Yuki Tsunoda on a dark background, with his signature behind him, announcing his move into the ORBR - Oracle Red Bull Racing – seat for 2025
© Getty Images/Red Bull Content Pool
F1
角田裕毅がオラクル・レッドブル・レーシングのドライバーに昇格!
角田裕毅が “マックス・フェルスタッペンのチームメイト” というF1最高難度のミッションに挑む。昇格を記念して、日本人F1トップドライバーのこれまでのキャリアと過去のマックスのチームメイトたちのキャリアを振り返る。
Written by Paul Keith
読み終わるまで:14分Published on
リアム・ローソンがF1 2025シーズン開幕2戦で苦しんだことを受け、オラクル・レッドブル・レーシングはドライバーを交代し、第3戦日本GPからビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズ角田裕毅を昇格させることを決定した。
レッドブルは、オラクル・レッドブル・レーシングとビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズの合計4シートを擁しているユニークな組織のため、現ワールドチャンピオンにして4冠王者のマックス・フェルスタッペンのパートナーに角田を据えるという、チームをまたいだドライバーローテーションを実施することができる。
ニュージーランド出身のローソンが2025シーズン開幕2戦で新マシンRB21への適応に苦戦したあと、チームプリンシパルを務めるクリスチャン・ホーナーは、ドライバー2名が揃ってポイントを獲得できることがチームの最優先事項であると説明した。
「開幕2戦でリアムがRB21に苦戦する様子は、見ていて辛いものでした。これを受けて、私たちは早期交代の決断をチームとして下しました」
「私たちはドライバーズタイトル防衛コンストラクターズタイトル奪還という2つの目標とともに2025シーズンを迎えています。今回の交代は、これらの目標を達成するために下した、スポーツ面からの決断です」
また、レッドブル・レーシングを率いるホーナーは、角田が新マシンの熟成において重要な役割を担うことになると付け加えた。
「裕毅の経験は現行マシンの開発において大いに役立つはずです。私たちは裕毅を喜んで迎えるとともに、彼がRB21のステアリングを握ることを楽しみにしています」
01

角田裕毅:レッドブル・レーシング加入までの道のり

F1直下のジュニアカテゴリーで印象的なパフォーマンスを示した角田は、ファエンツァに拠点を置くチームで4シーズンを過ごしながら成熟を重ねてきた。
9歳でレーシングカートを始め、ホンダの目に留まる活躍を見せてホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトの育成ドライバーとなった角田は、F4日本一決定戦FIA-F4選手権を立て続けに制覇したあと、日本を離れてレッドブル・ジュニアチームからF3およびF2に参戦。2020シーズンにF2で3勝・表彰台7回を記録して総合3位を獲得し、F1デビューの切符を掴んだ。
2021シーズン、角田はスクーデリア・アルファタウリ(当時)からF1デビューを飾ると、シーズン最終戦アブダビGPでは自己最高位となる4位でフィニッシュ。その後も安定した成績を残し続け、2025シーズン、開幕戦オーストラリアGP予選5位、第2戦中国GPスプリント6位という好調を維持したまま、満を持してオラクル・レッドブル・レーシングへ加入する。
母国レースでの新チーム移籍初戦はファンの間にこれまで以上の興奮を生み出しており、彼らは日本人ドライバーとして初めてトップチームから参戦する角田に大きな声援を送るはずだ。母国ファンの目の前で行われるショーランから始まるレッドブル・レーシングの角田には今後多くの注目が集まることが予想される。
ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズのチームプリンシパルを務めるローレン・メキーズは次のようにコメントを発表した。
「裕毅が実力に相応しいオラクル・レッドブル・レーシングへの昇格を勝ち取ったことを私たちは非常に誇りに思っています。昨シーズンの彼の成長と2025シーズン開幕以降の活躍は目を見張るものでした」
「個人としても、チームとしても、彼の成長を見守ることができたことは、私を含むファエンツァとミルトン・キーンズの全員にとって非常に大きな栄誉でした。裕毅のエナジーポジティブさは、ファクトリーとガレージを隅々まで明るくしてくれましたし、彼はこれからもレーシングブルであり続けます! オラクル・レッドブル・レーシングでの彼に相応しい成功を祈っています」
02

ローソンはビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズに復帰

一方、F1でのフルシーズン参戦が始まったばかりのリアム・ローソンは、ファエンツァに戻り、もうひとりの才能溢れるルーキードライバー、アイザック・ハジャーとコンビを組む。
2025シーズンは困難なスタートとなったが、ローソンの実績は目覚ましい。2023シーズン中盤にダニエル・リカルドの代役としてF1デビューを飾ったローソンは、2024シーズン終盤戦はそのリカルドに代わりステアリングを握った。
リアム・ローソン© Getty Images/Red Bull Content Pool
また、ローソンは2024シーズンにシルバーストンで行われたレッドブル・レーシングとの1回限りのテストで持ち前のスピードを発揮し、セルジオ・ペレスの後任として自分を昇格させることをチームに認めさせた。
しかし、まだ11戦しか経験していないローソンは、2006シーズンのロバート・ドーンボス以来となるレッドブル・レーシング史上最も経験の浅いドライバーであることに変わりはない。これからローソンはレーシング・ブルズへ復帰し、ローレン・メキーズ率いるチームと仕事を進めていくことになる。
ホーナーは次のコメントを発表している。
「私たちにはリアムを守り、成長させる義務があります。ですので、リアムが極めて困難なスタートを切ったことを受けて、彼が順調にF1キャリアを築いていけるように、慣れ親しんでいる環境のビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズへ戻すことを早急に決断することが望まれました」
メキーズも次のコメントを発表した。
「ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズの全員が、リアムとハードワークを重ねて彼にとって最高の環境を用意し、彼に私たちが信じている才能を発揮してもらうことを心待ちにしています」
「昨シーズンの彼は実によくチームに溶け込んでいましたので、チームとしてともにチャレンジし、成長していくことが楽しみです。アイザックがすでに力強いスタートを切っていますし、若くて強力なラインアップを手にしている自信があります」
03

フェルスタッペンの歴代チームメイト

予選結果とレーススタッツを直接比較してみると、角田裕毅はニック・デ・フリース、ダニエル・リカルド、リアム・ローソンを上回っており、実際、角田を唯一上回っているのはピエール・ガスリーだけだ。では、ワールドチャンピオン4回を誇るフェルスタッペンと過去のチームメイトたちと比較してみるとどうなるだろうか?
04

カルロス・サインツ

  • チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • レース数:56(フェルスタッペンとは23)
  • 最高グリッド:5(1回)
  • 最高順位:4(1回)
  • 獲得ポイント:112
カルロス・サインツとマックス・フェルスタッペンのライバル関係は最初から熾烈だった。F1 2015シーズンのオーストラリアGPでスクーデリア・トロ・ロッソから揃ってF1デビューを飾った2人は、お互いがレッドブル・レーシングのシートを狙っていることを理解していた。
そして同時に、そのシートに座っていたダニール・クビアトは、ダニエル・リカルドと一緒にレッドブル・レーシングのガレージに残るためには結果を出さなければならないことを理解していた。この4人全員がレッドブル・ジュニアチーム出身であり、お互いを熟知していた。
このシーズンのサインツとフェルスタッペンは、それぞれ49ポイント(4位2回を含む)、18ポイントをファエンツァに持ち帰って貢献した。そして、この成績を踏まえ、2016シーズンのロシアGPでクビアトが苦戦したあと、フェルスタッペンがスペインGPからレッドブル・レーシングに昇格し、さらには昇格デビュー戦優勝という快挙を成し遂げたのだった。
直接対決
カルロス・サインツ
マックス・フェルスタッペン
予選
11
12
レース
9
12
05

ダニエル・リカルド

  • チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • レース数:39
  • 最高グリッド:5(1回)
  • 最高順位:7(2回)
  • 獲得ポイント:30
  • チーム:レッドブル・レーシング
  • 出走数:100(フェルスタッペンとは58)
  • 最高グリッド:1(3回)
  • 最高順位:1(7回)
  • 獲得ポイント:956
明るい性格で人気の高いダニエル・リカルドは、フェルスタッペンのライバルというよりは兄的な存在で、ティーンエイジャーだったフェルスタッペンをF1に慣れさせる役割を担った。
2016シーズンから2018シーズンまで組んだ2人はお互いに刺激を与え合った。リカルドはフェルスタッペンの歴代チームメイトの中で唯一フェルスタッペンを総合順位で上回ったことがあるドライバーで、2016シーズンには総合3位に入っている。
しかし、2018シーズンに入ると、フェルスタッペンが大きくレベルアップしてリカルドからリードを奪うようになり、シーズンで表彰台11回を獲得し、2回のリカルドを大きく上回った。
残留すればナンバー2に降格する可能性があることを理解したリカルドは、同シーズン終了後にサインツの後任としてルノーへ移籍。マクラーレンを経て2023シーズンにスクーデリア・アルファタウリへ移籍し、久々にレッドブル・ファミリーへ戻った。
直接対決
ダニエル・リカルド
マックス・フェルスタッペン
予選
25
33
レース
24
32
ポール
3
0
表彰台
19
22
優勝
4
5
06

ピエール・ガスリー

  • チーム:トロ・ロッソ / アルファタウリ
  • レース数:96
  • 最高グリッド:2(1回)
  • 最高順位:1(1回)
  • 獲得ポイント:268
  • チーム:レッドブル・レーシング
  • レース数:12
  • 最高グリッド:4(1回)
  • 最高順位:4位(1回)
  • 獲得ポイント:64
ピエール・ガスリーはレッドブル・ジュニアチーム時代に下位カテゴリーで同チーム最高成績を収めて好印象を残し、F1昇格の権利を手にすると、トロ・ロッソでもそのスピードを遺憾なく発揮した。
しかし、2019シーズンにレッドブル・レーシングへ昇格したあとは一貫してポイントを稼ぐことが求められるようになり、与えられたRB15のコントロールに苦しむようになった。
豪放な性格と精緻なスキルをバランス良く持ち合わせているリカルドの後任を務めるのは簡単ではなく、またメルセデスが両タイトルで独走していたため、レッドブル・レーシングは上位に食い込んで大量ポイントを獲得できるドライバーをフェルスタッペンと組ませる必要があった。
結果、レッドブル・レーシングはガスリーがチームに順応するまで待つことを諦め、第12戦終了後にガスリーをファエンツァへ戻すことを決定。
このようなシーズン途中での降格は、多くのドライバーに悪影響を与える可能性が高いが、このポジティブなフランス人ドライバーは自分を見直すチャンスとして捉え、自分の持ち味を再発見すると、シーズン後半戦のブラジルGPではフェルスタッペンに次ぐ2位フィニッシュを記録した。
そして翌2020シーズンのイタリアGPでは見事にF1初優勝を記録し、ファエンツァに2回目のグランプリ優勝を届けた(スクーデリア・アルファタウリ体制では唯一)。こうして、再び自分の才能を世界に示したガスリーは、2023シーズンからアルピーヌに移籍して活躍を続けている。
直接対決
ピエール・ガスリー
マックス・フェルスタッペン
予選
1
11
レース
1
11
ポール
0
1
表彰台
0
5
優勝
0
2
07

アレックス・アルボン

  • チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • レース数:12
  • 最高グリッド:9(1回)
  • 最高順位:6(1回)
  • 獲得ポイント:16
  • チーム:レッドブル・レーシング
  • レース数:26
  • 最高グリッド:4(4回)
  • 最高順位:3位(2回)
  • 獲得ポイント:197
アレックス・アルボンとマックス・フェルスタッペンはカート時代からお互いを知る旧知の仲だ。2010年のKF3ワールドカップでは、アルボンがフェルスタッペンを上回った(ガスリーが4位)が、WSKユーロシリーズではフェルスタッペンがアルボンを上回り、WSKワールドシリーズも制している。
アルボンは2019シーズンにレッドブル・ジュニアチームからF1(スクーデリア・トロ・ロッソ)へ昇格して1954シーズンのプリンス・ビラ以来となるタイ国籍F1ドライバーになると、第12戦終了後にガスリーの後任としてレッドブル・レーシングへ昇格。ハードワークと謙虚な性格で知られるアルボンは、定期的にポイントを獲得してフェルスタッペンに貢献し続けた。
問題があったとするなら、それは表彰台の回数が少なかったことで、アルボンはレッドブル・レーシング時代の26戦でわずか2回しか立つことができず、右肩上がりで成長を続けるフェルスタッペンとの差は広がる一方となってしまった。
結果、レッドブル・レーシングはワンツーフィニッシュや優勝でフェルスタッペンのタイトル獲得をアシストできるセカンドドライバーを探すようになり、2021シーズンにセルジオ・ペレスを加入させた。アルボンはリザーブ兼テストドライバーとしてチームに残留してシミュレーションで重要な仕事をこなし、マシン開発と戦略立案の両面でフェルスタッペンの初タイトル獲得をアシストした。
その後も角田裕毅のメンターを担ったり、DTMでリアム・ローソンと組んだりと舞台裏での貢献を続けたアルボンは、2022シーズンからウィリアムズのドライバーとしてサーキットへ復帰した。
直接対決
アレックス・アルボン
マックス・フェルスタッペン
予選
1
25
レース
9
17
ポール
0
2
表彰台
2
15
優勝
0
3
08

セルジオ・ペレス

  • チーム:レッドブル・レーシング
  • レース数:90
  • 最高グリッド:1(3回)
  • 最高順位:1(5回)
  • 獲得ポイント:932
2021シーズンを通じて若手ドライバー2人をフェルスタッペンのパートナー候補としてテストしたレッドブル・レーシングは新しいアプローチを採用し、ベテランドライバーを加入させることにした。
そして選ばれたのが、F1ですでに10シーズンを過ごしていたセルジオ・ペレスで、彼は優勝1回を含む表彰台11回と、チームリーダーとしてフォース・インディアをレーシング・ポイント(現アストンマーティン)へ導いた実績を持ち合わせていた。
期待に応えたペレスは、レッドブル・レーシングでの最初の3シーズンで総合4位3位2位を記録。2023シーズンにはF1史上最高・最強の成績を収めたチームを強力にバックアップした。
しかし、4年目の2024シーズンはRB20のコントロールに苦しみ総合8位でフィニッシュ。チームがコンストラクターズタイトルを逃す一因となってしまい、フェルスタッペンのチームメイト歴代1位のレース数と成績と共に同シーズン限りで後進に道を譲った。
直接対決
セルジオ・ペレス
マックス・フェルスタッペン
予選
11
79
レース
11
79
ポール
3
47
表彰台
18
53
優勝
5
53
09

フェルスタッペン通算成績(2024シーズン終了時)

  • レース数:209
  • 最高グリッド:1(40回)
  • 最高順位:1(63回)
  • チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • レース数:23
  • 最高グリッド:5(1回)
  • 最高順位:4(2回)
  • チーム:レッドブル・レーシング
  • レース数:186
  • 最高グリッド:1(40回)
  • 最高順位:1(63回)
  • ドライバーズタイトル:4
  • コンストラクターズタイトル:2
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角田 裕毅

Oracle Red Bull Racing に所属する日本人F1ドライバー

日本日本

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