームを落としただけ)で優勝した。2022シーズンのスプリングスプリットで見せたT1の個とチームの強さはLCKではこれまで確認できなかったレベルであり、新たな先例になるだろう。
▶︎世界中から発信される記事を毎週更新中! 『新着』記事はこちら>>