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格闘ゲーム:初心者用上達アドバイス おすすめ9選

格ゲーが大好きだがいつも惨敗で終わっている人のために、レベルアップに役立つアドバイスとヒントをまとめた。
Written by Luke Wakeham
読み終わるまで:11分Published on
Crowd seen at Red Bull Kumite at University of Pretoria's Rembrandt Hall, in Pretoria, South Africa, on July 2, 2023.
© Mpumelelo Macu/Red Bull Content Pool
世の中には「どんな分野でも極めるためには1万時間を費やす必要がある」という格言が存在する。これは楽器、プログラミング、絵画など習熟が必要とされるものすべてに当てはまるが、格闘ゲームも同じだ。
Amjad “AngryBird” Alshalabi『ストリートファイター』シリーズのプロレベルに到達するまで4年以上の時間がかかったと振り返っている。
つまり、格闘ゲームのトッププレイヤーになりたいのなら、「才能さえあればEVO【Red Bull Kumite】へ出場できる」という考えを捨てる必要がある。トーナメントの頂点へ向かう道を進むためには努力と練習が不可欠なのだ。
【Red Bull Kumite】の歴代優勝プレイヤーたちに憧れるなら、時間をかけてスキルを磨く練習に真剣に取り組むべきだ。というわけで、格闘ゲーム上達に役立つアドバイスを9個集めてみた。
01

タイトルを絞って練習を続ける

「何を当たり前のことを」と思うかもしれないが、タイトルをひとつに絞り、それをひたすらプレイすることは非常に重要だ。
現在、世の中には優れた格闘ゲームがいくつも存在するため、そのすべてをプレイして、美しいグラフィックスや魅力的なストーリーモードなどを満遍なく楽しみたいと思ってしまいがちだ。実際、複数のタイトルをプレイすることは悪いことではない。
しかし、これでは特定のタイトルで突出することはできない。AngryBirdのようなトッププレイヤーたちは、自分の中でしっくりきたシリーズにフォーカスし続けている。
格闘ゲームはプレイも観戦も楽しい

格闘ゲームはプレイも観戦も楽しい

© Mpumelelo Macu/Red Bull Content Pool

しかし、何よりも重要なのは「しっくりくる」なので、複数のタイトルを最低1回ずつはプレイして比較するのが良いだろう。いずれかのタイトルに1万時間を費やして格闘ゲームのトップを目指す場合は、その道のりを楽しめている必要があるので、色々試して自分に合っていると思えるタイトルを選びたい。
3Dなら『鉄拳』シリーズ、2Dなら『ストリートファイター』シリーズ、アニメファイターなら『GUILTY GEAR』シリーズ、プラットフォームなら『スマブラ』シリーズが有名だが、どれが自分に合っているかはプレイしてみなければ分からない。長時間プレイしたあと「これは自分には向いていない」と思ってしまえば、上達への情熱が消えてしまう。
タイトルの選び方はこちらの記事を参考にしてみよう。
ボンちゃん

ボンちゃん

© Jason Halayko/Red Bull Content Pool

時間があればアーケードに通っていました。プロプレイヤーから対戦を誘われるときもありましたが、特に指導は受けませんでした
あとひとつ考えておきたいことがある。それは「自分が求めているもの」だ。日本を代表する『ストリートファイター』シリーズプレイヤーのひとりに数えられるボンちゃんは、『ストリートファイター』シリーズを選んだ理由について「人気が高い分、オンラインプレイヤーの数が多いので、自分を鍛えられると思いました」と説明している。
また、彼は「『ストリートファイター』シリーズはその人気の高さからトーナメントの賞金も多く、プロプレイヤーとしてやっていけそうだったことも理由です」と続けている。
02

キャラクターのプレイスタイルを学ぶ

キャラクターの選択にも同じアプローチを当てはめられる。メインに据えるキャラクターを選び、そのキャラクターを使い続けることは重要だが、そのタイトルに収録されているすべてのキャラクターを試したあと、自分に合ったキャラクターを選んでメインに据えることも重要だ。
まずはルックスが自分の好みのキャラクターからプレイしてみるのが良いだろう。たとえば、ダルシムのルックスが好きなら、彼を選んでみよう。ボンちゃんは自分のメインの選び方について「僕はいつも自分のプレイスタイルと勝率のバランスを見て選ぶようにしています」と説明している。
キャラクターについて学ぼう

キャラクターについて学ぼう

© Jason Halayko/Red Bull Content Pool

格闘ゲームでは、メタによって特定のキャラクターの人気が急落するときがある。しかし、誰かがそのキャラクターの新しいコンボやテクニックを発見してメタを大きく変える可能性も常に存在し、さらにはそのようなキャラクターがアップデートによって強化される可能性もあるので、どのキャラクターも「完全に使えなくなる」ことは絶対にない
しかし、「弱くなる可能性がある」ことは常に意識しておくべきだろう。たとえば、Angrybirdはキャラクターランキングでメインを決めており、メインが弱体化されたときは他のキャラクターをメインに据えるとしている。
キャラクターを決めたあとは、そのプレイスタイルを習熟しよう。たとえば、『鉄拳』シリーズのキングのルックスが好きで彼を選んだ場合、キングのプレイスタイルはプロレスなので、相手との距離を詰めて投げ技を狙うプレイを学ぶ必要が出てくる。
そのようなプレイが得意ではなく、スピードと択攻めに優れているキャラクターの方が好きと思うなら、自分の好みに合ったキャラクターを選び直そう。
03

チュートリアルを活用する

格闘ゲームにアーケードモードと対戦モードしか収録されていない時代は過ぎ去った。最近の格闘ゲームには非常に細かいチュートリアルトレーニングモードが収録されており、それらを最大限活用する必要がある。
そこで、チュートリアルから始めてシステムや機能に慣れるようにしよう。いきなりCPUとの対戦を始めても、ある程度の技は出せるかもしれないが、キャンセルなどの特殊なシステムは分からない可能性が高い。
EVO 2019に出場したAngryBird

EVO 2019に出場したAngryBird

© Marv Watson/Red Bull Content Pool

大半の格闘ゲームにはキャラクターごとのチュートリアルが用意されており、それぞれのプレイスタイルの説明を受けられるようになっているので、このようなチュートリアルは必ずチェックするようにしよう。なぜなら、コンボの入力タイミング必殺技を使うタイミングなどを理解できるようになるからだ。
トレーニングモードはチュートリアルで得た知識を実践するのに有用だ。対戦用ダミーにジャンプなど様々な指示を出せるので、対空技状況ごとの立ち回りを練習できる。
コミュニティを探してみよう

コミュニティを探してみよう

© Jason Halayko/Red Bull Content Pool

トレーニングモードでダミー相手に練習を重ねるのは非常に有用だが、現実世界のプレイヤーとの対戦ほど自分の成長を感じられるものはない。
アーケードモードやトレーニングモードではCPUと対戦できるが、CPUはあくまで人間のコピーで、特定のルールに沿った行動しか取れない。CPU対戦だけを続ければ、CPUが特定の状況で正しい行動を取れない、あるいは特定の技に対してカウンターを当てられないときがあることが理解できるはずだ。
というわけで、人間と対戦する必要がある。そして、そのためのベストな選択肢が「現場」であるときは少なくない。
格闘ゲームシーンはコミュニティ主導型なので、一緒にプレイする仲間を探しているグループやローカルトーナメントを探す価値は十分にある。ボンちゃんも、オフラインでの経験が『ストリートファイター』シリーズのプロプレイヤーになるまでの道のりの基礎になったとしている。
「時間があればアーケードに通っていました。プロプレイヤーから対戦を誘われるときもありましたが、特に指導は受けませんでしたね」
オフラインでの対戦である程度レベルアップしたあとは、オンラインのランクマッチに挑戦してみよう。最初は負け込むので嫌な気持ちになるかもしれないが、投げ出さないようにしよう。すべての敗戦は貴重な経験で、勝利できるようになれば、どれも楽しい思い出になっていく。
04

時間をかける

Eスポーツプレイヤーたちは少なくとも1日5〜6時間は練習に費やしている。しかし、これはプロの世界の話なので、楽しみたいだけ、またはちょっと上手くなりたいだけの場合は、特別フォローする必要はない。
いつも自分のプレイスタイルと勝率のバランスを見て選ぶようにしています
ボンちゃんはカジュアルプレイヤーからプロプレイヤーになるまでについて次のように語っている。「トーナメントで結果を出しながら、オファーを待っていました。海外から注目されていることには気付いていました。プロを目指し始めてからそうなるまでは3年かかりましたね」
AngryBirdは健康管理身体のケアエクササイズの重要性を指摘している。毎日何時間も格闘ゲームをプレイすれば健康面に悪影響が出るので、プレイとその他の日常生活で正しいバランスを取ることが重要だ。
ボンちゃんは、プロプレイヤーとしての活動中は基本的に座りっぱなしなので、運動を生活の一部に取り入れるようにしている。「仕事では身体を動かさないので、自分で管理するようにしています。練習前の散歩はルーティンになっていますね」
運動と健康管理は非常に重要

運動と健康管理は非常に重要

© Stefan Voitl/Red Bull Content Pool

05

相手と自分を理解する

兵法書『孫子』には「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」とあるが、このあとには「自分のことは分かっていても敵のことを知らなければ、勝ち負けが半々となり、自分のことも相手のことも知らなければ、負け続けることになる」と続いている。
格闘ゲームほどこれが当てはまるものはない。自分の長所と短所を理解することは対戦の半分にしか過ぎない。相手のことも理解しなければならないのだ。相手の理解はリプレイを見直したり、仲間や友人のプレイを確認したりすることで得られる。
他のプレイヤーたちがパッドやアケコンをどのように操作しているのかを確認するのも役立つだろう。ニュートラル(探り合い)でどのように動いているのか、どのようなコンボをどのタイミングで使っているのかなども学ぼう。
06

コンボライブラリを用意する

自分が選んだ格闘ゲームの基本を学んだあとは、その基本を勝利に繋げられる手段が必要になる。格闘ゲームにおけるその手段とはコンボだ。攻撃をできる限り長く繋げることで相手に反撃のチャンスを与えないようにする必要がある。こうすることで対戦相手のHPを削っていく。要するに “攻撃は最大の防御” なのだ。
コンボが勝敗を決める

コンボが勝敗を決める

© Suguru Saito/Red Bull Content Pool

そのために「コンボライブラリ」を用意しよう。記憶しているコンボの数が多いほど、行動の選択肢が増えることになる。ボンちゃんもコンボライブラリを活用して、キャラクターやプレイスタイルに対して “強い” 行動を取っている。
たとえば、遠距離からの飛び道具でボンちゃんをコントロールしてくる対戦相手のときは、懐に飛び込んだり、画面端に追い詰めたりできる行動やアクションを記憶された「コンボライブラリ」から呼び出している。
ここで役に立つのがトレーニングモードだ。コンボの入力を何回も練習して、必要なタイミングでほぼ自動で出せるようにマッスルメモリに記憶してしまおう。
07

メタをフォローする

自分が選んだタイトルのメタをフォローしておくことは非常に重要だ。ゲーミングにおける “メタ” とはコミュニティやシーンにおいてその時点で常識とされている戦略・戦術を意味し、ここからベストパフォーマンスや勝利の “最適解” が導き出される。
メタは活用したい

メタは活用したい

© Mark Roe/Red Bull Content Pool

突き詰めれば、メタとはその時点でのキャラクターランキングやキャラクターの長所・短所と言える。しかし、先述した通り、好きなキャラクターがメタで弱いと考えられていても、完全に使えないわけではない。そのメタに自分のプレイスタイルを上手く組み合わせれば良いのだ。こうすることで、メタの穴を見つけて、そこを突ける可能性が出てくる。
また、対戦相手がメタに縛られていれば、立ち回りがメタに制限されるので、逆に自分のアドバンテージに変えてしまおう。対戦相手がどのように攻撃を仕掛けてくるのかが分かれば、戦い方が見えてくる。
08

メンタルを鍛える

基本的に「メンタルスタック」とは、対戦中にプレイヤーの考えが積み重なってしまうこと(結果的に身動きが取れなくなること)を意味する。「メンタルロード」とも言われる。
格闘ゲームの対戦では、プレイヤーは「自分たちが置かれている状況」を判断しながら、いつどのような攻撃または防御をするのがベストなのかを考え続けていくことになる。
上段あるいは下段にガードするべきなのか、前あるいは後ろにジャンプするべきなのか、それともゲージを使用するべきなのかなどに加え、必殺技の種類やタイミングなども考えていけば、メンタルスタックはどんどん積み重なっていくことになる。
そこで、メンタルをクリアにして勝利に近づくためには、このようなスタックをできる限り少なくして迷いをなくしていく必要がある。そしてその方法のひとつが、必殺技やコンボの入力を練習して、状況ごとにほぼ無意識で出せるようにすることだ。
しかし、注意したいのはメンタルスタックがゼロになることは絶対にないということだ。むしろ、格闘ゲームの魅力はここにあると言っても良いだろう。メンタルスタックが積み上がっていくことを認識して、それをベストの形で活用することが重要なのだ。
メンタルスタックについての詳細はこちらの記事を読んでみよう。
09

楽しむ

最も重要なアドバイスは「楽しむ」だ。何事も楽しめていれば上達が早い。どうにも好きになれず、続けたくないと感じているなら、少し離れるべきだろう。毎日たったひとりで練習して、日常生活に支障が出てくるようなら、無意識下では楽しめていないことを意味している。
楽しむことを忘れないようにしよう

楽しむことを忘れないようにしよう

© Mark Roe/Red Bull Content Pool

このようなときは、格闘ゲームプレイヤーたちが集まるコミュニティと繋がり、そのメンバーたちと対戦してみるのが良いだろう。そこでまた喜びを見出せれば、効果的にトレーニングを積んで急速にレベルアップできるようになるはずだ。
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